季節風の影響か、サクラメントにあるエネルギー委員会からデービスへの自転車の帰り路は大変な向かい風であることが多かった。とくに高速道路の側道では、さえぎるものが全くないので、風は容赦なく吹き荒れ、立ちこぎをしてもなかなか進まないこともあった。

 

が、これはかなり良い筋トレになっていたらしい。自転車通勤をはじめて2か月くらい経ったころ、何気なく太ももの裏を触ると、自分でもびっくりするほど肥大していて、おもわず声を上げた。毎月1000キロくらいのペースで走っていたのだから無理もない。

 

ちなみに、この自転車通勤は2か月くらいで終わった。サクラメントへ引っ越したからである。引っ越したのはデービスに住む前、最初のアパート暮らしをした場所である。元々いたところに戻ってきたというわけである。秋以降も相変わらずエネルギー委員会へは週2-3回くらい通ったが、行程の8割近くは、自宅の前のアメリカン川のサイクリングロードとなった。


自宅の玄関から自転車にまたがり、勢いをつけて3メートルくらいの土手まで駆け上がり、その勢いのまま土手の向こう側へ土煙をあげて降りる。目の前が幅3メートルほどの舗装されたサイクリングロードだ。アメリカン川の河川敷は大自然がある程度そのまま保存された風景があり、かなり気持ちの良いサイクリングであった。通勤距離も以前デービスから通っていた頃の半分くらいになったと思う。

 

自宅の前がアメリカン川であったことは本当に幸運であったと思う。留学期間4年半のうち、2回にわたり通算3年以上このアメリカン川の傍に住んだわけであるが、サイクリングとジョギングでいったいこの河原を何千キロ走ったであろうか。ジョギングは心身の健康の維持に欠かせなかったし、大自然を感じられる河原の美しい四季に触れるのは大変癒された。

 

 

(つづく)