勝浦&御宿のグループで仕込んでいた醤油。古民家ヨガのお客さんにも度々天地返しを体験していただいたが、今月中旬、一年弱の熟成を経て遂に搾りの時を迎えた!一行は搾り師のイマニシ氏の待つ鴨川の山中へ。
勝浦&御宿グループでは醤油1樽を三分割して管理していた。それらがすべて集まった。それぞれの諸味を試食したが、まったく同じ原料にも関わらず、明確に風味が異なるので面白い。特に写真左端の諸味はパイナップルのようなフルーティーさを醸していた。
これらの3つをひとつに合わせ、お湯で割り、その諸味を麻袋に詰める。その麻袋を舟の中に均等になるように交互に重ね、ジャッキで圧をかける。そうすると生醤油が滴り落ちてくる・・・という段取り。
そしてこれが滴り落ちたばかりの、火入れをしていない生醤油だ!
味見したが、軽やかで甘やかな風味が特徴的だ。今年はより諸味のボディ感ある味わいが強調されているようにも感じた。
作業をよそに(!?)隣りではすっかり食事会(笑)。タイミングよく礒部餅をやっていたので、これをこのまま生醤油にドボン。海苔と生醤油のマリアージュ、実に旨過ぎる磯辺餅だ!
加えて、こちらは勝浦の海女(見習いと本人はおっしゃっている)のみえこさんが採って来た生ワカメ。これをやはり生醤油で戴く。なんと美味しいコンビネーションなのだろう!
生醤油は一部を瓶詰めし、残りの大半は火入れする。その際、アクがでるのだが、実はこれも美味しく味わえてしまう。以前雑誌で取材させていただいた芝山糀店の及川クンこと「糀王子」は刻んだキャベツにジャッとアクをかける。これが後ひく旨さなのだ。
火入れした醤油が冷めて来たら、持参した容器に詰めて持ち帰る。また今年もしばらく自家製醤油がこれで味わえる、という訳だ。
醤油造りは現在、鴨川、勝浦、いすみ、大多喜、木更津の各グループで行われており、一部が千葉市などに飛び火しているそうだ。今後、醤油造りの体制のあり方などが検討されていくとのこと。そういえば塩づくりも旭、山武、一宮と、九十九里海岸を中心に随分と作り手が登場してきた印象を受ける。かつての房総の食づくりが、姿を新しくして再び蘇ってきている、そういう時期なのかもしれない。
そんなことを考えていると、糀王子から甘酒のお振る舞い!これは酒粕の甘酒ではなく、糀の米のデンプンを糖化してできた、その米の甘さの甘酒、である。砂糖を加えていないのに仄かに甘いのはそのためだ。じわりと身体に浸透していくようなソフトな味わい。いやー、以前も芝山糀店のおばあちゃんが入れてくれた甘酒を戴いたが、あれは本当に旨かったなぁ。
↑難しい書物を取り出して講義中の糀王子
そんな糀王子実は「米醤油」も試作中だ。醤油の原料は普通、大豆と小麦と醤油糀だが、南房総では小麦の生産がほとんどなく、仕込に必要な原料を確保できないという悩みがある。そこで、小麦の替わりに米を使ったらどうか、ということで米醤油に挑んでいるのである。それがその「米醤油」の諸味だ。
ちょっとだけ諸味を試食させていただいたが・・・旨い。いやー、全然イケるよ、コレ!!更なる熟成を経て搾った時に、どんな味わいになるのか。非常に楽しみな醤油である。
そんな盛りだくさんの醤油搾りの一日。
搾り師のイマニシさん、ご協力頂いたみなさん、本当にありがとうございました!!