ほとんどの場合、出世を果たすには上から引き上げてもらう必要がある。





自分が稼いだ売上高で出世することもあるが、現代で重要視されるのはコミュニケーション能力だと思う。








会話のテクニックを駆使した言葉のコミュニケーションもそうだが、例えば営業部門で販売契約取ってくる。その書類が販売管理や経理などにも渡ることになる。その時に書類が自分の手から離れた先、他の部門の人間は必ずしも同じ情報が欲しいわけではない。先の者が欲しい情報を考える事もコミュニケーションの一つで、他の競争相手との差別化にもつながる。








サッカーに例えると、同じ場所にパスを出すにしても、パスを受ける選手がトラップしやすいような回転や軌道にする。いわゆる「上質なパス」だ。見た目は同じかも知れないが、パスを受けた選手には違いがわかる。そのパスのおかげでストレスなくゴールできると、監督に誉められたその選手は、パスを出した選手により感謝するだろう。





サッカーには当てはまらないが、仕事では書類の提出先に上位部門が含まれる場合が多い。数多くいる営業マンの中でも「上質なパス」が出せる者は、直属の上司はおろか、違う部門からも「仕事ができる」という印象になる。相手の細かい仕事が減ればコストカットにもなり、コミュニケーションを通じて会社に貢献することになる。さらには信頼を得る事で大きな仕事を任されたり、重要なポストへの候補にもなる。








こういうコミュニケーションを怠って、自分のできる仕事を狭めてる節はないだろうか。社会人ならこんな事は当たり前だが、常日頃から意識する事で自分が書く文字ひとつも変わる。








これが習慣になって、ルーティンではなく思考スピードが早まり、誰もがすぐに真似できないレベルまで高まると、その価値は見逃されないものになる。














例えばある商品の価格を2%上げるとしよう。それが原因で販売数が1%減ったとすると、この商品の価格弾力性は


1%÷2%=0.5となる。


これが1を超えると「弾力的(弾力性が高い)」、1を下回ると「非弾力的(弾力性が低い)」となる。



主に他社の製品で代わりがきく場合は弾力性高い。たとえば、ティッシュなどの安売り競争が行われる商品。 競合が近所に多い場合は2%値上げするだけでも10%の売上減少に繋がることもある。その場合は



10%÷2%=5となる。




弾力性の低い商品は、逆に絶対に必要なもの。たとえば米の価格が5%値上がっても、販売数は2%しか減らないとする。その場合は



2%÷5%=0.4となる。



このように、価格を多少上げても需要数に変動がないか、また価格を引き下げることによって需要数も大幅に上がり自社の競争力が高まるのかは、価格設定や販売戦略の大きな柱となる。







しかし、セグメント(ターゲット)を適正に設定していてもシーンによって変わることもあるのには注意しなければならない。自己消費と贈答時の違いや、ジュースを自販機で売るか、スーパーで売るかによっても変わる。自販機では弾力性は低いと思われる。あくまでも基礎的な考え方として捉えたい。




また、互換性の高い家電を購入する際、価格差にもよるが必ずしも安い他メーカーの製品を購入するわけではない。PCソフトをアップグレードする場合も、価格差がそれほど大きくなければ操作に慣れたメーカーの製品を選ぶことになる。これはスイッチング・コストと呼ばれる。





アメリカの経済学者ジョージ・アーサー・アカロフによると、例えば中古車を買いに来た客がいるとする。買おうとした中古車が事故車、もしくは故障を抱えていないかを判断するには、販売者の言葉しか情報がない。



これを「情報の非対称性」という。



この場合


良品だった場合=150万円

欠陥車だった場合=100万円


だったとすると、その平均である125万円以下でしか買おうとしなくなる。


そうすると、もし欠陥車だった場合は、本来の価値である100万円より25万円高く売れるが、良品だった場合は本来の価値を下回ってしまう事になる。 それがさらに進むと、良品車提供する売り手が減り、良品は市場から消えていく。これを逆選択という。さらには市場規模の縮小が起こる。


こういうケースを避けるためには、保証やブランディング・店舗展開などで情報の非対称性を補う必要がある。個々の商品の価値よりも、信用だけが重視される事態になることを避けなくてはならない。




保険分野においても逆選択は大きなリスクとなる。


保険に入ろうとする人は健康リスクが高い人や必ず保障が必要な人であるが、申告しなくては保険会社はリスクを知る事ができず、情報の非対称が起こる。そうなると、月額2000円で十分な保険料が高くなる可能性がある。さらに進めば本当に健康な人の保険料が見合わなくなり、健康な人だけが解約していく。最終的にはその保険会社にはリスクのある契約者しか残らず、事業自体が失敗に終わってしまう。