友岡教授は有名な先生で週末平日問わず講演会に引っ張りだこであった。当さらに東京では定期的にコースを開催していたので拠点は東京である。蔵王大学は地方大学なので基本的に東京から通っていた。私の日課は朝教授を駅に車で迎えにいき大学まで送る。そして教授室へ同行。教授室には教授の取り計らいで私専用の机も入れてもらった。そこで雑用をこなし教授の帰宅時間になったら駅へ車で送っていく。というものであった。
教授から言われたのは、ともかく大学に残っている人間はまず論文が読めなければだめ。しかも英文が読める必要がある。そのために簡単な英語の教科書を渡されそれを使って文章や単語を覚えていく、ということを延々と繰り返し行っていた。臨床の場にはでれずなんとも退屈な日々であった。まあ、この状況が何年も続くわけではないだろうし、こんなに時間があることもこの先ないだろう。教授に言われたとおり、とりあえず英文を読めるようコツコツと英語の勉強を続けていた。