暑い日が毎日続いています。
関東地方も昨日梅雨が明けたようで、これからが夏本番です。
昨年は、6月末から9月半ばまで長い間、暑い日が続きました。
今年も昨年のように、暑い日が多くなるのではと思えてなりません。
そうなれば、気になるのは、やはり電力需要。どこまで逼迫するか。
今のところは、まだ大丈夫のようですが・・・。
ところで、前回も触れた労災保険料率ですが、建設事業の保険料率は、他の事業、例えば事務的な業種等の3/1000などに比べ、かなり高くなっています。
これは、建設工事が概して危険な作業を伴っており、労災事故も多いというのは、誰もが認識しているところだと思います。
それでも、工事の種別ごとにみると、建築事業で13/1000、道路新設事業で15/1000、舗装工事業11/1000、鉄道又は軌道新設事業で18/1000、などといった感じでバラツキがあります。
そんな中で、ダムやトンネルなど、事業の種類が水力発電施設、隧道等新設事業では、103/1000とはるかに高い保険料率となっているのには驚くばかりです。
これは、保険料を払う事業者側にしてみれば大変な額となります。
例えば、請負金額100億円のダムで考えると、ダム事業は労務費率表では、請負金額に乗ずる率が19%なので賃金総額は19億円となります。
労災保険料は、その賃金総額に103/1000を掛けた金額なので約2億円となります。
これは請負金の2%に当たります。
普通はあまり意識されない労災保険料ですが、ここまで高くなるとなんとか安くしたいと努力するのは当然です。
どうするか。ダム現場で働く全労働者の賃金総額を賃金台帳に基づいて集計します。
元請け事業者分だけでなく、協力会社すべての賃金です。
1次下請けに始まり、2次、3次・・・。さらには、たった1日だけ現場内で作業した、一時的な業者まで含まれます。
現場内に常時いる業者の場合は、毎月こまめに賃金台帳のコピーを集めるのは容易ですが、出入りの激しい業者や一時的な業者の場合は大変な作業になります。
集めるのも大変ですし、その現場に入場した日の賃金だけを抜き出して集計するなど面倒です。
それでも地道に行うことにより、先程の約2億円から数千万円単位で減らすことも可能になります。
これはダムに限ったことではありません。
労務費率表の率に基づいて計算すれば、保険料は簡単に求められます。
ただ、実際の賃金を集計した総額に比べ高くなりがちです。
特に、材料費などの比率が多い場合、人件費が少ない分、保険料はかなり安くなります。
実際、平成元年に北陸支店で行った現場で賃金台帳を自分で集めたことがあります。
札幌支店から冬期転勤で北陸支店の金沢市郊外の現場に行ったときのことです。
下水の終末処理場に導く、約1500mの下水道の圧送管の埋設工事が主な工事です。
工事そのものは至って単純。地元業者だけでも出来るようなものでしたが、地元業者とのJV(共同企業体)でした。
この現場では、1500m分の圧送管やマンホール等、材料費が請負金額の4割近くを占め、材料費をいかに安くできるかにかかっていました。
人件費は材料費に比べると小さいとはいえ、この現場でも賃金台帳を集めました。
最初はなかなか賃金台帳を出してもらえませんでした。
工事が終わってからも、何度か自分の足で直に出向き、提出してくれるよう協力会社にお願いしてなんとか集まりました。
JVのメンバー会社は、元請けでもあり、1次下請けでもありました。
本来、この会社を通して2次以下の下請け会社などの賃金台帳も集めれば済むことでした。しかし、労務費率表から賃金総額がわかるのだからということで、賃金台帳の回収には非協力的でした。
実際、これらの会社の作業員の賃金を見て、こんな賃金で働いていたんだと、びっくりした記憶があります。
なんとか賃金台帳を集めて賃金総額を求め、労災保険料を計算した結果、はっきり覚えていませんが、3割(?)くらい安くなったような気がします。
このとき、勉強になったのは、地道に賃金台帳から労災保険料を計算した方が安くなることと、現場で働いている作業員の実際の賃金を直に確認できたことです。
この現場に赴任するまでは、大きい現場の中の一員としてやっていた期間が長かったので、こういったことには疎かったのです。