7月末に「日本再生戦略」を発表した国家戦略会議の下に設置された部会の一つに、繁栄のフロンティア部会がある。再生戦略には盛り込まれなかったが、部会報告のなかで非常に注目されたのが『40歳定年制』の提言だ。賛否の議論が巻き起こっている40歳定年制の中身や狙いは?
(読売新聞)
ということで、今年7月に国家戦略会議で発表された「フロンティア構想」の40歳定年について昨日の読売新聞で取り上げられていました。40歳定年を提唱する東京大学大学院 経済学研究科 柳川範之教授のインタビュー記事が掲載されていました。
定年後65歳までの雇用延長を企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法の13年4月施行を前に、産業界では継続雇用の給与原資をどう確保するかが大きな課題となっています。これに逆行するように見える40歳定年…。
趣旨は「今後産業の浮き沈みのスピードが加速するので大幅なリストラや倒産に遭う機会が増加することが予想される。正規社員の基本契約をいったん40歳にして、40歳でスキルを身につけられる場所を作り新たなチャレンジをが可能な社会をつくる。」というもの。
「スキルをつけられる場所を作り新たなチャレンジが可能な社会…」という部分は共感できますが、倒産やリストラに遭わない人も40歳でいったん契約を解除できる制度にする必要があるのか疑問です。
ただ、日本の正規社員の解雇規制は大変厳しく65歳までの雇用延長を義務づけられる企業にとっては、新たな雇用を縮小ぜざるを得ない状況となっています。いま在籍している正規社員を65歳までなかなか解雇できないため、若者をますます解雇しやすい非正規雇用や長期失業に追い込むことになるでしょう。正規社員の解雇規制は緩和しなければならないと思います。しかし、40歳でいったん解雇できるしくみができると、再チャレンジできないような人たちばかりが続々解雇されそうでかなり不安な社会となりそう。
ただ、このフロンティア部会は2050年に向けての長期ビジョンということで野田首相が議長を務めていたものです。安倍政権は「まず経済成長。そうすれば雇用拡大。」ということです。長期的にはどうなのでしょう。人生の折り返し地点でいったん解雇…という構想ありきでない、未来への投資をお願いしたいところです。