平均一日1000キロの移動で6日目には、ニューヨークの隣であるニュージャージー州に到着した。
最終目的地はニューヨーク市のブロンクスというマンハッタンの北隣にある下町であったが、そこから車で1時間半ほどにあるニュージャージーの海辺の別荘地に一泊だけ滞在し、そこで年越してから最終目的地に向かうことにした。カリフォルニアから続いた貧乏旅行であったが、年越しくらいは少し楽しみがあっても、という趣向であった。
ここは砂浜が何キロにもわたって続く静かな別荘地。夏は人が多そうであるが、冬季はほとんど人影もないようである。
適当な宿にチェックイン。カリフォルニア以来、各地で連続6泊したモーテル6はもうない。値段も一泊65ドル。客は我々ともう一組くらいであった。
宿は砂浜から徒歩2-3分の立地。チェックインの後、さっそく砂浜に出る。いままで見たこともないとても広大な砂浜。長さは数キロ、陸地から海までも200メートルくらいはありそうだった。晴れていたが気温は0度くらいだろうか。目の前には初めて見る大西洋があったが、波も少し高く、風も強い。
ニューヨークで住むところは決まっていたが、仕事など、それ以外のとは何も決まっていなかった。閑散として寒い別荘地に、この漠然とした不安もあいまって、寂しい年越しであった。一生のうちで最も寂しい年越しでだったと思う。なんだか奥さんに申し訳ない気持ちであった。
(つづく)