「学びの自分史」とは

 毎年、私たちは年度末に「学びの自分史」を書くという課題が出されます。自分が一年間、一体何を学んできたのかということをふり返り、自分の言葉で文章にまとめるという課題です。

 私たちは毎日、「今日の学習」という紙にその日に自分が学んだことをふり返って、自分の言葉でまとめるということをしていますが、それを一年間という単位で行うのがこの「学びの自分史」です。特に、高校三年生では、自分が生まれてから今までをふり返ってくる私たちも多くいます。

 「今日の学習」が「日記」とは違うように「学びの自分史」も「単なる自分史」とは違います。では、「学びの自分史」とは一体何なのでしょう。

自分の変化を自覚する

 教育者林竹二の言葉に「学ぶことは、変わること」という言葉があります。この言葉は、まさに私たちが目指す「学び」を端的に表す言葉です。

 私たちは「学ぶ」、そして、驚くほど「変化」します。その速さや程度に個人差はありますが、みんな本を読むようになり、文章を書けるようになり、寮で一緒に生活をする先輩憧れ、真似をしながらたくさんのことを学ぶのです。

 しかし、普段はあまりその変化を自覚することはありません。いつの間にかあまりにも「当たり前」になりすぎていて、自分が生まれたときから本を読んだり、文章を書くことができたり、高い目標を目指していたかのように思い込んでしまうのです。

 もちろん、そうでない、どこかの時点で身につけて、できるようになっていったのだということは分かっていると言っても、自分の変化を自覚しているということはとても大変なことです。

 しかし、だからこそそれをすることには意味があります。今の自分が「変化」しているものだということを自覚すると、自分と違う人に対しても、また自分を取り巻く環境の変化に対しても同じように見ることができるようになるのです。

 「すべてのものには始まりがある」。そして、「すべてのものは、変化し続けている」。そのような視点で、自分自身を見つめ、どのようにして今のような見方や考え方、振舞い方をするようになったのかをふり返るために「学びの自分史」を書くのです。。