数年前から、「物忘れ」がひどくなり、
家族としては、なにかと心配は募ります。。

それでも、
掃除洗濯の一切を担っている83歳の父と
買い物と食事を担当する母とふたり、
ときどきケンカをしつつも、睦ましく、
自立した生活を続けています。
自転車で、5分の距離に両親は住んでいます。
たまに様子を見に行くと、
この前ワタシが言ったことはすっかり忘れており、
自分は相変わらず、同じ話を繰り返しています。
そんな時、唐突に
「そういえば、この前のミシン教室で作った服、アンタ着ない??」
といいました。
ワタシ「??? ミシン教室って、なに??」
ハハ「あたし、ミシン教室行ってんのー。週一回。言わなかったっけ?」
ワタシ「知らないよー!!いつから?」
ハハ「今年の春?6月に足を怪我して2ヶ月休んだでしょう・・で、9月からまた行ってんの。」
ビックリ、です。

母は昔から、お裁縫は得意でした。
体が小さいので、既製品もよく、袖や襟ぐりをチャチャと直して着ています。
ミシンも持ってはいましたが、
お教室に通うにあたり、
洋裁を仕事にしているような人が使う「ロックミシン」を購入したというのです。
まさか、悪徳商法にでも騙されたんじゃないか

と心配しましたが、どうもそういったものではなさそうです。
「ロックミシン」は、裁縫をやるワタシにとっても、憧れのミシンです。
でもまさか、母が買ってまでやりたいと思っていたなんて、知りませんでした。
ロックミシンは、上糸だけでも四本もセットしなければならず、
母は笑いながら
「何度教えてもらってもね~覚えらんないの~。へへへ。」
「だからね、お教室のミシンを使って、先生に教えてもらいながら作るんだよぉ。
おうちのミシンは1回も使ったことないのぉ。
ワタシが死んだら、あんたにあげるからね~。えっへっへ。」
(えっへっへ・・じゃないし・・。)
「・・んで、どんなもん作ってるの?」
正直、80になろうとしている人が、
ちゃんと外に着て行けるものが作れるなんて・・思ってはいませんでした。
「・・ちょっと待ってよぉ。どこにしまったかなぁ・・。」
「・・・」
「いっぱいあるんだけど、自分じゃぜんぜん着ないから・・。」
「・・・」
狭い家の、あちこちの引き出しをあけては、大騒ぎです。
毎日、毎日、
「あれはどこにしまったんだっけ???」を繰り返す日々。
「・・・。あった
あった
」端切れとともに、出てくる、出てくる・・。
ゆうに10着以上はあったでしょうか。
自分じゃ着ないそうです。
かぶりものは嫌だとか、
年寄りなのに赤いのなんて・・とか言って。
初級者だから、自分であれこれ好きなようには作れるわけじゃなく、
先生が裁ってくれた布と、決まったパターンで、作るだけ。
作品は一日でだいたい完成するそうです。
それでも、大きめに裁ってもらったという何着か、
ワタシにも着られそうなものを試着してみました。
「あら、アンタにいいじゃない
持って行きなさい。」と嬉しそうです

縫い目もきちんと真っ直ぐで、既製品と見紛うほどです。
人間、いくつになっても遅すぎるということはないのですね

<母の作品>
赤いカットソーと、ボレロ

緑のボトルネックと、グレーのアウター

まだボタンをつけてない・・ジャケット

さだまさし「おもひで泥棒」
