story20 卒業 | りょうの一期一会

りょうの一期一会

ifs(イフス)連載中


story 20   卒業










D.A









「なー拓也ー!」







拓也「んっ!?」





「俺マジだったんだ・・・」





「あー知ってるよ・・・」





「自分の気持ちに嘘付いてた・・・」





「あー・・・」





「本当は萌子の事、ちゃんとケジメ付けて・・・」





「葵と本気で付き合おうと思ってた・・・」






「あー・・・」





「俺って本当バカだよなー!」







「裏切られるのが怖かったんだ・・・」






「また裏切られると思うと・・・」










「どうしても葵に対して本気になれなかった!!」





「今頃になって気付くなんて・・・」







「本当バカだよな・・・」





「頭の中ではでは分っていたのに・・・」





「行動には移せなかった・・・」





「お前に殴られて目が覚めたよ!」









「ありがとう・・・」





「あ、ああー」







拓也は掛ける言葉が見つからない





ただ見守っててあげる事しかできなかった・・・
















それから











数日後










いよいよ楓達にも中学校の卒業の時期が訪れる










卒業式


















「今日でこの学校ともお別れやな!」

拓也「まー色々あったけど楽しかったよなー」





「あ、あー」









「なー拓也ー!!」







「何!?」














「俺ら、これからもずっと一緒にいような!」







「な、何あらたまって言ってんだよ!!」

「気色悪い!!」

「そんなの当たり前やろ!!」













楓(本当にお前が居てくれて良かった・・・)
















(本当に良かった・・・)
















卒業式も終わり






それぞれが






最後の言葉を掛け合う・・・


















伊織「せんぱーい!」

「忘れないで下さいね!!」


「上に上がっても!!」







少し涙ぐみながら伊織が言う






「私も1年後必ず行きますから!!」


「絶対ですよ!!」




「あ、あー!!」

「お前も頑張れよ!!」



「はい!!」






「あ、あのー・・」

「せんぱい・・」





「何!?」









「第2ボタン貰えませんか・・・」



楓(第2ボタンか・・・)



(まさか伊織にあげる事になるとはな・・・)






「いいよ!!」






楓は伊織にボタンを渡す・・・





「ほ、本当にいいんですか!?」








「あ、あーいいよ!」


楓(コイツにも可愛そうな事してきたよな・・・)

(実はコイツが一番、俺の事思っててくれたのかもしれないな・・・)








「私、一生の宝物にします!!」







「おい、おい」

「そんなおーげさな・・・」


「お前も早く彼氏でもつくれよ!!」








「いや!!」

「作りません!!」


「私、先輩が振り向いてくれるまで待ってますから!!」




「あーはい、はい」




「あー!!またそうやってはぐらかす!!」




「分った!分った!!」













それぞれが別れを告げ終わろうとしていた頃・・・











楓の前に











葵が現れる・・・










葵とまともに話をするのもあの事があって以来になる・・・











「よ、よう!!」







「早いものだね!」


「あ、あー本当早いな・・・」





楓(本当に早い・・・)




(終わり頃には色々あったなー・・・)




(一護の失恋から始まり)




(俺の失恋・・・)




(葵との出会い・・・)








(そして別れ・・・)


(結局、誰一人としてうまく行かなかったよなー)






「本当に早いな・・・」








「でも、私!この学校に転校して来て良かったと思ってる!」



「色々あったけど・・・」







「木村君と出会えたし・・・」








「本当に良かったと思ってるよ!」







楓(俺もお前に会えて良かったと思っている・・・)





(寄りを戻せたらどれだけ良いか・・・)





(高校に上がれば同じ学校とは言え別々になるだろうから・・・)





(本当はこの場で伝えたい・・・)






(俺の本当の気持ちを・・・)







「なー葵ー」






「ん!?」





「何!?」







(言うぞ!!)





(ここで言うんだ!!)




(今、言わないと一生後悔する!!)






「俺達さー」






「ん!?」














(だ、だめだ!!)

(や、やっぱり言えない・・・)







「い、いや!」


「何でもない・・・」







(そんな都合の良い事、今更言えない・・・)





(で、でも、いつか・・・)





(いつか・・・)





(いつか言える日が来たら・・・)





(その時は・・・)






(その時は胸を張って言おう!!)
















(葵が本当に好きだって!!)

















(まだ葵が誰の物でもなかったら・・・)



















楓達の卒業式もこうして幕を閉じる・・・






長いようで短い3年間・・・






色々あった3年間が
















静かに終わりを告げる・・・










これからは各々がそれぞれの道を歩む・・・










そのまま上に上がる者・・・








違う高校に行く者・・・








そのまま社会に出るもの・・・












しかし











まだ誰も知らない・・・















これはほんの序章にすぎない事を・・・
















これから始まる






























新たなる人生の事を・・・