共感が生まれないとビジネスも生まれない! | ジュエリーコンシェルジュ&CADデザイナーNoripyonのブログ

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起業されて、活躍されている若手経営者の方々をインタビューさせていただいております。

今回は、アセットガーディアン株式会社 代表取締役 内野道雄 氏をインタビューさせていただきました。



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保険deあんしん館、アセットガーディアン株式会社 代表取締役 内野道雄氏44歳。独創的なアイデアで保険専門の店舗を展開。年商8億円。保険の場合は年商が粗利なので、一般的な会社の利益で考えれば40億円の売上に匹敵する。内野社長にお話しをお伺いした。



起業のきっかけ。


法政大学を卒業後、株式会社内田洋行に就職。当時、会社の食堂に10人ほど保険のセールスレディが毎日のように営業に来ていた。勧められるままに保険に加入したが、翌日に他の保険会社のセールスレディが「うちの保険の方がいいですよ」と言って来た。そもそも内野氏はどんな保険に入ったかもよく分かっていなかった。その時内野氏は、この人達は僕のニーズも知らず、ただ自分の会社の保険が良いと勧める。保険なんて押売りだと感じた内野氏は、保険が大嫌いになってしまった。保険のことは、見ない、言わない、聞かないことにした。
就職から4年後、内野氏は起業を考え始めるようになっていた。物の流れはよく分かったので、次はお金の流れを学びたいと考え、転職は金融業界に行ってみたいと考え人材紹介会社に登録した。都市銀行を希望していたが、当時は中途採用がなかった。人材紹介会社から来たオファは保険会社だった。「歩合で個人事業主のような仕事は嫌です。売りに行くのも嫌です。」と人材紹介会社の担当者に言ったところ、「イヤイヤ違いますよ。本社の総合職としての依頼ですよ。」売る仕事でないならと面接に行き、これから日本で大きくしたいとのベンチャースピリッツを感じ、オランダのアイエヌジー生命保険会社に入社を決意した。
思えば、保険が大嫌いだった内野氏が保険会社に転職したのだった。仕事は代理店周りの仕事で、教育育成と支援が主な仕事。
入社して初めて保険について深く学んだ。その時「知れば知るほど保険は凄いと感じたんですよ。」と語る。
個人のライフ プランニングのリスク マネージメントや法人としてのリスク マネージメントとして考えても、また税務や財務の面からも保険は凄いし、保険以外で解決できることは他にはないと考えるようになった。
ところが、保険はこんなに凄いのに、なぜ自分自身は保険が大嫌いだと思ってしまったのか考えるようなっていた。「今、保険の凄さに気づいたけど、当時はなんで気づけなかったのだろう?」このギャップってなんだろうと思った時に、流通が悪いことに気づいた。
自分が保険に入った時、ろくに説明も受けてなかったし、改めて自分が入っていた保険を見返して見たら、酷い保険であった。積み立てで入ったはずの保険だったが、月2万円の掛け金の内、貯蓄はわずか2千円で1万8千円が掛け捨てであった。
「本来は、ちゃんとした説明とプロセス、お客様のニーズをちゃんと共感をしていく。」それが実現できれば、喜ばれるビジネスではないかと考えた。
同行で代理店の営業マンとお客様とお話ししていて、聞けば聞くほど自社の保険より他社の保険の方がいいと感じたりもしていた。
ギャップを埋める仕組みと環境をきちんとやれば、保険は飽和状態かもしれないけど、まだまだチャンスはあると考えた。
保険の顧客満足度お客様アンケート調査で、保険に満足していると答えた人は、10%しかいない。不満だと答えた人は15%、残りの75%は分からないと答えたそうだ。
「保険は、一般個人でも30年くらいで1千万円も支払う。家の次に高い買い物と言われる。そんな高額な金融商品を買って、中身が分からない。私もそうだったのですが・・・。」
ならば、多くの保険の中から選べて、本当に必要な保険をお客様に選んでいただけないか?保険会社の販売代理店ではなく、お客様の購買代理でありたい。
そのためには、いくつもの保険を扱えるようにして、真にお客様のニーズにお応えして、ベストなソリューションを提供できるように流通を構築する。
結婚式場からハウスウエディングへとシェアが動き、街の電気屋さんから家電量販店に移行したように、保険も多様化すると予想。今がチャンスだと考えた。
想いを実現するために、内野氏は金融ビッグバン(大規模な金融制度改革)が起きていた2000年に保険会社を起業した。
起業後、最初にデータ会社から300万円分の企業データを買った。ただ買うのではなく、決算月ごとに分け、従業員数、利益など、自身の仮説に基づいてマーケットセグメントして、10万件のデータから電話で営業をかけた。ワンルームマンションで、内野氏が一人だ
け。最初から何社もの保険を取り扱えるようにして、法人向けの保険を販売。アポイントが取れる確率は100分の1だったが、内野氏はあきらめなかった。
「お客さんの立場でやる購買代理店です。中立公正です。」と言っても大手の看板と信用のないないアセットガーディアンでは、なかなか相手にしてもらえなかった。
そこで、お会いできたお客様に、「私はファイナンシャル プランナーとして、私はあなたにこれだけは約束致します。」と書面にして実印を押した書類と印鑑証明を持ち、先ずお客様に渡した。「1、嘘をつきません。2、中立公正な立場でやります。3、個人情報は守秘します。」「あの時のお前の気合は凄かった。」と、いまだに言って下さるお客様がいるほどの猛烈な営業でしたと内野氏は振り返る。
その後、税理士に声をかけて一緒にやりませんかと勧誘し、徐々に広げていった。初年度の売上は、なんと8千万円。保険の場合8千万円が粗利なので、内野氏の凄さが分かる。翌年からは1億円を超えたと言うから驚異的な営業力である。
内野氏は、保険の流通が悪いのは、保険の販売が個人事業主によることが最大の原因と考えていた。また、離職率が高く8割の人が辞めていくのが保険事業であった。
内野氏は語る「30代で保険に入っていただいて、保険を出すのは50年後かもしれない。お客様に安心して頂きフォローし続けるべきだと僕は思います。」「僕も口では50年後もちゃんとメンテナンスしますと言っても、もしかすると僕の方が先に死んでいるかもしれない。」「だったら、稼業ではなく企業にして永続的にお客様にサービスを提供し続ける必要がある。」「きちっとした組織にしないと本当にお客様のお役にたてることはできない。」「僕は組織を創ろう。」保険は通常は歩合制だが、アセットガーディアン社では固定給制にした。社員は、職級と職階が上がっていくようにして、人事評価も定量的と定性的な評価にした。理念経営をしっかりやっていった。
しかし、保険業界は人材の8割は辞めていくのが当たり前の業界。内野氏は、誰でも出来るような、コンサルティングの仕組みをどのように導入していくかについて、非常に苦労した。来店型の保険ショップを展開。ファイナンシャル コンサルティング事業部では、富裕層向けの税務や財務のコンサルティングを担当。リテール事業部では、一般のお客様がファイナンシャル プランナーと一緒に、比べて選べて相談できる、保険相談ショップ「保険deあんしん館」を2007年にスタートした。
人材教育の仕組化にこだわり、全ての情報を共有、社員のノウハウを全て出し、コンテンツをつくり出す。アセットガーディアン社では「守破離」を実践している。〈守破離(しゅはり)は、日本での茶道、武道、芸術等における師弟関係のあり方の一つ。まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。〉
ホスピタリティとして、いかにお客様に喜んでいただくかを考えて、掲示板をネット上で全社員が共有し、お客様との接客のエピソードをアップしている。なぜそう考えたのか、お客様にどう思って頂きたいのか。そのプロセスまでが共有できるようなルールになっている。一つの話法に対しても、ひょんな一言にお客様が凄く喜んで頂けたとかの「話法」の掲示板がある。そのデータベースは既に6年蓄積されていて、後から入った社員でも、そこに行けばノウハウを学べるようになっている。このビジネス プラットホームがアセットガーディアン社の強みである。また、他の個人事業主の保険会社と比較しても、ライバルがひとりなら、こちらは5人で戦う組織戦法。ある社員は新規開拓専門で、ある社員はお客様のフォロー専門。組織としてカバーしている。内野氏は、これこそがお客様に永続的に保険の価値を感じて頂けるサービスだと確信している。「ライフ タイム バリュー(顧客生涯価値)をいかに高めていくか。お客様との長いお付き合いの中で。」正しい保険の流通のあり方を追求した結果であった。




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保険deあんしん館http://www.hoken-anshinkan.jp/




事業をしていてピンチになったことは?


来店型ショップをオープンしたが、ビジネスモデル上、ストックビジネス(契約行為があって収入がある)なので、契約が無ければ赤字が出てしまう。2007年のオープン当初、約1店舗で年間2千5百万円の赤字だった。それが一気に10店舗オープンしたことで、約2億5千万円もの赤字を出してしまった。その時の反省として、保険のコンサルタントを出来る人は育ったが、店長としてのマネージメントが出来る人が育っていなかった。10店舗一気に出店したために、10人の店長が生まれたことで、お店の成長と店長のスキルアップが反比例してしまいうまくいかなかった。
「アクセルを踏んで出店したものの、ブレーキを踏む勇気は百倍必要なんですよ。」と内野氏は語る。保険代理店としても名前が売れ始めていた矢先に、ブレーキを踏むとなると風評も立つと考えたが、2009年に店舗の見直しによる5店舗の閉店を断行。思い切った「破壊と創造」により、ビジネスモデルを変え社員教育の仕組みを見直した。
現在の生産性は、オープン当初の生産性と比較すると1.8倍も上がっている。
撤退することは自分が負けを認めることになる。人間はなかなか負けを認められない。内野氏はとても悩んだ。「人が悩んだ時は、人の粗探しをするんですよ。」「ネガティブなことばっかり考えていました。」「でも自分が前に進めたのは、これは自分が全て悪いと認めてからでした。」「今まで粗探ししていたことが、全て自分が悪いからだと思えば、その問題をひとつひとつ解決していけばいいと、前向きな志に変えることが出来た。」「やらなければいけないことも明確になり、資金繰りの対策なども逃げずにやりました。」「閉店に対するお客様のフォローは、他の店舗への振り分けをさせて頂き、きっちりやりました。」
ネガティブな思考からポジティブな思考に自分をコントロールできた時、人は大きな力を発揮出来るのかも知れない。エジソンは電球を発明した時に、発明するまでに2,000回以上もの失敗を繰り返したという。そのことを聞いた若い記者がエジソンに対して「2,000回以上も失敗したことについてどう思いますか?」と尋ねたところ、「失敗?私は一度も失敗したことはないよ。ただ、電球完成までに、たまたま2,000回のステップを踏んだだけだ。」エジソンのポジティブな思考を物語る有名なエピソードだ。
人の教育を体系的な教育に変えた。残った5店舗も全て移転し、立地のよい場所で、全て1階のお店にした。保険で損している人が世の中にはたくさんいる。理念から考えた時に、今のビジネスは正しいのかと内野氏は考えた。「お客様にとって、最適な保険アドバイスと永続的な保険サービスを通じて、信頼され・感謝され・尊敬される会社を目指します。」この経営理念は間違っていないと確信したのだった。
法人で約1,400社、個人で約3万世帯のお客様がいる。「ブラックボックスになっている保険を僕たちは親身になって、お客様のためを考えてサービスして来た。この火を消してはならない。」固定給で組織として、保険を販売することも正しい。売らなければ給料を払わなくていい歩合制の方が経営者としては楽だが、売ったらお仕舞いではお客様のためにならない。それが今までの保険会社の悪しき習慣。そうではなくて永続的な価値をお客様と創造していくと決めた初心に立ち戻った。「同じ志を持った社員もいる。社員の気持ちも受け止めて一緒に、お客様のためにやっていきたい。」そこで何とか最大の危機でも踏ん張る事ができたと内野氏は語ってくれた。一時的に撤退はしたが、現在は11店舗にまで成長。
「お客様に対するサービスの質は、ナンバーワンだと思います。」「それは、徹底的な理念経営とそれに基づいた人事評価制度がリンクしていること。いろんなことがあったが、企業文化を育てて来た。」コンサルティングのシステムも自社で開発。営業の仕組化、エージェントの知識の共有化、ビジュアルと数字でお客様にご提案するシステムを確立し、コンサルティングのクオリティを上げていった。
新規オープンしても、お客様の個人情報はいっさい集めない。地域の皆様、始めましてと純粋な気持ちで、お菓子のつかみ取りイベントをしたりする。「土・日の二日間のイベントで1,700人ものお客様が来てくれたんですよ。」「外から見ているとイベントが楽しそうなのですよ。社員もいい笑顔で。」「最終的には人なんです。こんな人たちですというお披露目ができて、地域の人達とコミュニケーションができる。」「あの時のあの人達、いい人だったな。じゃ、行ってみようか。そう思って頂けるだけでいい。」「お客様が他と違っていいよねと思っていただけることが差別化です。」「お客様とのコミュニケーションに関しては、非効率化しようと考えています。」「休日出勤の本社の社員とかも、本当に楽しそうにお客様と一緒に笑っているんですよ。これが企業文化です。お客様に真に喜んでもらおう。その先に収益がある。」
「相手と共感し合った時が、一番楽しい気持ちいい瞬間なんです。」
「共感が生まれないとビジネスも生まれない。」「お客様と一緒に共感や共有をすることを大事にしています。これは、社員同士もそうですしパートナーの保険会社さんもそうです。」
内野氏の信念は、保険業界の正しいあり方を実践することにある。社会に必要とされることが、企業が生き残れる絶対条件。ピーター・ドラッカーの名言に「おごるな、企業は社会に存在させて頂いているものだ」とある。
内野氏は、お客様も社員もお取引先様への接し方も、全てにおいて、おごらず、存在させて頂くために事業をどうしたらよいかをより深く、探求し続けている。

アセットガーディアン株式会社 http://www.asset-guardian.co.jp/index.html



(記事:THE WATCH & JEWELRY TODAYに掲載された私のコラムから)



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