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花田秀次郎ブログ

高血圧気味です

その「お母さん」と声を発するときに、

息子の俺へのためらいと気兼ねが感じられた。

無理もない。

離婚後、息子と俺は「お母さん」の話題を互いに避けていたし、

あれから15年の月日が経過した。

今さら彼の「お母さん」のことは

思い出すこともないし、会いたいとも思わない。

ただ、「横領」とか「失踪」とか、普段耳慣れない単語が

息子の口から出てきたときに、以前の結婚生活が少しずつよみがえってきた。

「横領」や「失踪」が日常生活になっていた結婚時代…。

「お父さんは、前に、絶対にお母さんには金を貸すなと言ったよね。」

「うん、そうだ」とつぶやいた。離婚して間もない頃、俺は息子への教訓として

その言葉を息子に告げた。それに加えて、金を貸したらお前の人生が

滅茶苦茶になるぞとも伝えた。

息子のその言葉を聞いて、覚えていてくれた事で少し安堵した。

「横領って、いくらだ? 何千万か?」

続く
息子は電話口の向こうから、

声を絞り出した。

「お父さんは昔、オレにこう言ったよね。

お母さんに金を貸してはダメだと…

実は…

母さんが会社の金を横領して失踪した…」


続く







昨日の深夜、

息子から電話がかかってきた。

東京に行ったきり、

2年間音信不通だった息子。

風の便りでは埼玉の近くで働いているらしい。

「お父さん、実は話があって…」

なんか、いやーな予感。

そういえば、息子はなんとかというブスと同棲していたが、

その女とは別れたというこれもまた風の便りで聞いた事がある。

別の女にでも孕ませたのかな?

俺はまだ孫の顔なんて見たくない。

「……」

電話口でなかなか言い出さない息子。

イヤな予感はますます高まった。

殺人でもしたのか!

親の務めとして、出頭させなければ。

付き添う事を覚悟した。



あまりにも話すのをためらい、

沈黙を続ける息子。

人生の岐路に立っているんだなと俺は感じた。

緊張に耐えることができず、

「なんだよ、言えよ」と息子に促した。

意を決したように、彼はつぶやいた。

「お父さんは昔、オレにこう言ったよね。」

その言葉に俺は衝撃を受けた。

つづく…