ジョングク、怒っちゃったかな…
しかも忙しそうだったから、先に帰ってきちゃった…
僕が意気消沈して宿舎に戻って来ると、パブリックスペースとなっているリビングエリアで、ジニヒョンとユンギヒョンがお酒を飲んでいるところだった。
「おージミナ!一緒に飲む?」
にこにこ笑うジニヒョンを見るとホッとした。僕は頷いて隣に座ると、ジニヒョンはお酒を注いでくれた。テーブルの上には様々なつまみが並んでいる。
「かんぱーい」
酒を入れたコップを合わせて、飲み干すと、練習した直後だからか途端に酔いがまわる感じがした。僕は仲良く話しているヒョン達に聞いた。
「ヒョン達はいつから飲んでいますか?」
ジニヒョンとユンギヒョンは顔を見合わせて首を傾げた。
「30分くらい?」
「それにしては瓶の中のお酒が少ないですね」
くくっと笑いながら指摘すると、ジニヒョンがばんばん僕の肩を叩く。
「さ、飲みますよー!」
「僕に敬語やめてください、気持ち悪い」
「ヒョンに気持ち悪いってなんだよ」
言葉とは裏腹に、にこにこ笑うジニヒョンが面白くて、笑いながら肩にもたれかかる。
あ…
ふわりと立つ香りはジニヒョンのだけど、がっしりした体の筋肉を頰に感じると、否応無しにジョングクを思い出してしまう。僕はさりげなく、頬ずりするみたいに頭を動かした。
「ははっ…ジミナもう酔ったのかー」
ジニヒョンはおおらかに笑って僕を優しく抱き寄せた。
ああ…手の感触も…全然違う…のに…
どうしよ、ジョングクが…恋しくなっちゃう…
まだ「禁欲」して2日目なんだ、と思い至ると僕は愕然とした。ジニヒョンの肩から離れると、杯の空いたヒョン達にお酒を注いだ。
飲んで…ちょっとの間、忘れなきゃ…
Side JK
な…
僕は目に飛び込んできた光景に息を飲んで思わず身を隠した。
ジミニヒョン…
ジミニヒョンがジニヒョンにもたれかかっている。ちら、と見えた顔はにこにこ笑っていて、ピンク色に上気している。
もしかして…
ジミニヒョン、僕とスるの我慢するとか言っておきながら…
廊下の陰に隠れて、ちらちらと3人の方を窺った。
ほんとは…僕に…飽きたのかな…
どくん、と胸が鳴って、僕は突然の自分の考えにすでに怯え始めていることを知った。
もともと、ジミニヒョンは、ジニヒョンとはすごく…仲良いし…
僕はジミニヒョンがジニヒョンと仲良くしていたいくつかのシーンを思い出してくらりとなった。妬ける、なんてもんじゃない。よりによって、僕とはそういうことしないって言ってる時に、あんなこと…
でも、ジミニヒョンは僕から見てもすごく甘えん坊だから…
ジニヒョンくらい包容力のある大人に惹かれるのかもしれない。
僕は否定できない想像に自分でたどり着いてしまって、「はあぁ」と重いため息をついた。
