説明するまでもない(この感想書くのも無意味に思えるが)中国の傑作小説大作。現実の正史三国志を脚色して娯楽作に描かれたとある。群雄割拠の戦国の時代で、最初は小国が乱立しているが、中盤以降は魏・呉・蜀の三すくみ図から三国志として知られる。ちなみに時代的に邪馬台国卑弥呼と接していて、日本が魏志倭人伝として残っているのが興味深い。
演義は蜀の劉備玄徳を主人公としているので、やたら劉備は人格者に描かれる。小説もマンガも多くの出版社から出ているが、最初はこの劉備青年が母のためにお茶を買いに行く場面で始まるのが多い。次いで、関羽、張飛との義兄弟の誓い、桃園の義。しかし正史はあまり知らないが、実は劉備はとんでもない悪党で、義弟の関羽と張飛がいさめていたとも聴く。
余談だが、高校教師は劉備が漢王室の血を引いているのは嘘っぱちだと教えていたが……劉備の二百七十年前の漢の中山靖王劉勝は百二十名以上の子をもうけたとあるから、少しは血が入っている可能性は否定できないのでは……しかし、劉備玄徳とはカッコよすぎるから偽名だと教わった。
演義と正史の違いで言えば、袁紹軍に文醜、顔良なんてユニークな名前の武将はいなかった、などともされる。
で、劉備は流浪の人生を送る。ライバルとなる曹操を含めさまざまな武将に頼り、攻められては逃げ、逃げのびては再起しを繰り返して最後に蜀の漢中王に即位する。彼の出生地から遠く離れた内陸の山奥だ。人心をどう掌握したかはたびたび語られてはいるが、すごい話だ。
さて、蜀といえば五虎将軍が強力だ。関羽、張飛、趙雲、馬超、黄忠。この五名は精鋭で、単に互角の勝負なら、魏も呉も敵わないくらいなのだが(ただしこれはゲーム内のデータだ)……蜀は人口からして魏の一割ほどしかいないのが致命的。それでもよく戦い抜いた。
だって関羽って身長2m超していたらしいからな……当時の並みの兵士は現代の日本の中学生くらいの体格しかなかったらしいし。これでは敵兵士が束になっても蹴散らせるわけだ。
特に、登場人物では蜀の軍師、諸葛亮孔明が天才的に描かれる。後半でくしの歯がこぼれるように欠けて行く武将の中にあって、蜀の人材、彼一人といっても過言ではないほどの超人ぶりだ。
孔明は存命の間は、決定的劣勢の蜀を実に好く用兵した。しかも自ら北伐し圧倒的に強大な魏を狙った。その遠征は繰り返されるたび、魏の司馬懿は無理せず守った。ゆえに蜀は消耗する一方で、戦果は見込めない……おまけに『泣いて馬謖を斬る』で有名な惨敗を喫した。
だが蜀の地は険しい山岳連なり天然の険阻な要害なのに。孔明が防戦に回らなかった理由が、単に後継者の無さのため、生き急ぎ過ぎたのか? それとも魏を朝敵として戦い、漢を再興することが、蜀のよって立つ理由だからか。
これは魏の軍師司馬懿を前線に釘付けにし、魏の戦力最大の実権をいちばんやっかいな武将に与えてしまった逆効果ではないだろうか。さもなければ司馬懿は国内の権力抗争で謀殺されていたかも知れない(逆に、魏を司馬懿が乗っ取り、最大の実力者になっていた可能性も出るが)。それが、司馬懿の子孫が魏を乗っ取り三国平定して、晋の国を台頭させた結果となったのでは……あくまで歴史に疎い素人の戯言だが(ぼくは水滸伝を史実と信じていた馬鹿だ)。
歴史をお知りならぜひお教えください。ぼくはしょせん歴史ゲームから入って知り、短めの小説と、漫画横山光輝三国志を半ば読んだ切りの浅知恵だ。