大乗仏典においては、功徳を積む具体的な方法として方便の説を他の人々に語ることが重要であると説かれます。

その意義については、２０２３年９月７日の記事に書きました。

『方便の説を語ることの意義』大乗仏教では、方便の説を他の人に語ることによって大きな功徳を積むことができると説いています。では、その意義はどこに求められるのでしょうか？それについて述べ…

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ところで、大乗仏典には方便の説を語る功徳（＝利益（りやく））は量り知れないほど大きいとも説かれています。

例えば、金剛般若経には次の一説があります。

「須菩提よ、もし、三千大千世界の中の、あらゆる、もろもろの須弥山王の、かくの如きに等しき(数の)七宝の集まりを、人ありて、もって布施したりとせん、(一方、また) もし、人、この般若波羅蜜経の、乃至四句の偈等を以て、受持し、読誦し、他人のために説きたりとせん、前における福徳は、(後の福徳の)百分の一にも及ばず、百千万億分、乃至、算数譬喩の及ぶ能わざる所なり。」(中村元・紀野一義共著『般若心経・金剛般若経』(岩波文庫) p118,p120)

なお、ここで福徳と述べられているところは功徳のことであると考えて間違いないでしょう。

また、維摩経においては、正法にまつわる一節として方便の説を語る功徳が説かれています。

「宝積よ、このようにぼさつはその直き心をおこしたのに随って、その行いをおこし、その行いをおこしたのに随って深い願いをおこし、その深い願いをおこしたのに随って意をととのえ、意をととのえたのに随って説かれたとおりに行い、説かれたとおりに行ずるのに随って、功徳を回向し、その回向するのに随って方便あり、その方便がおこるのに随って衆生を完成し、衆生を完成するのに随って、その仏国土が浄らかになる。その仏国土が浄らかになるのに随って、その智慧が浄らかになる。その智慧が浄らかになるのに随ってその心が浄らかになる。その心が浄らかになるのに随って一切の功徳が浄らかになる。この故に、もしもぼさつが浄土を得ようと欲したならば、その心を浄くすべきである。その心が浄らかになるのに随って、その仏国土が浄らかになる。」(中村元ほか訳(1974)大乗仏典・維摩経 p8(筑摩書房))

そして、法華経では、人々（衆生）により解り易い譬喩物語を多数内包させ、方便の説を語ることが容易にできるように配慮されています。

ところで、本当に方便の説を語ることによって大きな功徳を積むことができるのでしょうか？

それは間違いないと断言できます。

なぜならば、私（＝ＳＲＫＷブッダ）自身、そのようにして発心し、覚りの機縁を生じ、世に希有なる「法の句」がまさしく法の句であると覚知することを得たからです。

なお、この真理は釈尊が説くところのものと相違するものではなく、原始仏典を否定するものでもありません。

例えば、ある場所から東京（首都）に向かうのに、飛行機に乗って向かうこともできるし、自転車で向かうこともできるようなものです。

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