Mr. short storyです。
今回もラブライブ!μ'sについて考察して行きましょう。
前回の記事では、センター及びリーダー位を巡って、μ's全体を大きな激震が襲った事について解説しました。
高坂穂乃果はなぜリーダーを務めているのかと言う希が提議した疑問。
そして、それを受けて矢澤にこにより発動された穂乃果下ろし。
それは、メンバー全員を巻き込んだ新リーダー決定戦へとつながり、その結果、改めて穂乃果が全体リーダーとして返り咲き、次期PVのセンターも彼女が務める事で収まりました。
未曾有の政治的変動を経た後の大円団。
しかしこの試練により、それまで穂乃果を中心としたアイドルグループに留まっていたμ'sは、それぞれが主役かつセンターとしての意識を持つスクールアイドルユニットとして生まれ変わったのです。
また同時に、μ'sとアイドル研究部の合体、そしてなにより、矢澤にこの加入により生じた内部構造の複雑化や摩擦のリスクを、見事に処理する事が出来ました。
高坂穂乃果自身も、アイドルグループ単体のリーダーから、先輩後輩の枠を超え、複数の組織にまたがる全体リーダーとして飛躍的な成長を果たしました。
特筆すべきは、このプロセスにメンバー全員が参加し、彼女達自ら改めて穂乃果をリーダーとして推戴した事です。
だとすると、7人体制初めてのPVとなった「これからのSomeday」は、そう言ったμ'sの刷新を内外に示す意味が込められていたと考える事が出来ます。
しかしその反面、まだまだ謎が残ります。
特に、東條希と矢澤にこ。
この政治劇を仕組み、その口火を切った2人には、どのような目的や思惑があったのでしょうか?
また、自らのリコールを口にされても、高坂穂乃果はなぜ全く動じなかったのか?
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にこの乱
生徒会による音ノ木坂女学院の部活動紹介。
この企画の対象には、アイドル研究部、そしてその部員となっていたμ'sも含まれていました。
しかし、その撮影に出向いた副会長東條希は、突如リーダーとしての高坂穂乃果の資質に疑問を呈し、これを受けて矢澤にこによる穂乃果下ろしが開始されてしまいます。
その目的は、穂乃果に成り代わり自らがμ'sの次期リーダー、更に新PVのセンターに立つ事。
確かににこはスクールアイドルの先駆者であり、先輩であり、そしてアイドル研の部長でした。
しかし、彼女のこの行為はある意味下克上であり、クーデターと考える事すらできます。
ここでは彼女が後釜を狙って断行した穂乃果下ろしをにこの乱と呼ぶ事にします。
なぜにこは暴走したのか?
しかし、にこの乱自体はアイドル研に置いてもμ'sに取っても極めて大きなリスクをもたらす代物でした。
仮ににこが次期リーダーやセンターになったとしても、穂乃果時代よりも何かが良くなる保証はない。
のみならず、これによりリーダーから引きずりおろされた穂乃果始め、不満や不安、不信を抱くメンバーが現れ、チーム内で不協和音や疑心暗鬼の嵐が吹き荒れ、最悪分裂の危機を迎えかねない。
にもかかわらず、にこはメンバーの融和や協調よりも己の野心を優先し、強引な行動に出た。
確かに彼女は、学年でもスクールアイドル歴においても穂乃果達より先輩であり、部長の役職はリーダーと対等であると考える事も出来ます。
また前回の記事で、この政変が起こった原因は、そのにこの加入、更にμ's、アイドル研連合体制の成立により、内部構造が複雑化したためだと結論しました。
それゆえに、一度穂乃果がリーダーを降り、全員で公平に次期リーダー決定戦を行い、最終的に新PVにおいて全てのメンバーが推戴する形で、改めて彼女が全体リーダー兼センターの座に就くプロセスが必要であったとも述べました。
しかし、それを踏まえても、にこ自身が穂乃果に取って代わろうとしていたのは事実であり、一女子高生である彼女が、最初から組織やチームのためだけに、私利私欲無く乱を引き起こしたわけでもなさそうに思えます。
更には、この挑戦を受けてなお、ほとんど焦りも怒りも示そうとしない高坂穂乃果も、どこにでもいる普通の女子高生とは思えない様子を見せこの謎を深めます。
迫るにことぼける穂乃果
高坂穂乃果と矢澤にこはμ'sの中でも1、2を争う強キャラなのは間違いありません。
現主人公と旧主人公。
あるいは表の主人公と裏の主人公。
大きな成功目指して未来へとひた走る現リーダーと、深刻な挫折に満ちたを抱える前リーダー。
その経歴においても立場においても、両者は一見瓜二つにして、しかも実際は真逆のバックグラウンドを擁してもいたのです。
その関係は光と影、もしくはコインの裏表に例える事も出来るでしょう。
故に、アニメ全編においてこの2人は他のメンバーとは一味違う応酬を演じており、時としてそれは衝突や波乱を含む局面に至ったケースも一度ならずありました。
そしてその際、両者とも引くに引けない、もしくは抜き差しならない状況になりかけると、毎回決まって彼女達は同じ戦法を取っています。
正面からぶつかるにこに対し、穂乃果はとぼけてかわして見せる。
そして柔よく剛を制すの言葉通り、大抵は穂乃果のペースで事態は解決されています。
その最たるものこそ、今取り上げているにこの乱でしょう。
にこは希の発言を経て、好機到来とばかり早速穂乃果下ろしを宣言してしまいます。
これに対し、穂乃果は焦るでも怒るでもなく、にこのクーデターにも自分の立場にも全く頓着を見せず、まるで他人事の様に振舞っています。
その有様は、親友の園田海未から本当にそれで良いのか?と心配される程でした。
ですが、こうする事で、穂乃果は決定的な衝突を回避しつつ、にこの挑戦をうまくかわし、それでいて主導権を取り戻す機会をしっかりと伺っていたのでしょう。
実際に、にこの乱を経て、穂乃果はリーダーから引きずりおろされるどころか、かえってアイドルユニットへと進化したμ'sのセンターかつ全体リーダーに返り咲いています。
こうして見ると、リコールと言うこれまでにない危機に面しても、穂乃果は動じる事無く表際とぼけて見せながら、必要な目標、守るべき立場は全て確保している事が判明します。
またここから、本心では彼女がリーダー位を手放すつもり等さらさらなく、単ににこの猛攻をしのぎ、上手い具合に落とし所を見つけようとしていたと考る事が出来ます。
実際、新リーダー決定戦の流れがグダグダになると、彼女はみんながセンター宣言を出して、この議論が不毛化する前に、ひとまずの円満解決を実現させました。
曖昧な方策ではありましたが、しかしこれにより、彼女は自分の立場を脅かしたにこにも、それとなく逃げ道を与えてあげています。
だからこそにこの方も、しかたないわねと敗北を悟り、以後この件で騒動を引き起こす事はなかった。
これだけの事を、一女子高生が誰にも相談無しで成し遂げているのだから、高坂穂乃果の交渉力、そして政治力は並みの大人顔負けなのは間違いありません。
以上の流れを見ていくと、彼女がリーダーを務めたμ'sが第二回ラブライブ!の覇者となり、スクールアイドル界の天下を取れたのは、必ずしも偶然や奇跡の産物のみによるものではない事が見えて来ます。
そういう意味では、穂乃果には最初から天下人になれる資質が備わっていたと考える事が出来るでしょう。
のぞにこ~密談はあったのか?~
ですが、そもそもにこの乱が勃発したきっかけを作ったのは、生徒会副会長の東條希です。
彼女の発言があったからこそ、にこが穂乃果下ろしを企てた事については、これまでに何度か触れてきました。
まるで示し合わせたかのような両者の言動。
実際に彼女達がそんな企てをしていた可能性はあったのでしょうか?
確かににこが暴走を始めても、希はこれを止める事も、騒動の原因となった自身の発言について何らかのコメントをする事もしてはいません。
彼女はμ'sの名付け親であり、穂乃果達の活動に理解を示すと共に、それへの支援を惜しまなかった事については、これまでに何度か言及して来た通りです。
にもかかわらず、そのアイドルグループがにこの乱により大きな騒動に見舞われ、内紛の兆候すら示しているのに、希は特にこれと言った仲裁や介入を一切試みていません。
これは、普段の彼女からすれば考え難い振舞です。
では逆に、希がにこに穂乃果下ろしを発動させる必要性やメリットはあったのでしょうか?
普通に考えれば、なさそうに見えます。
事実、プラスになる要素は皆無だったでしょう。
しかし、より消極的な目的、つまりマイナス要因を取り除く、少なくとも緩和させると言う狙いはなかっただろうか?
例えば、プライドが高く、スクールアイドルの先行者にして旧グループのリーダーだったにこの不満を、何らかの形で解消させようとしていたのではないか?
にこは穂乃果をリーダー位から引きずりおろし、自身がそれに取って代わり、次期リーダー兼新センターになってやろうと画策していました。
しかし、それも裏返せば、現状に対する不満を抱えていたからとは言えないだろうか?
にこと希はアニメの描写より、旧知の間柄、それも、少なくとも希サイドに取ってはかなり親しい関係だったのが垣間見えます。
μ'sとアイドル研の合同化に関しては、希は穂乃果とにこの間を動き回り、双方の調整役・コーディネーターとして活躍しています。
更に、このエピソードに関しては、恐らく希はにこの要望やメッセージを穂乃果に伝える役も果たしていただろうと、以前の記事で考察しました。
また、アニメ版の希は、他の媒体と比べてもとりわけ政治力が優れているキャラとして描かれています。
段取りや根回しが得意な黒幕キャラとして動く事が出来るわけです。
その希が、ある種無神経な発言を行い、みすみす自身が育てようとしているμ'sを危機に陥れてしまうとは考えにくい。
むしろ、そのμ'sとの合同後、不満を抱えるにこの愚痴を一度ならず聞かされていた彼女が、致命的な事態に至る前に、それを解消させるべく一肌脱いだのではないのか?
その不満とは?
そうです。
本来なら自分がリーダーをやってしかるべきなのに、後輩にしてスクールアイドルとしては新参の高坂穂乃果に仕切られているのが不満である。
事実、にこは希の発言が出た途端、待ってましたとばかりに部室会議を開き、自分が部長になった時点で一度考え直すべきだったと切り出し、すぐさまこの娘(穂乃果)はまるでリーダーに向いていない、と畳みかけています。
更に、その根拠として、今回の取材でその件が明らかになった、と述べてもいます。
この様な彼女の言動を踏まえると、どう考えても本人が現状に満足している、とは言えません。
だからこそ、にこの乱が引き起こされた。
無論、これによりアイドルグループは分裂の危機を迎えてしまいます。
ですが、否、だからこそ、μ'sが致命的事態に陥る前に荒療治を施しておく必要性を希は認めていたのではないか?
それには、前回の記事でも扱った、穂乃果とにこ両頭体制による危うさや組織構造の脆さを何とかしたい、と言う考えもあったでしょう。
しかし、希にも目算があり、実際には最初からにこの乱が成功する見込みは薄いと踏んでいたのではないか?
つまり、にこにある程度好きにやらせても問題ない。
だからこそ、まずはにこと穂乃果の緊張状態、特ににこの不満や野心やプライドを上手く処理させる事を優先した。
さすがのにこも、自分でやってみて上手くいかなければ諦めるだろう。
まして、そのために希までもが手を貸してやったのだから、文句を言える筈がないわけです。
ではなぜ、希はにこの乱が失敗に終わると分かっていたのでしょうか?
成算薄し
東條希は生徒会副会長として、多くの会議やプロジェクト、イベントを手がけた経験があったのは間違いありません。
組織やグループ運営についてはお手の物だったわけです。
それを踏まえた上で、希視点からにこの乱を見てみましょう。
にこ加入以前のμ'sは、既にリーダー穂乃果の下でしっかりまとまっている。
二年組の海未とことりに、彼女に取って代わりリーダーになるような動機や意欲はない。
一年組に至っては、先輩を差し置いてトップに立つなんて発想すらなかったでしょう。
他に適任者として園田海未が複数からの指名(穂乃果含む)を集めていましたが、当人はあからさまに物怖じした様子を示し、それを引き受けはしませんでした。
つまり、にこ以外はリーダー交代論はともかく、自ら新リーダーを務めるつもりは全くなかったのです。
かと言って、今更にこをリーダーに据えてその号令に従う事を望んでいたのか?
無論、そんな気持ちもさらさらなかったのです。
意欲に燃えているのはにこ1人だけ。
他のメンバーはほとんど興味を示さない。
示したとしても、自発的にアクションを起こす者はいない。
急な話しに戸惑い、なんでこんな事に、と狼狽を感じてもいたでしょう。
更に言えば、にこ以外のメンバーからすれば、表際気にしてなさそうな穂乃果の内心も気になっていた筈。
本当にリーダーから追放されたとして、彼女が愉快なわけがあるだろうか?
大体、仮ににこが新リーダーになったとして、穂乃果程強力なカリスマを発揮しメンバーからの人望を集められる保証がどこにあるのか?
大半のメンバーがこう考え、先行きに不安を抱えるのはむしろ当然だったでしょう。
そして、こんな状況で延々と会議を行ったらどうなるか?
堂々巡りになるに決まっている。
東條希なら、こうなるだろうと予測を立てるのは難しくなかったでしょう。
更に、膠着状態が続けば、いずれにこの立場が不利になるだろう事も。
だからこそ、彼女はひとまずはにこの好きなようにやらせてやり、おまけに助け舟すら出してやったのではないか?
成功する望みなどほとんどないのだから、にこの暴走を容認しても、破局等起きようがない。
後は、いずれ疲れて周りの目を気にし出した本人が諦めてくれるのを待てば、この騒動は自然に収束する。
希としては火遊びも程々に、と言う気持ちでにこのわがままに付き合ってあげたのかも知れません。
穂乃果の思惑
高坂穂乃果と矢澤にこ。
方や現リーダーであり、もう1人は旧リーダー。
なおかつ、にこはこの時点で唯一そのリーダー位を狙う存在でした。
だからこそ彼女は、穂乃果を引きずり落とすべく乱を起こした。
しかしその反面、他のメンバーはどうだったでしょうか?
新リーダーや次回のPVセンターに関して、穂乃果とにこ以外の全員はほとんど関心が無いか、あっても自ら名乗りを上げる決意や気概を持つ者は皆無だった事は前の段で触れた通りです。
これを踏まえると、穂乃果がにこの乱に接してなんで焦らなかったのか、その根拠が見えてきます。
にこと自分を除けば、次期リーダーのポジションに興味を示すメンバーはいない。
更に、彼女達に、にこを支持する気持ちはほぼない。
μ'sの発起人であり、ファーストライブの挫折を乗り越えてここまでみんなを引っ張って来た自分を差し置き、代わりの誰かを望むものはまずいないだろう。
事実、新リーダーを決める会議はぐだぐだになり、にこは全員参加の競争で決める事を提案するに至っています。
どう転んでも、にこの思惑通り事が運ぶ可能性はほとんどないのだから、穂乃果としては悠然と構えていられるのです。
勝つためのゆらぎ
しかし視点を変えれば、にこと穂乃果以外のメンバー達は、リーダーやセンター位の行く末も含めて、チーム全体のビジョンや目標等、ほとんど意識していなかった事にもなります。
にこ加入以前のμ'sは、穂乃果を中心としたピラミッド型の組織構造でやっていけたし、特に一年組は、リーダーや先輩の言うことを聞いていれば良かったでしょう。
アイドル研との合同後も、確かに穂乃果とにこの二頭体制にはなったかも知れませんが、二年組も含めて、他のメンバーは彼女達が決める枠組みの中で動いていれば良かった。
けれども、ほとんどの人間が受け身の姿勢のままで、廃校阻止やスクールアイドル界の天下を取ると言う大事業が出来るでしょうか?
確かにメンバー各人は、それぞれ魅力的な個性や得意分野を持っており、全国レベルのスペックや実績を持つ者も少なくありません。
しかし、それだけでは苛烈な競争に打ち勝ち、大きな目標を実現するにはまだ足りない。
言わば、意識の面において、彼女達はまだまだ戦う集団にはなり切れていなかったのです。
μ'sはスクールアイドルユニットです。
ただの仲良しグループで留まる事は許されない。
それぞれのメンバーが、1人1人自立したアイドルとしての自覚と意識を持ち、部長やリーダーに依存せず、自らの個性や実力を磨いて、勝負していかなければならない。
少なくとも、アライズは既にそうしているのです。
なので、本来なら一年組を含めて皆がリーダー位やセンターのポジション、そしてグループ全体の展望について、もっと関心と持論を持たなければならない。
そのためには、普段どれだけ仲が良かろうと、時としてライバル関係になる事も辞すべきではない。
のみならず、チーム活性化のためには、緊張や対立が必要な局面もある。
そこから、以下のように考える事が出来ます。
穂乃果下ろし、そしてにこの乱は、グループ全体の進化のために発動された試練であり通過儀礼だったのではないか?
事実、穂乃果とにこを除いた全メンバーは、半ば巻き込まれる形であったにせよこの新リーダー決定戦に参加し、更に、みんなが歌ってみんながセンターと言う穂乃果の宣言も、このプロットに沿ったものだと考えると腑に落ちます。
以上を踏まえると、新PV「これからのsomeday」に託された意味合いやメッセージも、より鮮明にとらえる事が出来そうです。
すなわち、これこそが、μ'sが真の意味でスクールアイドルユニットとして進化を遂げた事を、内外に示すものであった。
それが偽りではなかった事を、これ以降の流れから私たちは良く知っています。
真犯人は誰か?
μ'sを真のスクールアイドルユニットとして進化させるための通過儀礼。
そのための穂乃果下ろし、にこの乱。
そして次のPVでのセンター位及び新リーダー決定戦。
この一連のプロットは仕組まれたものだったのか?
だとすれば、一体誰によって?
そもそも犯人は1人か?それとも共謀によるものなのか?
確かに、全てが偶然かつなし崩し的に進んだ、と考える事も出来ます。
少なくとも、平凡な女子高生が、ここまで考えて一連の政治劇を準備出来るわけがない。
しかし、今一度物語を見返してみると、メンバー達の中でこの様な構想を抱き、実行するだけの資質を持つ人物が、少なくとも2名挙げられる事に気付きます。
まず、9人の女子高生からなるスクールアイドルユニットμ'sと言う夢をアニメ冒頭時から抱いていた東條希。
そして、アイドルに関する豊富な知識と独自の理論、なにより熱い情熱を持ち続けている矢澤にこ。
彼女達なら、今だ高坂穂乃果とその仲間達、と言う状況から抜け切れていないμ'sの現状に物足りなさを感じ、何らかの打開策が必要と考ていたとしてもおかしくはありません。
そして事実、その口火を希が切りました。
高坂穂乃果はなぜリーダーをやっているのか?
その発言を受け継ぎ、にこがこの娘はリーダーに相応しくない、と一気に穂乃果否定論をぶち上げ、それに取って代わろうと動いています。
確かに、にこ本人の個人的野心や不満も少なからずあったでしょう。
しかしそれ以上に、この疑問は穂乃果以外のメンバー全員に向けられたものだったのではないか?
この時点に至るまで、彼女達は良くも悪くも大事な決断やチーム全体の将来については、リーダーの高坂穂乃果の鶴の一声を待つのが当たり前となっていました。
確かに、今まではこのやり方で問題はありませんでした。
少なくとも、にこの加入までは。
ですがこの状況に、にこや希は必ずしも満足ではなく、むしろ手ぬるい、と思っていたのではないでしょうか?
事実、にこが穂乃果下ろしを断行するまで、誰もリーダーはおろか、センターに立つことすら全く考えていませんでした。
μ'sを支援し、見守り続けてきた希や、かつてスクールアイドルのリーダーとして競争と挫折を味わったにこからすれば、不満所かチームの将来に大きな不安を抱いた可能性は少なからずあったと思います。
音ノ木坂学院を廃校から救う。
そしてラブライブ!で優勝する。
そのいずれも、熾烈な競争を勝ち抜かなければ成し遂げられません。
それを全員に自覚させるための荒療治。
そう考えると、にこや希の真意もより深く読めてきそうな気がします。
またここから、やはりこの両者は巧みな連携でμ'sの成長と脱皮を試みていた可能性が浮かび上がってきます。
3巨頭の織り成す政治劇
そしてここで再び穂乃果サイドに戻ります。
仮に希とにこがμ'sの脱皮や成長を願い、チーム全体に試練を課したとして、リーダーの穂乃果はどこまで知っていたのでしょうか?
のぞにこと綿密な共有が成立していたのか?
それとも、最初から最後まで蚊帳の外だったのか?
しかし、仮に後者のケースだったら、希やにこはグループに揺らぎを与えるに際し、アニメで演じられたよりも遥かに大きな困難や障害にぶつかっていた筈です。
確かに先程、穂乃果はリーダー位を追われそうになったとしても、敢えてとぼけて見せ、その実内心では、にこの思惑通り事は運ばないだろうと踏んでいたと推測しました。
しかし、もしのぞにこサイドが本当にμ'sを戦う集団にすべく意識改革を図っていたとしたら、これを実施するに当たり、リーダーの穂乃果に何の断りもいれなかったとは考え難いと言えます。
むしろその協力を仰いだ方が、スムースに目的は達せられる。
穂乃果とのぞにこサイドの間で、この件に関して事前の共有や同意が出来ていたなら、話はすんなり進むのは容易に想像できます。
そしてそれは、アニメにおける一連の流れと矛盾しません。
これだけ大きな波乱を含みながらも、最後は驚く程あっさり丸く収まり、そして、μ'sを本格的なスクールアイドルユニットに改編すると言う構想は、みんながセンター宣言、そして新しいPVにより、しっかり実現されています。
こうしてみると、希、にこ、穂乃果の3者がそれぞれ与えられた役どころを見事にこなし、あまつさえ、他のメンバーの目の前で、その彼女達が知らないうちに絶妙な連携プレイを遂行していた可能性が浮かび上がって来ます。
そう考える事で、希、にこ、穂乃果3人がこの回で見せていた不自然な言動や唐突な振る舞いの裏に、実は一本の筋が通っていたと想定出来るのではないか?
仮にそうだとすると、この回で示された彼女達の政治力と演技力はおよそ普通の女子高生ではありえない域に達していた事になります。
しかし、μ'sは逆境からの出発で最終的にはスクールアイドル界の天下を取っているのは、まぎれもない事実です。
輝かしい業績や奇跡の裏には、メンバー達の非凡な器量が大きな要因の一つとしてあったのは間違いないでしょう。
それぞれが個性的かつバックグラウンドもまちまちの9人がしっかりとまとまり、その結束を維持するために、彼女達が時として高度な政治力や駆け引きスキルを求められていたのは、むしろ必然だったのでしょう。
次回に続きます。




































































