某ネット銀行が「外貨定期しろ」と言ってくるので
ちょっと覗いてみた。
米ドルは「円からの預け入れに限り」金利 年2%をつけるという。
ただし、1ヶ月分だ。
この年率2%は大きい。
これに釣られてみるとどれくらいおいしいのか計算してみた。
最少額は1万円ということなので、仮に1万円を米ドルの定期預金に入れてみる。
すると、確かに入力画面で預入期間を1ヶ月にすると
- 金利(年利・税引前) 2.000%
- となった。
- 執筆時点の為替を確認すると1ドルは109.98円だったので
- 1万円は90.925ドルだ。・・・端数はどうなるのだろう。
- 端数計算がややこしいので100ドル(=10998円)を預け入れたとしよう。
- さて、1ヶ月後。
- まず、金利「2%」を100ドルにかけてはいけない。
- 年利2%はあくまで1年預けたときの金利なので、
- 1ヶ月分(=2% × 1/12)で計算しなければならない。
- 100ドル×(2%×(1/12))=0.166ドル
- の利息がついたことになるが、これも違う。
- 利息2%が丸々つくのではなく、その下に小さく書かれている
- 「税引き後 1.59%」で計算しなければならない。
- 100ドル×1.59%×(1/12)=0.1325ドル
- これが利息だ。
- つまり1ヶ月後の残高は100.1325ドル。
- 仮に1ヶ月前と為替が全く同じ1ドル=109.98円だった場合
- 日本円に変換すると
- 100.1325ドル × 109.98円 = 11012.57円である。
- 端数処理はわからないのでとりあえず切り捨てる。 → 11012円
- 1ヶ月前の預け入れが10998円だったので
- 差額(もうけ) = 11012 - 10998 = 14円
- 1万円が1ヶ月で14円稼いできたという計算。
- これを1千万でやれば1万4千円稼げることになる・・・?
- いや、上の式では大切な情報が欠落している。
- 『為替手数料』というやつだ。
- 円からドル、ドルから円に「両替」するとき、
- 金融機関は手数料という名の利ざやを抜く。
- この銀行は円からドルへの手数料はゼロを謳っているが、
- ドルから円への両替は1通貨あたり25銭の手数料をとる。
- つまり1ドルあたり25銭ピンハネするよ、ということだ。
- 「 つまり1ヶ月後の残高は100.1325ドル。 」
- ってところから、もう一度計算をやりなおす。
- 100.1325ドルを日本円に両替するときの手数料は
- 100.1325ドル × 0.25円 = 25円
- ・・・おい。
- さっき
- 差額(もうけ) = 11012 - 10998 = 14円
- って言ったけど、
- もうけより銀行にピンハネされる金額の方がでかいじゃないか。
- つまり、1万円を1ヶ月米国へ旅させると「11円損する」ということになる。
- まぁ、もっと長く預けて利息分を大きくしたり、
- 円高のときに外貨にしたり、円安を待って円にしたりすれば、
- 当然利益を得られる可能性だって十分ある。
- 外貨預金の目的は本来こちらなのだ。
- ただ、目先の2%って数字だけで踊らされちゃダメよ、って話。