今回もまた、前回の記事に関連した内容となります。


建設現場や製造現場等で労災事故が発生した場合、被災した労働者に対して労災保険の方から保険給付が支払われます。労働災害には、健康保険は使えません。


労災であるにも関わらず、健康保険を使った場合、どうなるか?

働安全衛生法に違反し、“労災隠し”として罰せられます。

労災隠しは、れっきとした犯罪なのです。


それでは、労災で支払われるものには、どのようなものがあるかと言えば、治療費や休業補償費、障害補償給付等、といったものがあります。

労働者が業務上の負傷又は疾病にかかり、療養を必要とする場合には、療養補償給付が支給されます。

また、その療養のため働くことができず、そのために賃金を受けない場合には、休業補償給付と休業特別支給金が支給されます。


さらに、療養補償給付を受ける労働者の傷病が、療養の開始後1年6カ月を経過しても治らない場合には、傷病等級に応じて傷病補償年金が支給されます。

身体に一定の障害が残った場合には、障害補償給付が支給されます。


労働者が業務上で死亡した場合には、遺族補償給付(遺族補償年金、遺族補償一時金)が支給されます。

の他、葬祭料や介護補償給付などもあります。


労働者が万が一、労災に遭われた場合でも、労災保険によってそれなりに十分補償はされると思います。

このように、被災した労働者に対しては、それなりの給付は行われるとは言うものの、死亡事故や重大事故が起こった場合の影響は図り知れません。


先ず、事故原因を究明するため、現場検証が入ります。その後再発防止に向けて対策を練り、具体策が出るまでは、現場の作業はストップせざるを得ません。


当然、作業工程にも大きく影響し、その後の工程が厳しくなります

工程が厳しくなれば、それを挽回するために無理な工程となりがちです。


また、工程を優先すれば安全面や品質面等がおろそかになってしまいます。

そうなれば、ますます負の連鎖にはまってしまいます。


他に考えられる影響として、事故があったことが社内外、業界等にも知れ渡ります。

さらに、事故の規模、内容によっては、指名停止、営業停止にもなってしまいます

事故に遭われた人にとっても、取り返しのつかないことになります。


そう考えると、“事故は絶対に起こさない”、“安全第一”が最優先でなければならないと思っています。ただ、中小企業などでは、この辺がおろそかになっているのではないかと思われます。


ダム工事などでは、墜落・転落災害、建設機械・クレーン災害、倒壊・崩壊災害等、重大事故につながる作業も非常に多いのも事実です。

そのため、ダムなど特に危険な工事現場では、現場での安全管理体制は徹底しています。


現場内には、多くの施工業者が入り込んで混在して作業を行っているため、作業も輻湊します。

そこで、これら業者間の連絡調整を図るため、毎日の安全施工サイクルの一環として安全作業打合せや安全朝礼などを行っています。


その他にも、毎週のサイクル、毎月のサイクルなどがありますが、このような場でも工程打合せと安全打合せを併せて行います。

安全なくして作業が出来ないからです。


このような場では、毎回のように作業に潜む危険要因の洗い出しとその対策を練り、現場で働く作業員の末端に至るまで周知徹底を図ります。

長くなりそうなので、今日はここまでにします。