7月の晴れた朝、デービスの自宅からサクラメントのエネルギー委員会までの自転車通勤に初めてトライした。まず街はずれに行く必要がある。住宅街がなくなり畑ばかりが広がるエリアに入ると、高速道路の側道にある自転車専用道路の入り口がある。

 

初めて自転車で行ったときには、この入口が見つからず、しばらくは高速道路と並行にのびている農道のようなところを走った。そのうち、20~30メートル先にある高速道路に、私が探していた自転車用の側道が見え、どうやら

入口を通り過ぎてしまったことが分かった。ただ、農道から自転車用の側道までの間は草地が隔てていたため、私はしばらく農道を走りながら、側道へたどり着くチャンスをうかがった。が、そのうち高速道路と並行に走っていた農道がどんどん離れて行ってしまう気配になったので、自転車を担いで、側道に向かって草地を強引に渡ることにした。

 

草地には白い綿のようなものが縦横無尽に覆われていたが、ここに分け入ってみてわかったのは、この白い綿はすべて蜘蛛の巣であった。蜘蛛の巣で一面に覆われた草地なぞは初めてであった。かなり気持ち悪かったが、サクラメントへ向かう高速道路から離れつつある農道へ戻るわけにもいかず、我慢して進んだ。はじめは膝くらいの草地も奥へ進むと腰くらいまであった。こんなにもびっしりと蜘蛛の巣で覆う蜘蛛とはいったいどんな大きな蜘蛛だろうかと想像しながら、勢いを止めずに頑張って進んだ。気持ち悪さと格闘すること4-5分、とうとう蜘蛛の姿を見ることなく、側道に辿り着くことができた。帰路では側道にスムースに行ける入口を必ず見つけようと心に誓った。

 

側道に入れはこっちのものである。追い風にも煽られ、一気に距離を稼いだ。

 

8合目くらいまで来ると、ウエストサクラメントという住宅街に入る。住宅街といっても、低所得者の地域で、どことなく荒れた風景。あまり長居したくないエリアであった。ここを越えてサクラメント川の橋を越えるとサクラメントの中心街となる。

 

毎朝7時半頃に家を出て、9時前に到着していた。夏のことでもあり到着すると汗びっしょりである。毎回、自転車を裏口あたりに停めると、まずトイレで着替えていた。

 

 

(つづく)