1.2011年3月11日14時26分にM9.0の日本の観測史上最大、世界的にも20世紀以降最大級の地震が東北関東の太平洋岸地方を襲い、津波も5分後から90分後にかけて最大高20mに上るものが太平洋沿岸に到達して、戦後最大の災害をもたらした。

2.さらに、福島第一原発が地震による受電鉄塔の倒壊と津波による予備電源室の浸水で電源喪失を起こし、冷却機能が喪失し、ベントの遅延から水素爆発をおこし、注水の遅れから使用済み燃料棒の臨界爆発を起こして放射性物質を大量に放出するなど、レベル7の原子力事故を起こした。

3.以上の人的損失は死亡・行方不明が約2.5万人、経済的損失も地震津波だけで25兆円、原発事故によるものも10兆円程度と推定される。さらに関東地方の節電停電や自粛ムードにより、復興需要を考慮しても本年度はGDPの5%以上の減少が予測される。

4.大災害に対する国民の対応は、風評形成や過剰な人格非難を除けばおおむね冷静で、また行政(国、県、市町村)、関係機関(自衛隊、海保、警察、消防等)、NPOなどボランティアの復旧活動も目覚ましく、日本の国民力の大きさが示された。一方諸外国の支援申し入れも100か国以上に上ったが、法的制約などから受けいれが十分でなかった。

5.戦後最大の災害に直面して、わが国は長期的な国家観の確立を迫られている。拡大再生産のみが資本主義社会の生きる道なのか、科学は単純の福音たりうるのか、国民の幸せはどこにあるのか。歴史をふりかえり、この大きな問題の答えを模索すべき時であろう。

6.原子力発電については、その事故の確率は低いとしても、と  てつもない災禍をもたらしうるものであることを考慮すると、推進を断念せざるをえない。今後、津波を考慮した東北地方の都市計画とともに、日本全体の電力需要の再計画が必要となろう。福島原発の30km以内の土地を買い上げて国有化し、太陽光パネルを敷きつめ、自然力発電への変換の象徴としてはどうか。