私は大学生になった。

大学生の頃の私は自信のなさを裏返した自信の塊だった。

「なんの根拠があってそんな自信あんの？」なんて聞かれたら「根拠がないから自信って言うんだよ！！！」なんて胸を張って答えたりしていた。

やることなすこと事、願った事のほとんどはうまくいったし、大学生生活を謳歌していたと思う。

学生のそこそこ大きな団体をまとめる代表になんてなっちゃったりして、プライベートも充実していたし、人間関係では年配者から歳下までチヤホヤしてくれて、順風満帆な青春時代を噛み締めていた。

でもそんな大学生生活とは裏腹に心の中は焦りがあった。

無理もない。

勉強が出来ることだけが取り柄だったはずの私は東大に落ち、失意の中留学までしたのに結局また挫折して研究者の道を諦めた。

そして当初の夢や目標はどこへやら、理系の道から逃げるように文転して大学に入学したのだから。

小学校の卒業文集を見返すと、将来の夢の欄に書いた「科学者」という文字がやけに悲しげに見えた。

（自分は他の人とは違うんだ…！）

（自分なら普通の人にはできない何か物凄いことが出来るはず…！）

天下無敵の自信家だった自分は心の底からそう信じ込んでいたし、自分でも気がついていないところでどこか人を見下していた。

今ならわかる。

人と違うと思いたいのは、人を無意識に見下してしまうのは、人より上に立ちたいからだったし、人より上に立ちたいのは、実は自信が無く、自分はひとかどの人間だと、価値があるのだと思い込みたいからだった。(＊)

もちろんそんな無意識の奥にある無価値観や焦りには大学生の自分は全く気がつくはずもなく、本人は至って気持ちよく調子に乗っていた。

本田健さんの著書「ユダヤ人大富豪の教え」に出会ったのはそんな時だった。

＊ちなみにこのメンタルの時は悪徳業者、悪徳ネットワーカーの格好のカモ。セミナージプシー、スピリチュアルジプシー街道まっしぐら。皆様はお気をつけください（笑）

哲学・思想ランキング

放浪記編2 序章〜大学時代〜