ホソギヒョンの空っぽのベッドが目に入って、ここが宿舎だったんだとぼんやりと思い出す。ホソギヒョンは、今日朝早くから予定があると言って、昨夜のうちに自宅に戻って行った。
昨日のジョングクの言葉…
びっくりしたなあ…
ある意味家族よりも濃い付き合いだから、お互いが嘘をついているかどうかは、顔や目を見れば、そして声を聞けば、すぐわかった。
だから…
「好きなのは…ジミニヒョンです」
そう言った時のジョングクは酔ってはいただろうけれど、瞳も声も、一片のためらいも後ろ暗さも感じさせず、まっすぐだった。
そのあとのアレも、もしかして…
僕の肩をがっしりと掴んだジョングクの手の感触を思い出すと、落ち着かない気分になった。
もしかして…
もしかして、ジョングク、僕にキス…しようとしてた?
どうしよう…
僕はベッドの上で寝返りを打った。
もし、もし本当に、
本当に本当に
ジョングクが、僕のことを好きなんだとしたら。
その考えにたどりつくと、僕はどきりとした。昨夜は遅く寝たのに、僕にしては早く目覚めてしまってまだ少し眠い。けれど、ジョングクの顔を思い浮かべると、胸が騒ぎ出した。
可愛い弟で、守るべきマンネ。
だけど…
一度、ジョングクが、ライブで泣きだしそうになった僕を後ろから抱きしめて、あやすように耳に唇で触れたことがある。
それで僕は堰をきったみたいに泣けたのだ。あの時はジョングクの温もりに安心して、嬉しかった。
しかし、今思い起こすとどうだろう。
彼の唇の感触を思い出すと、その唇の触れた場所が、かっと熱を持つ。僕は布団にくるまったまま、そっと耳の縁を指でなぞった。昨夜、薄暗くしたリビングの照明の下で、近づいてきたジョングクの唇。あの唇が、僕を欲しがっているのだとしたら。
いやいや、まさか。
考えすぎだろ、パクジミン。
頭冷やそ…
自分の想像を振り払うため、シャワーを浴びることにした僕は、のろのろとベッドを降りた。