お風呂から上がって、今日はこのまま眠れそう…と思って布団に潜り込む。


ポカポカ温まった体に、窓からの秋の夜風が心地良い。


鈴虫なのかコオロギなのかは知らないけど(家の中にいたら逃げるけど…)そんな虫の声にも風情を感じる。




そこへメールの着信音。

やば!マナーにしてなかった!

うとうとしてたが、慌ててケータイに手をのばす。





夫から。


それだけで心がスーッと冷たくなる。






「不倫が理由なら離婚しない」




は?

不倫だなんて、思いっきり婚姻破綻の原因ですけど?

何言ってるの?


返事を返さぬまま、そのメール画面を凝視していたら。



2通目。


「不倫しても、またやり直してる夫婦はたくさんいるよ。会社の◎◎さんだって、奥さんに不倫バレたけど、離婚はせずに子供達と一緒に普通の生活してる。だから俺達だって絶対やり直せる。俺は本当にマナとアキとハルが一番大切なんだ。」




は?

◎◎さんところは大丈夫だったから、俺達も大丈夫って何?

◎◎さんも妻子を強制引越しさせたんですか?

◎◎さんも社内不倫だったの?

◎◎さんも自宅で夫婦ごっこしてた?

◎◎さんも物件探ししてた?


もうバカすぎて話にならない。

夫と他人が同じ状況なわけないし、私と他の奥さんが何でも同じ考えで物事決めて生きてるわけない。




3通目。


「マナを愛してるんだ。」




4通目。


「愛してる。俺は離婚しない。」









それ、さっき聞いた。

その言葉を何度も言うなんて、もう頼みの綱はそれしか無いんだね。

愛してる。

きっと私を納得させるのは、この言葉しかない!と思っているのだろう。

だけど、もう遅い。

ルール違反をしたのは、あなた。

っていうか、私から返事は全くしてないのに、LINEでもないのにメール連発なんてウザイ。





『代理人宛にお願いします。』

とだけ返事をした。







「代理人に愛してるって言ってもマナには伝わらないだろ。」

と、すかさずメールが来た。

朝帰りの時は、何回もメールや電話もしても繋がらなかったし、返事も寄越さなかったくせに。

こういう時だけ即レス。

ウザイ。鬱陶しい。

自分の立場や都合が悪くなるのを防ごうとしてるようにしか感じない。







何をバカな事を言っているんだ。

代理人なんだから、私の代理として

【愛してる】

と伝えれば良かろう。


これ以上は連絡取りたくもない。

せっかく久々にハルシオン無しで眠れそうだったのに…。



そっとキッチンまで降りていく。

ハルシオンを口に放り込む。

コップに入れた水を一気に飲む。





洗ったコップの水滴を見つめる。







もう今更だよ。

決意はダイヤモンド並に硬い。





あなたとは離婚する。

これは、もう譲れない。

夫婦としても家族としても、もう夫ととは築けない…