最近、ラノベにはまっていて、むしろ気づいたことがある。

 それが、あの超ハード路線の戦記物、

『銀河英雄伝説』の、ユーモアさ加減だ。

 

 たしかに、ラノベは面白い。ギャグシーンが、もろに表現されて、連発しているから。

 しかし。

 

『銀河英雄伝説』の、ギャグさ加減。これって、ほんとうに理解しているひとは、少ないのでは? いまさら、思い返したらとんでもないや。やはりすごい名作。

 

 たとえば。オーベルシュタインにビッテンフェルトが殴り掛かるシーン。

 これって、おっそろしいとんでもない、ギャグシーンなのだ!

 

 だって、ふつうの兵士からしてみたら。オーベルシュタインに殴り掛かるくらいなら、

 オフレッサーに殴り掛かる方が、まだマシなはず。

 

 オフレッサーは、とんでもないバケモノだけれど、なまじ歴戦の勇士。乱闘沙汰なんか日常茶飯事だろうから、かりに兵士に素手で殴られたところで、なんともないかも。まあ、即刻鉄拳一つで、兵士を殴り殺すでしょうが……もしかしたら、そんなことくらい、笑って許してくれたりして。ましてや、感心してもらえ、むしろひいきされるかも。

 

 対して……オーベルシュタインはシャレにならない。

 かれ、主人公ラインハルトより、明らかに知性は上回りますよ。

 ただ、自分にはほかの素質がないから、ラインハルトに絶対の忠誠を誓っているだけです。

 そんなオーベルシュタインを、完全に部下として扱っているのが、ラインハルトの皇帝としての力量です。

 オーベルシュタインは目的を果たすためには、どんな手段だって使いますから、ほかの提督たちも、みんな嫌っていたし、恐れていた。まあ、殺しまではしなくても、殴ってやりたいくらいには、みんな思っていた。

 

 それをビッテンフェルトは実行しちゃったのですから……

 

 その事件の後、同格の提督たちの目が、変わったのは疑いない。

 まあ、それは。

 いままで、ビッテンフェルトを。

「たしかに強いことは認めるが、突撃しかできない馬鹿だ」

 だったのが、

「馬鹿とだけは知っていたが、こんなすごいことを当たり前にできる、信じられない馬鹿だ」

 との認識に変わったくらいの差だったろうが……

 

 まったく、監禁されているときに。「暗殺など恐れん!」とか言って、サンドイッチ食べているビッテンフェルトは、やんちゃなガキそのもの。あのオーベルシュタインが、自らの私怨で、ラインハルトの大切な部下を、殺すはずはなかったのに……

 対して。軍紀を守りたいはずの、ラインハルトが。ビッテンフェルトを軍法会議にかけて、処刑すべきかどうか悩ませたことくらい、気づいてやれないものかね。