カーロスとのエキジビションマッチが始まった。世間は何の緊張感もなく、ただのショーくらいに思っている。落ちぶれたジョーの実力など鼻にもかけていないのだ。

練習で過剰なテンションを発揮するカーロスを何に殺気だっているのかわかっていなかった。

わかっているのは、ジョー、段平、葉子、そしてカーロスとロバートだけだ。

世間は、このエキジビションを仕組んだのは白木ジムなので、力石を殺された腹いせにリング上でジョーに制裁を加えるくらいに思っていた。

そして、ついにゴングはなった。ジョーはいつかのスパーリングでロープ際から、ロープの反動を利用したクロスをカーロスにかましていた。それを警戒してくるだろうと予測して、ロープ際の作戦をとった。

カーロスは、ジョーを買いかぶっていたと不敵な笑みを浮かべ、ロープ際でストレートではなくアッパーを放った。その瞬間、カーロスは悶絶した。

ジョーはカーロスがそうくることを予想し、アッパーをかわして、ロープの反動を利用したボディブローを放ったのだ。

ゴングに救われたカーロス。ロバートはいう

「カーロス、今更恥ずべき話だが・・・お互い最初の直感に素直に従っておくべきだったようだな・・」

「どうもそういうことらしい・・・・だがそんな失敗など、今、この身のうちにふつふつとこみ上げてくるうれしさやゾクゾクと血のたぎるような喜悦にくらべれば問題じゃない。

ついに出会ったんだぜ、ロバート。このカーロス・リベラがもてる技術のすべてを駆使し、命の限りすべて燃やし尽くせる真のファイターにさ・・・!」

いろいろ作戦を教示するロバートを制してカーロスはいう

「あの、ジョー・ヤブキを相手に、へたに作戦など立てない方がいい。ふふふ、久しぶりに気兼ねなく打ち合える相手を見つけたんだぜロバート。小細工はいらん。

わかるかいロバート?今はただ、のびのびと本能の命ずるままに力一杯戦ってみたいんだ。それだけだよ」

ロバート「わかった・・ユーの本能を信じるよ・・・」

そこから壮絶な打ち合いが始まった。ジョーはカーロスのお株を奪う、ストレートを打ちながらひじうちをかまし、ダブルノックダウンとなった。

リングの外に落ちたジョー。カウントかすすみ、もう少しでリングにもどれるという、その瞬間、思いあまって段平はこともあろうにジョーの尻を押してリングにもどしてしまった。そして、ジョーは即失格を宣言された。

怒り出す観客たち。物と罵声が飛び交う

段平を責め立てる会場に、ジョーが一括する「がたがたさわぐんじゃねー」

ジョーはいう

「力石戦以来、つきまとっていたモヤモヤが全部燃え尽きちまったみたいで・・・なんだかこうさわやかな風が体の中を吹き抜けるようにえらく気分がいいんだ」

そう、ジョーはカーロスのテンプルに思いっきり強打をぶち込んだが、吐き気におそわれることはなかった。ついにジョーはトラウマから抜け出せたのだ、葉子の荒療治とカーロスの野生によって。