2017年1月12日、入院していた大学病院で、

夫の腫瘍は「胚細胞腫瘍 縦郭原発 性腺外 非セミノーマ」である可能性が高いという説明を受けた。

 

検査結果が出たのが急であった事もあるが、

義父の西洋医学での治療反対、義母のダウンにより、

家族としては私のみが付き添って説明を聞く事になった。

 

・縦郭という左右の肺のほぼ中心で、「胚細胞腫瘍」という細胞が悪性腫瘍になっている。

・腫瘍は肺を押しつぶすサイズになっているため、それが息苦しさや咳を誘発しており、

 特に右肺はほぼ機能していない。

・症例が少ない珍しい癌であり、大学病院での治療実績はほとんどない。

・そのため、生検(細胞を採取しての検査)で腫瘍の特定に2週間以上有した。

 

以上の説明と、抗がん剤治療についての提案を受けた。

 

検査結果を待っている間にも腫瘍は成長しており、夫の息苦しさは増している。

1日も早く治療を開始したい状況だった。

 

大学病院の方では、こちらが希望したらすぐにでも抗がん剤治療を進めると言ってくれていた。

 

 

ただ、私たち夫婦は「大学病院での治療実績がほとんどない」という部分がひっかかっていた。

腫瘍の特定検査に時間がかかっただけではなく、検査結果の説明の際も曖昧な部分が多々あり、

大学病院の先生方も治療は手探りで行っていくという雰囲気を感じていた。

 

特に、夫はその部分に私以上に不安を感じていたようだった。

 

大学病院はセカンドオピニオンを受ける事も可能だという提案をしてくれたが、

私は弱っていく夫が心配で、少しでも早く治療を受け始めた方がいいと思っていた。

 

けれど夫からの、治療を始める前にセカンドオピニオンを受けたいという希望は強かった。

 

夫は現状前向きに治療に取り組んでいるが、実家で長年に渡って義父の医療への信頼の欠如を聞かされて育っていた。

そして現状でもまだ、家族(義父)は病院での癌治療に強く反対している。

自分自身がきちんと納得した上で治療に臨みたいという気持ちがあるようだった。

12日夜、夫自身で病院を探してみる、という事で検査結果を受けての夫婦の話し合いは終わった。

 

といっても、セカンドオピニオンは希望してすぐに受けられるものなんだろうか…。

 

1月13日の金曜日。

気になりながらもいつも通り出勤し、終業後にお見舞いに行った私に、

息苦しさで歩きづらそうながら夫は力強く

「セカンドオピニオンは国立がんセンターで受ける事になった!」

と報告してくれた。

 

国立がんセンター。

前日の検査結果の説明の際、大学病院が国立がんセンターに協力を依頼しているという話があった。

それまで私はこの病院の存在を知らなかったが、名前を聞いただけでも権威ある病院なのだと想像ができた。

 

確かに、国立のがん専門病院であれば、症例が少ない癌についてもデータがあるかもしれない。

 

けれど、がんの専門病院で治療を受けたいというニーズも多いのではないか。

希望してすぐに予約が取れるものなのだろうか。

年末に夫の症状が重くなり、大学病院を受診した際にも、調整が必要だった。

 

「国立がんセンターでセカンドオピニオンが受けられるの…?それって、すぐに行けるものなの?」

聞き返す私に、

 

「1月16日の午前でもう予約もとれたよ」

と夫。

 

「国立がんセンターって、希望してそんなにすぐ予約が取れるものなの?」

 

「場合によっては難しいかもしれないけど、俺の場合は希少がんセンターで予約をしてもらったから」

 

 

希少がんセンター。

「希少(きしょう)がん」とは、『人口10万人あたり6例未満の「まれ」な「がん」、数が少ないがゆえに診療・受療上の課題が他に比べて大きいがん種』の総称。

 

国立がんセンターのHPで上記のように紹介されている希少がんについて、様々な情報提供やサポートをしてくれる窓口のようだった。

胚細胞腫瘍は、10万人あたり1~3人の希少ながんで、対象に入る。

 

平日9~17時まで受け付けてくれている希少がんセンターの窓口へ夫から直接電話をして、

早速、次の平日である1月16日に受診枠を確保してもらったようだった。

 

裏を返せば夫の状況にそれだけ猶予がないという事であるが、この時の私はスピード感に驚いた。

 

 

大学病院も受診に合わせ書類等を揃えてくれる事になった。

国立がんセンターであれば、胚細胞腫瘍についての知見もあるかもしれない。

 

セカンドオピニオンの予定は不安に少し心強さを与えてくれたが、この受診を待っている土・日の間に、夫の病状は急速に悪化してしまった。