私は猫が嫌いだった。
犬好き、猫好きと分かれるという。
犬好きな有名人としてはナポレオンがいるが、犬=主人に忠実というイメージがあるが、猫は身勝手で人間より家につくというイメージか。
また、恨みによる化け猫…はあっても化け犬はない。
私の中では猫には裏切りや怨念深いイメージがあり、生涯飼うことはない生物だった。
特に猫に恨みがあったわけでもないが、幼少の頃より犬を飼っており、犬と猫とは犬猿の仲と思っていたので、猫を飼う気はサラサラなかったのかもしれない。
当時、私は3匹目の犬、シェトランドシープドッグを飼っていた。名前を「アトス」という。
デュマの三銃士に登場する銃士隊長からとったものだ。
シェトランドシープドッグは、コリー犬を小型に改良したものだが、その名のとおり羊(シープ)の番をする犬であり、使命に忠実でプライドも高い。
中型犬でありながら他を寄せ付けない気品があった。
アトスは雄で特に気品が高く、子供が頭を撫でようものから低いうなり声で威嚇をしたものだ。
猫はおろか他の犬とも交わることのないプライドを持っていた。
人生には予兆というものがあるのかもしれない。
その頃、不思議と偶然にも何度も捨て猫を目にする機会があった。
初めは「可愛そうに…」と思っていたが、自分が飼う気がなかったので「世の中の可愛そうな出来事」のひとつとして割り切っていた。
きっと誰かが拾って育ててくれるだろう…みたいに思って。
当時のことを振り返ると不思議に思う。
この数十年は、捨て猫をみたことがないのに、その頃は集中して頻繁に捨て猫にであった。
初めは無視していた捨て猫も、次第に気になる存在になっていたことは間違いない。
でも、私は犬を飼っていて、彼も10歳を越えていた。
普通、犬が他の動物と共生する為には、5歳未満でなくてはならない。それを越えると他の生物を受けいることはできない。と…犬の専門書に書かれている。
捨て猫を拾うことなど、眼中になかった。
ある一匹の子猫に出会うまでは…。
今では潰れてしまったが、私の家から数㎞離れた所に、郊外型の大型書店とレンタルショップがあった。駐車場は比較的に広く数十台の車が止められるスペースがあり、便利なので時々利用していた。
ある日のこと。
何気なく立ち寄り、本を数冊見てから駐車場へ戻ると、先をいく男性が何やら脚元のものを避けている。
何やら汚いゴミのよう…とよく見るとギョッとした。
それは一匹の子猫だった。
体長は20センチに満たないその猫は、白地に黒のブチ模様であったがあまりに汚かった。
体には数十匹のノミがはい回っており、おまけに右目が潰れていた。
助けを求めるように通りがかる人へとよるが誰もが避けて通った。
病気持ちの猫かもしれないからか…。
誰にも見向きもされない子猫は建物のよこで臥せっている。
私も脇を通り過ぎて、駐車場に止めてある車に乗り込もうとして、ふと気になった。
ああ…あのままではあの子は誰にも拾われずに死んでしまう…。
もう一度、振り返ると、子猫は壁にもたれて黙って臥せっている。
何がそうしたのだろう・・・
何故そうしたのだろう…
「おいで!!おいで!!!!」
と猫に向かって叫んでいた。
人の言葉分かるのか。子猫は一目散に私に向かって走ってきた。
言葉が分かるということは人に飼われていた証拠だ。
捨てられたのは間違いない。
私の元へ駆け寄ってきた子猫は、手のひらにすっぽりと入るほど小さかった。
子猫を抱き上げ、後部座席の下へ下ろしてエンジンをかけた。
数分前の自分でも想像もできないことをしている。
捨て猫を拾ってしまったのだ…。
「ああ…家族になんて説明しようか…」
なんて気にする間もなく、後部座席でグッタリとしている子猫が気になった。
車はまっしぐらへ我が家へと向かった。
犬好き、猫好きと分かれるという。
犬好きな有名人としてはナポレオンがいるが、犬=主人に忠実というイメージがあるが、猫は身勝手で人間より家につくというイメージか。
また、恨みによる化け猫…はあっても化け犬はない。
私の中では猫には裏切りや怨念深いイメージがあり、生涯飼うことはない生物だった。
特に猫に恨みがあったわけでもないが、幼少の頃より犬を飼っており、犬と猫とは犬猿の仲と思っていたので、猫を飼う気はサラサラなかったのかもしれない。
当時、私は3匹目の犬、シェトランドシープドッグを飼っていた。名前を「アトス」という。
デュマの三銃士に登場する銃士隊長からとったものだ。
シェトランドシープドッグは、コリー犬を小型に改良したものだが、その名のとおり羊(シープ)の番をする犬であり、使命に忠実でプライドも高い。
中型犬でありながら他を寄せ付けない気品があった。
アトスは雄で特に気品が高く、子供が頭を撫でようものから低いうなり声で威嚇をしたものだ。
猫はおろか他の犬とも交わることのないプライドを持っていた。
人生には予兆というものがあるのかもしれない。
その頃、不思議と偶然にも何度も捨て猫を目にする機会があった。
初めは「可愛そうに…」と思っていたが、自分が飼う気がなかったので「世の中の可愛そうな出来事」のひとつとして割り切っていた。
きっと誰かが拾って育ててくれるだろう…みたいに思って。
当時のことを振り返ると不思議に思う。
この数十年は、捨て猫をみたことがないのに、その頃は集中して頻繁に捨て猫にであった。
初めは無視していた捨て猫も、次第に気になる存在になっていたことは間違いない。
でも、私は犬を飼っていて、彼も10歳を越えていた。
普通、犬が他の動物と共生する為には、5歳未満でなくてはならない。それを越えると他の生物を受けいることはできない。と…犬の専門書に書かれている。
捨て猫を拾うことなど、眼中になかった。
ある一匹の子猫に出会うまでは…。
今では潰れてしまったが、私の家から数㎞離れた所に、郊外型の大型書店とレンタルショップがあった。駐車場は比較的に広く数十台の車が止められるスペースがあり、便利なので時々利用していた。
ある日のこと。
何気なく立ち寄り、本を数冊見てから駐車場へ戻ると、先をいく男性が何やら脚元のものを避けている。
何やら汚いゴミのよう…とよく見るとギョッとした。
それは一匹の子猫だった。
体長は20センチに満たないその猫は、白地に黒のブチ模様であったがあまりに汚かった。
体には数十匹のノミがはい回っており、おまけに右目が潰れていた。
助けを求めるように通りがかる人へとよるが誰もが避けて通った。
病気持ちの猫かもしれないからか…。
誰にも見向きもされない子猫は建物のよこで臥せっている。
私も脇を通り過ぎて、駐車場に止めてある車に乗り込もうとして、ふと気になった。
ああ…あのままではあの子は誰にも拾われずに死んでしまう…。
もう一度、振り返ると、子猫は壁にもたれて黙って臥せっている。
何がそうしたのだろう・・・
何故そうしたのだろう…
「おいで!!おいで!!!!」
と猫に向かって叫んでいた。
人の言葉分かるのか。子猫は一目散に私に向かって走ってきた。
言葉が分かるということは人に飼われていた証拠だ。
捨てられたのは間違いない。
私の元へ駆け寄ってきた子猫は、手のひらにすっぽりと入るほど小さかった。
子猫を抱き上げ、後部座席の下へ下ろしてエンジンをかけた。
数分前の自分でも想像もできないことをしている。
捨て猫を拾ってしまったのだ…。
「ああ…家族になんて説明しようか…」
なんて気にする間もなく、後部座席でグッタリとしている子猫が気になった。
車はまっしぐらへ我が家へと向かった。