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いちょう並木

2/27 bk1 単行本売り上げTOP10
1 「図解 現場力―「強い企業」には「強い現場」が存在する! 」 遠藤 功
2 「ヒストリアン・I 」 エリザベス・コストヴァ, 高瀬 素子(訳)

3 「ハリー・ポッターと謎のプリンス

  J. K. ローリング, 松岡 佑子(訳)

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『いちょう並木』



「ソノユビヅカイ、ゲンバリョクトシテハサイコーノモノデス」

フランス人パティシエ、ベルモントは断言した。


「電卓打ちだけで、そんなことわかるわけないやん」

日本人銀行員、ひとみは困惑した。


「ゼヒウチノパティスリーデハタライテクラサイ」

しつこく食い下がるベルモント。

客を邪険に扱うわけにいかないひとみは、

支店長に視線を投げ、助けを求めた。

しかし日本人支店長、小林は日本人OLあゆみに安らぎを求めている最中だった。


ついに根負けしたひとみは、一度店を見に行くことを約束し、

何とかお引取り願った。


約束の日、律儀にも店を訪れたひとみは、

愕然とした。

「ひっそりやん、めちゃめちゃひっそりしてるやん。

お客、誰もおらへんやん」


店の奥に目をやると、ベルモントがプリンをつくっていた。

熱いカラメルソースを型に流し込むベルモント。

卵を割り、熱心にかき混ぜる彼。

オーブンの温度設定を、慎重に行うあいつ。


寸分の無駄もない、完璧な動きに思えた。

この人のもとでなら、自分も何かになれるように思えた。


しかし、出来上がったプリンは、なぜか肉じゃがの味がした。
日本に来てから、ずっとこうなんです、と困惑顔のベルモント。

理由はどうあれ、必要とされている、と感じたひとみは

いつの間にかエプロンを身にまとっていた。


それから数年、店はようやく軌道に乗りつつあるが、

その謎のプリンは、今もガラスケースの隅にいます。

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地学の未来

2/23 e-hon総合ランキング


1 「10年後の日本 」  『日本の論点』編集部

2 「千円札は拾うな。 」 安田 佳生

3 「新しい高校地学の教科書 」 杵島 正洋, 松本 直記, 左巻 健男


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『地学の未来』



教師は悩んでいた。

今の高校生に、退屈な地学を教えるなんて無理な話だ。

特に今度の新しい高校地学の教科書はさっぱりまとまりがない。

このままでは、10年後の日本に地学の居場所はない。


いっそのこと、フィールドワークに連れて行ってはどうだろうか。

教師は翌日、生徒たちを裏山に連れ出し、

発掘の真似事をさせた。


「先生、綺麗な石を見つけました」

教師は喜んだ。

「お、いいのを見つけたな。記念に持って帰りなさい」


「先生、十円見つけました」

教師はまた喜んだ。

「お、十円か。よかったな。持って帰りなさい」


「先生、百円見つけました」

教師はちょっと驚いた。

「みんな、よく見つけるなー。まあ、いいや。持って帰りなさい」


「先生、千円見つけました」

教師は叫んだ。

「その千円札は拾うな。貴重な遺跡だ。現場を保存しろ。お前らはもう帰れ」


その後、教師による孤独なフィールドワークは深夜にまで及んだ。

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