友人の子供は学業が優秀で、某有名大学の理系に通っている。3年の頃就職するか大学院へ進むか、多少迷っていた(本人は就職する気は満々だった。)ので、余計なお節介で「大学院に進む」ことを強く薦めた。内定が決まっていたのは数十人規模の自動車部品工場で、少人数ながら職場の雰囲気も良く、大手に行くよりはやり甲斐があると…と本人は言っていた。

最近の若者は 新卒で就職する時には「労働条件」「待遇」よりも「職場環境」で選ぶケースが多くなっていると聞く。どうせ大手に就職しても「労働部品A」となる中小で活躍しようというのだ。「鶏口となるも牛後となるなかれ」とも言うので、一見ごもっともな意見に思えるが、とんでもない間違いだ。

今の日本は終身雇用や永久就職が過去のものになっているのは誰もが知っている。
転職の1、2回など当たり前のご時世だ。
大手は人数が多いので、確かに「労働部品A」扱いだろうが、大手でなければ経験できないこともある。スケールの大きな仕事、充実した研修や大手を相手にした営業、下請けとのやり取り、数多くの人間にふれることなど…中小では絶対に経験できない。

大手に入れるなら、まずは大手に入って経験を積み「イヤなら」それから中小に移ればよい。
「大手」から「中小」への移行は簡単に出来る。

しかし、「中小」から「大手」への転職は簡単ではないだろう。

中小に入社したら、次の転職先も中小しかないかもしれない。

選択肢は多い方がよいし、色々な経験をした方が良い。

一流大学を卒業して、中小へ就職するのは「将来、起業しよう!!」と思っている以外はやめるべきだろう。(起業するならそのノウハウを社長から直接学べるから…)

一流大学を卒業して「職場環境が良い」だけで中小を選ぶのは「お子様思考」に他ならない。


結局、友人の息子は大学院へと進み、一流大手への就職も決まった。
もし、大手でやり甲斐がないなら30歳前後で好きな中小へ転職できるだろう。年齢からして全く遅くはない。しかし、大手で満足できるなら条件は良い。中小と比べて福利厚生面が格段に優れているので全体から得られる利益(退職金や手当など)は、実際に受け取る給与の2倍くらいの益がある。

常に、水は高きから下へと流れる。
人生のチャンスを無駄にするなかれ。