内々定取り消し、違法と会社側に賠償命令 | もっと知りたい労働法!

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内定式直前に内々定を取り消したのは違法だとして、20代の元男子大学生と元女子大学生の2人が福岡市の不動産会社「コーセーアールイー」に計495万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、福岡地裁であった。岩木宰(おさむ)裁判長は「元学生が被った損害について賠償責任がある」として、同社に慰謝料など計195万円の支払いを命じた。


判決によると、元女子大学生は2008年5月、元男子大学生は同年7月、それぞれ同社から内々定を得た。だが、2人には内定式2日前に「金融危機や原油高騰など複合的要因」を理由に内々定を取り消すとの書面が届き、採用されなかった。


岩木裁判長は「内々定取り消しは労働契約締結過程における信義則に反する」として違法性を指摘した。ただ、原告側の「内々定で労働契約が成立する」という訴えについては退け、元女子大学生が求めた賃金1年分の賠償は認めなかった。

(asahi.com)


内々定の取り消しを違法として賠償を命じたのは初めてです。相変わらず雇用情勢の厳しい状況が続いています。新卒で就職できない学生が、卒業を延期したり大学院に行くといった方法で就職浪人を防ぎ、新卒での就職を望んでいます。


「内定取り消し」と「解雇」では法律上扱いが異なります。「内定」は労働契約が締結されていませんから、内定者は労働基準法や労働契約法の労働者に該当しません。ですから、労働者としての権利を行使することはできません。しかし、今回の判決は労働契約締結過程における信義則違反ということで、内々定の取り消しの違法性を指摘しました。


民事訴訟なる前に、2人は労働審判の申し立てをしています。内々定取り消しの解決金として地裁は175万円の支払いを命じましたが同社側は不服として民事訴訟に移っています。労働審判は費用もほとんどかからず、3回以内の期日で審理が終結されます。企業は、労働者などから労働審判やあっせんなど申し立てられた場合、この時点で手を打つべきです。訴訟に移ると時間もかかりますし、多額の費用もかかります。結果的に訴訟の労力を考えると、労働審判・あっせんなどの解決金は企業のダメージを最小にとどめることができるのです。


内定取り消し事件が起こりうる情勢は続いていますが、内定取り消しをする場合、数カ月分の賃金額程度の支払いを覚悟しなければならないということです!

sakurai


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