雨の降る夜 -2ページ目

雨の降る夜

ほとんど小説オンリーです。

――誰から何を言われようともその目はお前の目だ。好きなように使えばいい。


「父上……」



――綺麗だね、その髪と目。ねぇ、友達になろうよ!



――あのねりーちゃん……私、引っ越すんだ。



――また逢おうね! りーちゃん!



「……葵!!」


手を伸ばしても親友の姿はそこになく、残るのは後悔ばかり――








(あれ……ここ、どこだ?)


まだ重い頭を無理やり回転させて、現状の理解を図る。


まだ目も開かないが、体中の痛みとふかふかの感触で充分分かった。


(あぁ、そっか。鎌鼬をあんなにやったんだ。倒れるのが当たり前か)


そしてまた親切な3人組に介抱されたのだろう。



虚ろに目を開けると、ぼやけた世界が視界に入る。


横になった状態のため、自然と見えるのは服のみ。


七分丈のカッターシャツにミニスカート――腰にはガンベルトに二丁拳銃、似たような半袖のシャツに短パン――同じくガンベルトにライフル、黒マント、それに白衣。


さっき介抱されたとき、戦闘をしたときと変わらない3人の――



(……白衣?)



「目、覚めたー? 神崎リイアさん」



視界がはっきりとし、目だけを上げる。


そこには眼鏡をかけニコニコと笑う、茶髪の見知らぬ男がいた。


雰囲気からして、大学生くらいだろうか。


「えっと……誰だ?」


頭を抑え体を起こしながら、浮かんだ疑問をそのまま問いかける。



「シグレといいますー。以後お見知りおきをー」



(医者……だろうな、やっぱり)


周りを見渡すと、最初に寝ていた部屋と違い、医務室の様だった。



まじまじとシグレを見るリイアに、クロが言った。


大丈夫だよ。シグは一応害はないし、一応腕はいいから」


「一応ってのはどういうことかなー」



ま、いっかー、と言ってシグレはメモとペンを取り出した。

「で、リイア君。今の調子はー?」


「体中が痛い。まぁいつもの事だが」


「あ、やっぱりそうなんだー。いやーびっくりしたよー。クロ君達が帰ってきたと思ったらいきなりすごい症状の女の子差し出されたんだからー」


メモにサラサラと何かを書きながら、 は続ける。


「外傷はないしねー。勝手に体調べさせてもらったんだけど、それは生まれつきー……って言うよりは遺伝かなー? 人並みはずれた動きに肉体の方がついていかないんだねー。それにしてもひ弱すぎるよその体ー。えっと……鎌鼬だっけー? 風で肉を切るなんて、それ君の体でやったらせいぜい5回が限界ってとこでしょー?」


「あ、あぁ」


(本当にすごいなこの人。こんなにスラスラ、鎌鼬の限界まで……)




「で、君の一族の特性を詳しく聞かせてくれるかなー?」



「……」




言っていいか少し考えてから、リイアは喋り出した。



「……神崎一族は、刀に全てを賭けた一族だ」


「刀にー?」


「あぁ。一族の者全員が刀を持つ。その中でも当主は、この代々伝わる『輪廻刀』を手にする」


そう言いながら、ベッドに立てかけていた刀を大事そうに抱えた。


「刀に関しての才は素晴らしい。世界最強といっても過言ではない一族だと私は思う。……が、それはある代償と共に継承されるものだ」


「代償……?」


「虚弱体質だよ。さっき言っていたが、この体はかなりひ弱だ。神崎一族――護刀流は、刀を持ったときの身体能力は他人のそれと比べ物にならない。しかし、その身体能力についてこられる体を持たない」





護刀流は全てを神に捧げ、刀の才を得た。


どんなに修行を積んでも、一族の者以外には体得できない流派。


剣士から見れば恵まれた血、或いは呪われた血。


要は戦車があって燃料がほとんどない状態。最強だが役立たず。


全力で刀を振るえるのはほんの数分。故にその数分に全てを賭ける。


リミッターを外した状態を長く保てば、筋肉は悲鳴を上げ内蔵も損傷する。


それで命を落とした者も少なくはない。 








「さらに、護刀流の動きは刀が中心、つまり刀がなければその速さも跳躍力も常人以下になる」


と付け足すと、今まで黙っていたカノンが、口を開いた。


「何でだよ? むしろ軽くなって早くなるんじゃねぇの?」


疑問符を浮かべたカノンに、シグレがため息をついた。


「カノン君、君は腕が片一本無くなってもー、今と同じ速さで走れるー? 今と同じくらい跳べるー?」


「そんなことできるわけ無いだろ。全てのバランス崩されるんだから」


「それと同じだよー。つまり護刀流は、刀も体の一部なんだよー」



「そういうことだ」


頷きながら、リイアも肯定する。




「とにかく、護刀流は刀を持っても使いすぎれば体が崩れる諸刃の剣。しかも刀なしでは生きれない不便な体と言うわけだ……あれ?」


何気なく手を右目にやり、今更ながら違和感を覚える。


「あ、眼帯なら治療するときに取ったよー?」



(でも『見えない』。ということは……)



リイアはシグレに顔を近づけ言った。


「私の目は今、何色だ?」


「んー? 金色だけどー?」


それを聞き、ほっと胸を撫で下ろす。


「そうか。良かった……戻ったんだな」


笑みを浮かべるリイアに、全員が疑問符を浮かべる。



「そういえば……」


不意にクロが口を開いた。


「どうして君は眼帯を? 怪我してた訳じゃないんだろう?」


当たり前の疑問だが、リイアは顔を強張らせる。


(この人達は命の恩人みたいなものだ。やはり言うべきなのだろうか……)


顔を俯かせるリイアに、クロが困惑した顔を見せる。



「いや、何かしら理由があるんだろうし、言いたくないなら言わなくても――」




「……だ」




「え?」






「寿命を、見たくなかったんだ……」
















■□■□■アトガキ■□■□■

テスト終わったー!ヒーハー!

もうテスト勉強の間に何度も何度も小説の続きを考えました!

やっと書けた……。


さて、今回は神崎一族或いは護刀流の秘密が明かされましたね。

虚弱体質と引き換えに手に入れた刀の才。それが護刀流です。


そして、これは読みにくかった方いると思うのですが、服装をまだ書いていなかったんですね。

ここに服装を入れることは私の中でだいぶ前から決まってたんです。

……が、やっぱり最初容姿を書いたときに一緒に書いとけばよかったなーと反省しています。


そして、新キャラ登場。シグレです。

茶髪にメガネで白衣、と部分的に私の趣味が入っているのですが悪しからず。

あ、一応言って(書いて?)おきます。文中クロがシグレの事を『シグ』と呼んでいますが、ミスではありません。



次回、「寿命を見たくなかった」と言うリイアの謎の発言の理由とは?


長文失礼しました。












大剣の男を追おうとしたが、凄まじい殺気を感じて体が一瞬硬直した。


リイアだった。


天使のような白い服は、今は半分以上真っ赤に染まっていた。


瞳孔が開き、目だけで人が殺せそうなほど、殺気だっていた。


今まで数々の『怒り』を見てきたが、これほどの殺気は見たことがない。



大剣の男の逃げ足は速かった。


それはおそらく恐怖によるものであり、死に物狂いな様子が後ろ姿からでも分かった。



「待て」


「ひぃっ!」



瞬速、否、光速。


すでにリイアは男の前で刀を構えていた。



「ま、待て! 落ち着けよ。なっ?」


この殺気を受けて、なおそんななだめが通用すると思っていたのか。


「落ち着け? 私は至って冷静だ。冷静に、お前を許せない」


リイアの殺気はますます強くなり、手に力がこもる。


刀を振るが、一応リーダーというだけはあり、大剣で止められた。


すぐに次の攻撃に切り替え、何度も金属音が鳴る。


男は防ぐだけで精一杯だが、それでも防いでいた。



「だから、落ち着けって!」


武器を交えながら、冷汗交じりに男が言った。


このまま戦っていればいずれ倒される、ならば。



「さっきの様子から見ると、お前BLACKじゃないんだろう? なら、俺と共に来い!」



(馬鹿か、こいつは)


クロは心底そう思ったが、男は希望があったのだろう。勧誘は続いた。



「俺達は支部、それもただの捨て駒みたいなものだ。だが俺からお前を紹介しよう。それほどの実力があれば、俺達よりはるかに上につけるだろう!」



(支部?まさか……


ある一つの組織がクロの頭をよぎった。



リイアは一向に刀を止めない。クロから見れば、おそらくまだ実力を出し切っていないのだろうと思える。一応、男の話を聞く耳は持っているようだ。


故に3人は助太刀に入らない。両者の実力差は火を見るより明らかだった。


「お前も聞いたことはあるはずだ。最高で最強のハンターグループ、『ルシファー』の名を!」



(やっぱりか)



この男達は本当に下っ端の下っ端らしい。


最高で最強? そんな話聞いたことがない。


一度殺せば抜けられない、最悪で最狂のハンターグループだ。



「ルシファーはすげぇぞ! 創った奴は天才だと思うね!」



(その創った奴は見たことないんだろうな)


クロが思った次の瞬間、男は言ってはならないことを言ってしまった。




「ルシファーは『効率良く人を殺せる』!! これほどの楽園はねぇ! とりあえず刀を止めろよ。『たかがガキ一人が死んだぐらい』で意味のない戦いはやめようぜ、同志よ!」




ぞわっ、と寒気を感じた。


クロより経験の少ない双子はあまりの殺気に後ずさりした。



リイアは力強く刀を振り上げ男の大剣を止めると、刀を降ろした。


殺気さえも感じていない男は、勧誘が成立したと口角を上げる。


手をだらんと下げたまま、一歩で2メートルほど後ろに下がる。



そして、改めて刀を構えた。



「へ?」



男のまぬけな声が聞こえた。見る見るうちに男の顔が青ざめていく。ようやく自分の過ちを察したようだ。




「あ……ああ……」


リイアがその位置のまま、刀を振った。空を斬る鋭い音が響く。


そこから近付いて片を付けるのか、と思ったとき



男の右肩から、血が噴き出した。



絶叫と共に、肩を押さえうずくまる男。リイアはその姿を静かに、残酷な怒りの目で見る。その顔には汗が伝っていた。



確かに、どんなに刀をのばしても届かない位置関係にいたはずだった。刀に血は付いていない。


が、絶叫は響く。


この場で何が起こったのか分かっているのは、リイアただ一人だった。



また刀を振り、振り上げる。


男の左肩と背中に刀傷ができた。



「な……ん、で……」


震える体で男は大剣を支えにして立ち上がった。


その疑問は攻撃をしたことについてなのか、それとも実態のない刀についてなのか。


「鎌鼬」



今までずっと黙っていたリイアが、全員の疑問を解く。



「例え刃物がなくとも、強い風圧から生まれた旋風は皮膚や肉を裂く。それが護刀流に伝わる秘技――『鎌鼬』」




「かま……いたち……?」


淡々と喋る目の前の少女に、息を切らせながら男が言った。


「まぁ、刀なのに鎌というのは少し矛盾しているがな」



嘘だろ、とクロは呟く。


「鎌鼬――旋風の中心に出来る真空または非常な低圧により人体を傷つけられる自然現象ですね。あり得ないことではありません。しかしそれを生身の人間がするなど……」


信じられないというように首を振るカレン。


「けど、そうじゃなきゃ説明つかないよ……な」


護刀流――これほどの流派が、何故今まで無名のままでいたのか。




「というより、そんなことはどうでもいいんだ」


リイアの刀を持つ手が一層強まる。


「本当はな、あの者たちのようにただ気絶させるだけのつもりだったんだ。血を流すつもりなど更々なかった。なかったんだ」


血だらけで立つ男に、リイアは言う。



「ふざけるなよ。『効率良く人を殺す』だと? そんなくだらない考えで、今も誰かが涙を流すんだ」



そして悲しげに、笑う。目に涙をためて。



「『たかがガキ』のあの子が、殺されるほどの何をした? 何か恨みでもあったのか? ただ、偶然戦いに巻き込まれただけのあの子に?」


その口調はだんだんと荒くなり、表情も険しくなっていく。



「あの子が……」


涙は大量に頬を伝い、地面を濡らしていた。





「あの子が死ぬ理由など一つとしてない! 命を侮辱した罪、激痛と死で償え!!」




刀を構え、振る。振る。振る。


目に見えぬ刃が、容赦なく男を狙う。


腕、足、腹、胸――風は男が倒れることを許さず、何度も、何度もその体に傷を作る。


男の足元には、赤い水たまりができていた。



それでも、リイアの刀は止まらない。涙を流し、顔には大量の汗を浮かべ息を切らし、それでも止まらない。


10,11,12……何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も――




「リイア!!」




不意に、クロがリイアの手を掴んだ。


男の体はやっと風から逃れ、地に倒れる。


男の体はびくびくと波打ち、短く荒い息遣いが聞こえた。生きている。



「え……?」


涙でぐちゃぐちゃになった顔で、クロの顔を見る。


「まだ、生きてる……のに……まだ……」


「殺してはいけない。君には僕のようになってほしくない」


カレンが注射器を取り出し、男に刺した。


動き続けていた男の体は止まり、静かになった。


「死んだのか……?」


赤い血だまりに浮かぶ男と、あの男の子の姿が重なる。


「死んでない。一応、彼の心臓はまだ動いている」


「何で? あいつはあの子を殺したのに。あの子の心臓は止まったのに」


冷静さがなくなる、というよりは正気ではなくなったように、天使のような少女は言葉を紡ぐ。



「とりあえず落ち着こう、リイア。大丈夫? 汗びっしょりだよ?」


クロが、苦しそうに震えるその肩を押さえた。


リイアは刀を持たない手を口元へ持って行き、しばらく顔を歪めそして、




「かはっ……!」




その手からあふれるほどの大量の血を吐き、倒れた。













■□■□■アトガキ■□■□■

やっと終わった……やっと書けた……

宿題? ナニソレ美味しいの?


R9YMOMXさん、アドバイスありがとうございました。早速参考にさせてもらいました。


さて、今回は護刀流の技が出てきましたね。

鎌鼬――この自然現象は妖怪にも例えられるそうです。


そして最悪で最狂のハンターグループ、『ルシファー』


いろいろ出てきましたが、「何の事?」「意味わかんねぇよ」と思ったあなた!

ぜひこの先の展開をその目で確かめてください!


では、多忙な中学二年生は宿題をしてきます。



コメント、メッセージまたはぺた 気が向いたらぜひともよろしくお願いします!!























何が起こったのかすぐには理解できず、しかし足は勝手に動いていた。



当たり前の、ことなのに


武器を持たぬ小さな子が血の流れる戦場に立つ事が


どれほど危険で、恐ろしい事か


恐ろしいと分かったときにはもう遅く、逃げたくても足がすくんで逃げられない事を


経験した自分が、誰よりも分かっていたはずなのに――!!




「おい! しっかりしろ! 大丈夫か!?」


まだ息はある。急いで医者に診せれば、助かるかもしれない。


「カレン!」


クロが呼び、カレンが懐から応急処置の道具を出そうとしたとき



「や、めて……僕……を、助け……な、いで……」


途切れ途切れに、男の子が言った。



「何を言っている!! お前このままだと死ぬんだぞ!?」


そう言って、リイアは思い出した。





――決まってるだろ!?僕を殺してほしいんだよ!!






必死の形相で、男の子がそう叫んでいた事を。


この子は逃げられなかったんじゃなくて、逃げなかったのかもしれない。



「これ……で、良……かったんだ。死、神……さん、僕を……僕、を……」



もう喋るな、一番近い病院はどこだ、処置を早く


言うべき事は山ほどあるのに


何も、言えなかった。



「僕を……メイの……と、こに……連れて行って……!!」



強い目だ


喋る事など出来ないような激痛があるはずなのに


これと同じ目を、どこかで見たことがあった




(あぁ……そうか)





これは


何かを『護りたい』という、誰も逆らえない目だ――。



「クロ! 早くこの子をメイという者のところへ!!」


分かっている、というように男の子を抱えあげようとした、その時




男の子の額に、穴が開いた。





「え?」




そして、赤い液体が勢いよく噴出す。


苦しむ間も無く、男の子は動かなくなった。




「おい……おい!!」



体を揺するが、ぐったりとしたままピクリともしない。





後ろを睨むと、まだ煙の出る銃を捨て逃げる男の姿。





プツン、と何かが切れたような気がした。











■□■□■アトガキ■□■□■

少々少なめです。ここできろうか続きを書こうかかなり悩みました。


やっと書きたかった展開が書けました。

なんか自分で書いた小説ってもう自分の体みたいなものなんですよね。

この話を書いていると胸とか額とか押さえたくなりました。


さて、今回は初めて人が死にました。

名前さえ知らないけれど、強い目をした男の子。

この子が命と引き換えに護ろうとしたものは、なんだったのでしょうか。


また、幼いころ武器を持たず血の流れる戦場に立ったというリイア

神崎一族とは、どのような一族なのでしょうか。


無計画な作者ゆえ、いつ謎が解けるか分かりませんが、近いうちにすぐ分かります。


流血表現が苦手な方、もうちょっとリアルに書かんかい!という方、

申し訳ありませんでした。心より謝罪いたします。

長文失礼しました。









男は飛ばされ、そのまま気絶した。


血は出ていない。峰打ちだったようだ。


あまりの速さに、その場にいた全員の時が一瞬止まったように感じた。





「何故、君が……」


やっと、クロが怒りに満ちた声で言った。


「何故君がここにいる!?部屋から出るなと言っ「3つ、質問がある」……」


が、その声は遮られた。


周りにいた敵が襲い掛かってきそうだったが、リイアが刀を向けると動かなくなった。




「1つ、ここにいる者どもはさっき言ってた『ハンター』というやつか?」


「・・・そうだよ」


もう何をいっても意味がないと思ったクロは、素直に質問に答える。



「2つ、ではこいつ等は善か? 悪か?」


「悪だね。確実に」


リイアの瞳は揺るがない。


まるで最初から、答えを知っているかのように。



「そうか。では最後の質問だ」


今までとはまるで違う目つきになったのを、クロは見た。







「『今ここにいる』お前達3人は、善か?」



「・・・」





暫しの沈黙の後、クロの口が開いた。








「僕達は少なくとも、善・・・ではない」







その答えを聞いた途端、リイアの目がフッとやわらかくなった。


「そうか。・・・その答えが聞きたかった」


そう言いながら、邪魔な後ろ髪をポニーテールに結う。


「え?」


どういう事か、と聞こうとしたときにはもうすでに、そこに少女の姿はなかった。



次の瞬間、一人の敵の前にいた。


敵は驚き、武器を構えようとするが、


「がはっ……!」


その間にも、リイアの刀は腹部へ入っていた。


倒れた相手を見つめるリイアの背後から、別の男が剣を持って斬りかかる。


しかし、リイアは振り返らずにそれを刀で受け止めた。


「なっ……?」


おそらくは腕の力のみで、そのまま剣を弾き飛ばした。


そして同じように峰打ちで気絶させる。


残りは2人。今もなお後ろの方にいるリーダー格の男と、銃を持ち震える気弱そうな男だ。


リイアはゆっくりと、その2人のいる方へ体を向ける。


すると、


「う……うわぁぁぁぁぁぁ!!」


半狂乱になった気弱そうな男が、銃を乱射し始めた。


1人に向けて打つ数ではないほどの銃弾が、リイアへと向かう。


「リイア!!」


呆気にとられて立ち尽くしていたクロが、我に返ったようにリイアの元へいこうとする・・・が。





まるで、天使が舞っているようだった。


全く力を入れていないような軽い足取りで、彼女の体は宙へ浮かんだ。


その長い銀髪がなびく。


空中で体を一回転させ、そのまま男の懐へと入りそして、




――ドサッ


同じようにして男の体は地面へと倒れた。










「な、何者だ貴様!!」


震える手で大剣を持ちながら、リーダー格の男が言った。


「私は――」


刀をチラッと見て、強い眼差しを向け続けた。






「私は、神崎一族ならびに『護刀流』17代目当主――名を、神崎リイア」






護刀流――聞いた事もない流派だった。


が、当主であるという彼女の強さが、すべてを物語っていた。



「何故貴様は息を全く乱していない? 仲間に戦わせておいて自分ひとりだけ高みの見物か?」


ほんの少しの曇りもない金色の目を向けられ、男は口ごもる。


「貴様等がこの後どうなるかなど私の知れたことではないが、貴様のような男はどの境遇に合っても同じようなものだ。今ここで、その腐った魂を私が浄化してやろう」




そう言い刀を構えるリイアを迎え撃とうなど、男は考えてはいなかった。


男が見ているのは、リイアの後ろにいるクロ達のさらに後ろ。



「ハンッ!」


鼻で笑い、倒れている仲間の銃を奪い『そこ』へ撃った。



「どこに撃っている? 目の焦点も合わなくなったか。……!!!」






銃弾が向かった先にいたのは、


鮮血に染まる胸を押さえてひざを突く、男の子の姿だった。















■□■□■アトガキ■□■□■

なんかだんだん一話の容量が増えている気がする・・・。


さて、今回はリイアの正体が半分出てきましたね。

『神崎一族ならびに護刀流17代目当主 神崎リイア』

この流派の名前は、第一話を執筆したときからずっと悩んでいたのです。

もっと複雑な名前にしたい。でも思いつかない・・・。

というわけでこの名前になりました。


戦闘中のリイアは、ポニーテールなのです。

ロングだと動き回るのに邪魔ですからねー。


そして狙われた男の子。

作者は忘れていたわけじゃないんですよ。

ちゃんと覚えていましたよ。


もっと更新のペースを速めたいなー

と思いますが意外と多忙のためできないのです。

が、わたしはめげません!

誰かが見てくれる可能性がゼロにならない限り、がんばります!!


長文失礼しました。


「君達はさ、馬鹿だよね。」


武器を持った20人以上の人間を前に、死神のように鎌を持った黒い少年は笑う。


「僕の寿命が目当てなんだろうけど、誰が僕を殺すの? 分けれるわけでもないのに」


すると、真ん中にいたリーダーらしき男の顔に青筋が浮かんだ。


髪がボサボサなその男は大剣を持っていた。



「うるせぇよ、死神!と にかくお前を殺す! それだけだ!!」


男は今にも襲いかかってきそうな勢いだ。


クロはため息をついて小さく、「みんな心の中で横取りを考えてるよ、多分……」と横の2人にしか聞こえないような声で言った。


そして3人は走り出した。西へ。


軍勢も慌てて後を追う。



「天下の死神様が敵前逃亡か!? 逃がさねぇよ!!」



「うーん……逃げるつもりはないんだけど」


走りながら、後ろを振り返る。




「万が一にも、天使を巻き込む訳にはいかないからね」


「確かに、天使さんには刺激が強すぎるかもしれませんね」


「……分かった。もうお前らにはつっこまない」



今までの会話は何だったんだ、と思うカノンであった。











「ん、そろそろ鬼ごっこはやめにしようか」


5キロほど走ったところで、クロが言った。


途中痺れを切らした敵が銃を何度も打ってきたのだが、何故か3人には怪我ひとつなかった。


クロが止まると、双子も止まり敵と向かい合った。



「ハァ……やっと逃げる、のを、あきらめて……戦う気に、なったか……」


「だから、逃げてるつもりはなかったんだって」


息を切らしている大剣の男に、平然とした顔で訂正する。




すると、突然



「ウオォォォォォォォォォォォォォ!!」



大きめのナイフを持った男が、叫びながらクロに突進してきた。


クロは無表情でそれをかわし、鎌で腹を裂く。


血が吹き飛び、男は倒れた。



「グッ……ガァァァァ!」


あまりの痛さに身をよじり発狂する男の腕に、カレンが注射器を射す。


「ァァァァァ……ア……」

まるで魂が抜けたように、ガクッと男は動かなくなった。



「な……何をした!?」



クロはまた笑顔に戻り、言った。



「君達は知らない方がいいと思うよ」



知らないというのも一種の恐怖だ。


動かなくなった仲間の姿に、武器を持つ一同は震える。



「安心しなよ。一応死んではいないし、君達を殺すつもりもないから」


「一応……な」



カノンの意味深な発言に、全く安心できない一同だった。








「睨めっこしてても何も起きないし」



クロがまた、無表情になる。







「始めようか」







カノンはライフルを、カレンは2丁の拳銃をそれぞれ構える。


そしてクロは、鎌を。






「っ……数はこっちの方が多いんだ!突っ込め!!」


軍勢は様々な武器を手に突っ込んできた。



クロに向かって銃の弾が飛んでくるが、難なく避ける。


弾が来た方向に、カノンがライフルを撃つ。


恐ろしく正確に相手の右足に当たり、相手は動けなくなった。


そこに走り込み、銃を遠くに放り投げる。


敵陣の真ん中にいるカノンは格好の的となり、一斉に武器を向けられる。


銃弾や弓矢、クナイのようなものまでも飛んでくる。


が、焦ることなく上に飛び、すべて避ける。


そして空から、目についた3人の手足を破壊する。


着地する瞬間をまた狙われたが、カレンが全てを撃ち落とした。


そのまま双子は、敵の肩や腿など部分的に攻撃する。


剣を持ち襲いかかる男の腕を、クロが切り裂いた。そのまま足も切り裂く。


接近戦に優れた、ナイフや槍をもつ敵の相手をしながら、飛んでくる銃弾を鎌ではじく。


戦闘不能となったものには目もくれず、3人は急所以外の部分を狙って戦闘を続けた。


立っている敵の数はどんどん少なくなり、やがて5人だけとなった。




「ねぇ、君は戦わないの?」


戦いながら、敵でただ一人無傷な大剣の男に、クロが喋りかける。


「大方仲間に僕等を消耗させて、最終的に君が殺そうとしてるんだろうね」


男の頬に、汗が伝う。


「残念だったね。でも良かったよ、この注射器を僕等が使わなくてすんで。まぁあくまで僕等が、だけど・・・・・・リイア!?」






居る筈がなかった。


しかし、一度見たら忘れられないその銀髪と金色の目――何故か右目には眼帯をしているが――は間違えようもなく、天使だった。


男の子を掴みながら信じられないというように目を見開きこっちを、倒れている敵を見ていた。






「何でここに……部屋から出るなって……!!」


どうする―――


その一瞬の迷いに戦いの手をやめたクロの後ろから、敵が鉈を振りかぶる。






カレンとカノンが銃を構える。





が、それよりも早く










天使は刀を抜き、


クロの真横を通り過ぎ


男に向かって刀を振っていた。












■□■□■アトガキ■□■□■

次回、男の子とリイアはどうなるのか!?――とか言った割に出てきませんでしたね。

はい、すみません。


カノンのキャラがつっこみに定着してきました。

まぁ2人ともボケてるつもりはないんですけどねー。


そして今回、やっと戦闘シーンが入りました。

クロは鎌、カノンはライフル、カレンは2丁拳銃を武器にしています。

闘中のセリフはあえて入れませんでした。

普段から戦闘系の本読んでいる人には物足りなかったかもしれませんね。すみませんでした。

なんだよこの駄文!とか思った方、コメでもメッセージでもいいのでアドバイスお願いします。


前回の裏、クロver.って感じですね。

クロは笑顔と無表情が交互に出てきます。

こういう人、対面すると怖いですよね。


次回はリイアがちゃんと登場します。


更新速度を速めたいけどできないコンチキショーな私でした。


あ、もうぶっちゃけちゃいますけど私女なんで

もうとっくに気付いてるよ!的な人、多いと思いますが。

レインは小説書くように作ったんですw


もしよろしければ、このブログの読者にある『あひるの空』ってブログ読んでみてください。

なんて宣伝してみたりして。


長文失礼しました。






















(頼む、戻れ。治まれ私の目・・・!)


部屋にあった鏡を見ると、忌々しいほど青い己の目。


「もう制御は完璧だったのに・・・何でだ!」


どうやっても、目は金色に戻らない。




そして、疑問が消えない。


「あいつ等は・・・何者なんだ?」


リイアは見た。見えてしまった。


去り行く3人に、ありえない筈の数字を。



窓に耳を傾けると、途切れ途切れに聞こえる外の声。












「・・・たち・・・・・・だ・・・・ね」


「僕の・・・・・・・目当て・・・・・・誰が・・・・・」




突然、男の声がはっきりと聞こえた。




「うるせぇよ!死神!とにかくお前を殺す!それだけだ!!」





はっきりと、聞こえた。





死神。





殺す。







その言葉を最後に、何人もの人間が遠ざかっていく気配を感じた。


リイアは思う。


かすかに聞こえたあの声は、自分を拾ってくれたという、あの少年の声ではないかと。


そして、リイアは思う。


全てが黒いあの少年はまるで、『死神』のようではないかと。


男は言った。


『死神』を、『殺す』と





ほぼ無心で、リイアは刀を探していた。


普段は自分の腰につけて、いかなる時も外す事はないのだが、看病してもらう際に外されていたらしい。そばの壁に立てかかっていた。


その刀を腰につけ、今度はベッドの脇においてあった、これまた看病の際に使ったらしい応急セットを見る。


中には期待通り眼帯も入っていて、それを右目に付けた。


そして、開けてはいけないといわれたカーテンを、少しだけめくる。


外には誰も居ずに、ただ平地が広がるだけだった。


ゆっくりと、窓を開ける。


身を乗り出し、窓枠に足をかけた。



「何やってるの?お姉ちゃん」



そのままこけた。


「え?」


「お姉ちゃん、もしかして『BLACK』の人?」


小学校低学年くらいの幼い男の子が、リイアの刀を見ながら言った。


「BLACK・・・? いや、違うが」


「そう・・・ねぇ『死神』って、この中にいる?」


言われて後ろを振り返ると、彩りがまったくない、ただ『家』としての機能しか考えていないような、何の変哲もない灰色の建物があった。


「死神・・・もしかしてクロの事か?」


「そう、死神クロ」


自分の考えが合っていたことを確信したリイアは、今すぐにでもあの3人を見つけたいと思うが、まさか子供を連れて行くことはできない。


「ここにはいない。さっきまでいたがな」


「どこにいるの?ねぇ、死神はどこにいるの?」


「私にも分からない。今日のところはとりあえず帰った方がいい。」


すると男の子は必死の形相で、リイアに飛びつきそうな勢いで叫んだ。


「僕には時間がないんだ!!今すぐ死神に会いたいんだよ!!」


「わ、分かった。とりあえず落ち着け」


なだめるも全く興奮を抑えられない少年に苦戦していると、気付いた。



北の方から、強い血の匂いがする。



(急がないと……)


「こっち?」


「え?あっ、おい!」


フラフラと、北へ歩き出す男の子。


慌ててリイアは後を追う。


だんだんとその足取りは速くなり、ついには走り出した。


「こっちだよね?血の匂いがするもん」


「なっ……」


(この子も気付いたのか。血の匂いで……)



こんな、小さな子が


クロに会うために。



これほどの匂いだ。流れている血の量は半端ではないだろう。


それほどに、危険な場所へ向かっている事を


この子は分かっているんだろうか。



そして何故、血が流れるような場所に、クロがいることが分かるのだろう。



(本当に、あいつは何者なんだ……)



「とりあえず一度止まろう!待て!」


呼びかけるが、男の子の足は止まらない。


それに、速い。


「あ~~~~もうっ!」


「え?」


リイアは自分のスピードを上げ、一瞬で男の子に追いつき、無理やりその動きを止めた。


「放してよ!!死神はこっちにいるんだろ!? 早く、早く死神に……」


「私の恩人を死神扱いするな。君は何の為にクロに会う?」


男の子はギリッと歯軋りをして、リイアの顔を見た。


「決まってるだろ!?僕を殺してほしいんだよ!!」



言ってる意味が分からない。



(ここまでの執念で、何を言うかと思えば、殺してもらう、だと?)



「何を言ってるんだ。そんな馬鹿なことをして、何になる?」


「うるさい!!とにかく僕は殺してほしいんだ。僕が死ななきゃ、メイは……」


「メイ……?」


「正確に言うと、”ギリギリまで”殺してもらう、だけどね」


小声でそう言い、また暴れだす。


が、リイアはビクともせずに、男の子の両腕を掴んでいる。


「とにかく!この先に行っては……うっ……」


右目に、強い痛みを感じた。


そしてつい、手を緩めてしまった。


その隙に男の子はリイアから脱出し、また走り出した。


「待……て……!!」


追おうとするが、あまりの痛さがそれを止める。


「何で・・・こんなの、今までなかったのに……!」


眼帯の上から両手で目を押さえて耐えていると、少しずつ痛みが引いていった。


もう男の子は見えないほど遠くに行ってしまった。


「ハァ……ハァ……」


息を切らしながらも、最高速度ギリギリの、恐れるほど速いスピードで、北へ向かった。




だんだんと、血の匂いが強くなる。




(いた!)


男の子を見つけた。





と、同時に、断末魔の叫びが聞こえた。


1つではない。



「な……?」



男の子を捕まえて肩を掴むが、リイアの目は男の子を見ていなかった。







リイアの目に映っているのは、




血を大量に流しながら倒れている10人以上の人間と



血を流しながらも立ってある人物へと襲い掛かる5人ほどの人間



そして、



血だらけだが怪我をしているようには見えない、つまり





―――返り血を浴びている、恩人達の姿だった。



















■□■□■アトガキ■□■□■

なんかやっと物語が動き始めましたねー。


さて、今回はまず、謎の男の子の登場ですね。

クロに殺されたがっている男の子。

メイとは誰なのか?


そして当のクロたちは、なんと10人以上の人間を倒していました。

クロ達は何者なのか?


BLACKとは何なのか?





すべてはまだ闇の中、ですねー。



次回、男の子とリイアはどうなるのか?


レインはちゃんと更新できるのか?


リイアを見たクロはどうするのか?



お楽しみに・・・しすぎないように。



引き続き、コメント待ってます♪







銀髪の少女は目が覚めた。


……が、どんなに頭を働かせても現状が理解できない。


確か私は、電車に轢かれる直前だったはずだ。


どう事が運んだらこんなフカフカのベッドに寝ていることになるのだろう。



……あぁ、なるほど。



「天国?」


「「・・・は?」」


金髪のツインテールの女の子と、その子にそっくりな金髪の男の子が素っ頓狂な声を上げた。


「なるほど。私は死んだのか。さしずめ君たちは天使といったところか。」


そう言うと、無表情な女の子は銀髪の少女の金色の目をまじまじと見つめながら言った。


「だ、大丈夫ですよ。あなたはまだ死んでません。」


「? それはおかしいな。私は死んでいるはずなんだが・・・」



自分の死を語るにしては冷静すぎる少女に、


「長い銀髪に・・・金色の目・・・。」


男の子が自然に口から出たように言った。


「あぁ、これは生まれつきなんだ。両方共な。」




「君の名前は?」



今まで後ろの方にいた男が突然声を上げた。



まるで塗りつぶしたような黒い髪。


目は漆黒の闇のよう。


そして上から下まですべてが真っ黒な服装。


存在そのものが黒の様な、きれいな顔をした人だった。



(気付かなかった・・・ずっとそこにいたのか。)


「・・・神崎リイアという。」


「リイア、君は突然空から降ってきた。それを僕が拾った。」


淡々と話す黒い男に、金髪の2人は眉をひそめた。


「クロ・・・」


「カレン、特徴が似ているだけだよ。母さんはもう死んだんだ。」


「あの」


何の事か分からない銀髪の少女は、優しげな表情をする男の人に声をかけた。


「ごめんね。君が死んだ僕の母さんにあまりにも似ているから、ちょっとびっくりしちゃって。」


「・・・よく分からないが、助けてくれたんだな。 礼を言う。 ありがとう。」


「いいんだよ。まぁ、看病はほとんどそっちの双子がしたんだけどね。 とにかく目が覚めてよかったよ。調子はどうだい?」


クロと呼ばれたその男は、心配そうに銀髪の少女の顔を覗き込んだ。


「あぁ、どこも悪いところはない」


「じゃあもう自分の家に帰るといい。ここは危険地区だ。夜になると『ハンター』がでるからね」



「ハンター……?」


何の事だか。そう首をかしげたリイアに3人は目を見開いた。



「ハンターを知らないのですか!?」


「嘘だろ……」


「この子の親は何を教えてきたんだ・・・。」



まるで常識を知らないといったような言い方に、少しムッときた。


「ハンターとはなんだ?狩猟者か?なぜそれが危険なんだ?」


「本当に知らないのか?」


「知らないといったら知らない。私は嘘は嫌いなんだ」


「・・・ハンターというのは、『寿命還元システム』を利用し己の寿命を延ばす悪人のことだよ」


「寿命還元システム……」



聞いたことのない単語のことを尋ねようとしたとき、突然カレンという金髪の少女が窓を閉ざしていたカーテンをめくりながら変わらぬ無表情で言った。


「クロ、来ました」


「うん、予想通りだ。いいかい?君は絶対にこの部屋から出ちゃいけないよ。カーテンも絶対に開けてはいけない。僕達が帰ってくるまで大人しくしていること。」

「あ、あぁ」


いきなり無表情になったクロに驚き、つい承諾していた。


返事を聞くと、クロはにっこりと笑って双子と一緒にドアの方へと向かい歩き始めた。


リイアはその姿を茫然と見て……


「!?」


突然手で目を押さえた。


「ありえない……嘘だろ……!?」



もう出て行った3人は、その声には気付かなかった。






そして、また






銀髪の少女の右目が澄んだ青になっていることにも






気付いてはいなかった。
















■□■□■アトガキ■□■□■

ふぅ、やっと更新できた。

もしもこんな私めの小説を楽しみにしてくださっている方がいるのならばごめんなさい。

以後頑張ります。


さて、今回は・・・っていうかクロとか黒い男とかカレンとカノンとか金髪の少女だとか金髪の少年だとか・・・

わかりにくくてすみません。

一応話のおおまかな流れが完成するまではリイア目線とクロ目線の2本で行こうと思っていたのです。


で、結局リイアがクロの母さんと特徴が似ていたんですねー。

これにもなにかと訳があるのですが、まぁその話はまた後日。

銀髪で金眼とかあんまいませんからねー。


何気に金髪『ツインテール』って補足説明入れてたのですが、前回入れ忘れたというありがちミスなのでどうか見逃してください。


さらに、ヒロインの名前は『神崎リイア』なのですが、苗字は日本的なのに名前は外国ですよね。

この話もいれようと思ったのですが、何か話の都合上無理そうなので、またいつかアトガキで話します。

そんなにこみいってはないですけどね。


『ハンター』『寿命還元システム』

なにかと単語が出てきましたね。

大事なところです。テストにでるのでしっかり読んどくように。




ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました♪






「おかえりクロ。遅かったな……ってまた連れて帰ったのか?」


カレンが抱えている少女を見て、金髪の少年が言った。


その顔は、カレンの顔をそのまま写したようにそっくりだが、彼には表情があった。


服装は、カレンのと似ている、半袖のカッターシャツに、半ズボン。


髪型は短髪で、ところどころでツンツンはねている。


「カノン、この方は天使さんです」


妹が当たり前のように言った言葉に、兄は疑問符を浮かべる。


「えっと……は?」


「だから、天使さんです」


「……カレン、馬鹿な俺にもわかるようきちんと話してくれないかな?」


「クロが見つけた天使さんです」


「誰が見つけたとかそういう意味じゃねえよ!天使という単語の意味がわかんねぇんだよ!」


「我が兄ながら悲しいです。 天使とは、天界にあり、神の使者として人間に神意を伝えたり、人間を守護したりすると信じられるものの事です。 こんなことも知らないのですか」


「そーいう意味の『意味』じゃなくて! ~~~~クロっ!」



「…………


なんとも可哀想な双子の会話を聞いて、クロはカノンに事のいきさつを話した。




「・・・というわけなんだ」


「クロ、天使が地上で気絶することはまずないと思うぜ」


「うん、言われたのは二回目だよ」


顔以外は全然似ていないが、こういうところでやっぱり双子だと思う。


別にクロだって、本気でこの少女が天使だとは思っていない。


が、真顔で否定されると何となく恥ずかしくなる。


「ただ、まぁ落ちてきたって言うのは不思議だよな。 怪我もないし。 それに……」


カノンは、気絶している少女を見ながら、チラっとクロの方を見た。


「銀髪なんて、そうそういない」


「…………」


クロは一瞬、眉間にしわを寄せたが、すぐに戻った。


「んー……とりあえず後で考えるとして、僕はシャワー浴びてくるよ。 カレン、その娘は頼んだよ」


そう言って、シャワー室の方へと歩いて行った。


「了解です」






(銀髪……か)






シャワーを浴び終わり、いつもの服を着たクロは、自分の部屋へと足を進めた。


部屋に入ると、双子がベッドに横たわる少女を心配そうに見つめていた。


「あ、クロ」


「まだ目は覚めないのかい?」


「見たとおりです」


少女の首元に手をやって、カレンはふぅっとため息をついた。


「脈拍も正常、打撲などの外傷もなし。 かといって眠っているわけでもない。 何故気絶しているのかさえもわからないのであれば、処置のしようがありません」


「そう……。 あいつがいれば何か分かるかもしれないけど……」


「まだ無理だろうよ。 さっき出たばっかだ」



素人の判断で何かしらするよりは、黙って様子を見ておこう――と言おうとした時。



「ん……」


「「「!」」」


銀髪の少女が、意識を取り戻した。


三人が注目して見る中



ゆっくりと開けたその目は―――金色だった。



カレンとカノンは驚いてクロの方を見る。


クロは目を見開き、わずかに震えていた。



「かあ、さ……ん?」

















■□■□■アトガキ■□■□■

こんにちは。最近疲れ気味のレインです。


さて、今回は新キャラが出てきましたね。カレンの双子のカノンです。

この双子ちゃんですが、もちろんクロと血はつながってません。


そしてもう一人、『あいつ』。

これについてはまだ秘密です。


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


次回、クロが発言した「かあさん」とはどういう事か?


お楽しみに♪・・・しすぎて後でガッカリしないように。おそらく予想の範囲内です。



引き続き、コメントでの感想お待ちしておりまーす☆







天使が降りてきた。


その綺麗な長い銀髪と白い服をなびかせながら。


何かを悟ったように目を伏せて。


僕の方へと降りてきて降りてきて―――


そのまま地面へと落ちた。



「……」



訂正。天使が落ちてきた。


翼をなくした天使が……天使かなコレ。


目を伏せていたのではなく、気絶しているだけ。


触れれば消えてしまいそうな華奢な体つきなのに、なぜか腰には刀がついていた。




これが、少年と少女の出逢い。


この出逢いが、双方の運命を大きく変えることは、今はまだ誰も知らぬことであった。




黒いマントをはおり鎌を持った少年。


顔立ちは端整で、黒い髪に黒い瞳。


肌の白さ以外は、全てが真っ黒なその姿。


逆に肌の白さが、その黒さを際立たせている



少年は近寄って、顔を覗き込んで見る。


「!」


落ちてきた少女の顔を見た時、少年の顔が強張る。


「……似てるな」


(遠い昔、目の前で失った、あの人に――)


少年はしばらく固まっていたが、だんだんとこの状況の奇怪さについて考えだした。



(まさか、本当に天使だったりして)


「天使さーん」


声をかけるも、天使が起きる事はなかった。虚しくその声は響く。


「天使さん、さっさと起きて僕を殺してくれないかな。」




この世に神があるのなら、僕は神を殺すだろう。


それを言ったら天使は、僕を殺してくれるだろうか。




もう一回、今度はもっと大きな声で。


「天使さん、神様が怒ってるよ。さっさと起きない「何やってるんですかクロ」……と……」


「カレン……


声のした方を振り向くと、少年よりも小柄で幼い、金色の髪をツインテールにした少女が目の前にいた。


七分丈のカッターシャツにミニスカート。


その顔に表情はなく、まるで機械の様に言葉を紡ぐ。


「その怪我した女性を助けるのなら、そこで起こすよりもアジトに連れて行ったほうがいいと思うのですが」


「いや、触ったら血がついてしまうだろう?」


カレンと呼ばれた少女は小首をかしげた。



「そんな事。いつものクロなら気にしないじゃないですか。顔が判別つかなくなるくらい敵の返り血で真っ赤になっていた三歳の女の子を連れて帰ってきたときにはさすがに驚きまし」


「あの時はしょうがなかったんだってば。敵は80人くらいいたんだから。どこかに置いてたら誰かに殺されていただろう。だから僕はその女の子を抱えて戦った。その結果さ」


「では、御自身の体にかなり返り血がついていた状況で、ただの擦り傷を負った女性を抱えて走って帰ってきたせいで、女性も血まみれになっていた時のことはどう御説明しますか?」



「…………」



「ほら。今更何を気にしてるんですか。いつまでも外に寝かしておいた方が可哀相でしょう」



……良く分からないけど、天使は血で汚しちゃいけないって思ったんだ。



「良く分かりませんが、天使が地上で気絶する事などないと思います」


「……僕声に出してた?」


その問いには答えず、カレンは少女に歩み寄った。


「どこも怪我はしていないようですね。この女性はクロが助けたわけではなくただ倒れていたのですか?」


「いや、落ちてきた」


そう言って、クロは空を指差す。


「……」


「本当だよ。いきなりね」


「信じますよ。私はクロが言うことならなんでも」


そう言いながら、カレンは自分より大きい、天使のような少女を抱えた。


「まぁ、クロが天使だというのならば信じましょう。クロも一緒にさっさと帰ってその血を洗い流しては?」


「賛成。帰ったら僕のベットに寝かしといて」


「了解です」















■□■□■アトガキ■□■□■

文才がほしい。

どうせ私なんて、私なんて・・・・・!


がんばって生きていこうと思います。


さて、今回は少年クロと天使――分かったと思いますが1話の銀髪少女との出会い(?)ですね。

クロが「触ったら血がつく」といっていたのは、もちろん自分の血ではなく・・・まぁ、ついさっき戦闘をしたからですね。

毎日人が死んでいくのが当たり前の世界なので、これから、流血表現が増えます。苦手な方はご退散を。


はっきりとした年齢は後々重要になってくるので言いませんが、クロは見た目17歳、カレンは見た目13歳くらいかな?


もっと早く更新できるようがんばります。


コメントで、感想書いてくださいね♪









(あー、あと0.5秒早く気付いてたら何とかなってたのになぁ・・・。)


銀髪の少女は、周囲の悲鳴からは想像もつかないほど冷静だった。


ふっと横を見ると、ホームで女の子が泣いている。


(良かった。あの子だけでも助かって。)






少女がそのきれいな金色の目をつぶると、人生の思い出が走馬灯のように流れる――事はなかった。







別に死ぬ寸前に見るような思い出なんて、流れるほど持っていない。


その目に映るのは、親友の笑顔。





別に死にたくないなんて思わない。


ただ、くだらない。


ずっと謎だった。


『私はいつ死ぬのだろう。』


やっと答えが見つかった。



・・・くだらない。






「こんなとこで、私は死ぬのか。」






次の瞬間、少女の視界は闇に覆われた。











■□■□■アトガキ■□■□■

いやぁ、内容は考えていたものの、作者は気づきました。

―ヒロインの容姿考えてない。


そんなこんなでかなり時間がかかってしまいました。


さて、この物語のヒロインは、銀髪で金色の目をした少女。

人生で最大の謎が自分がいつ死ぬのか といったちょっと不思議な子です。


で、突然ですがヒロイン絶体絶命の危機です。


ちなみに、ヒロインは線路内に落ちた女の子を助けてこの状況になりました。

分かりにくかった方ごめんなさい。