登場キャラ
時雨 ドワーフの君主。悪。魔法使いレベル13から転職。
逢香 エルフの侍。善。僧侶レベル13から転職。
大地 ホビットの忍者。中立。盗賊からアイテムで転職。
迷宮の中、悪魔との戦いは続いていた。戦い。否。一方的な殺戮、血の宴が。たった三人、半個パーティーの人外の冒険者たちの実力は半端ではなかった。
最強悪魔グレーターデーモンの首を『素手で』刎ねたホビットの大地「後衛がいなくっても楽勝っすね」
電動ドリル(カ○ナートの剣)を手にドワーフの時雨「ワードナの魔除けを全員持っていれば、グレーターデーモン怖くない! 無敵だね、僕らは」
妖刀村正を手にエルフの逢香「体力異常ステータス自動回復だものね。僧侶魔法ほとんどいらないわ。強い悪魔ほどカモになっていくわ、大地ちゃんが宝箱の罠解錠失敗さえしなければ」
時雨「直人さんが言っていたな。『俺、マーフィーズゴーストのようにいじめられていたよ』って。聞いた涼平さんが『え、そんなにいじめられていたのか!?』って」
大地「前世紀ゲームヲタの会話っすね。このころのヲタは市民権が無く迫害されていたらしいっす。AKBどころか萌もメイド喫茶もない、秋葉は電気街。ヲタ=変質者との偏見があった。いまでは誰でも当たり前のパソコンを使っているだけで異常者扱いされる。あ、宝箱解錠成功したっす。星型のもの……また手裏剣っすね。属性中立の私は呪われるから使えないっす」
逢香「金が余る一方ね、なのに歳を取るのが嫌だから、馬小屋にしか泊まれないジレンマ……ロイヤルスイート何万年泊まれるかしら?」
大地「ちなみにこの冒険世界の地上初の原案、私らの創造主『紙』の誕生年度と同じらしいっすよ。それを『紙』は運命の奇跡と喜んでいるらしいっす」
逢香「そんなことより、雑魚敵を一掃する攻撃魔法が足りなくなってきたわ。地上へ帰りましょう。念のために地下二階へマラーでテレポートするわね」
大地「そうっすね、壁の中や空の上で全滅は怖いっす。それも死でも灰でもなくいきなり消失っすからね」
逢香「行くわ……あ、エンカウントした。七匹の動物! 牙のあるウサギ……これは!」
時雨「ボーパルバニーだ。可愛い!」
怯む大地「これはヤバいっす、魔法で一掃してくれっす!」
時雨「大地ちゃんこんな雑魚に、なに怖がっているの?」
逢香「だってこの私も時雨ちゃんも、マハリトもダルトもマダルトもラハリトも使えないわよ!? この敵ウサギは一撃必殺のクリティカルを放つわ。どれだけ体力あっても即死!」
時雨「僕は装甲フル装備でアーマークラス-10くらいあるよ。どうせこんな雑魚攻撃当たらないよ。1匹ずつ倒すか」
逢香「きゃ、痛い! しまった、手首を裂かれた! どうせ防御力1点だと思って籠手(手甲)つけてこなかった……動脈をざっくりもっていかれた。ほとんど手首切断、血が止まらない……」逢香は意識を失って倒れた。
時雨「逢香ちゃん! マディ(完全回復魔法)掛けても無駄か……即死。まさかこんなにあっさり首ならぬ手首刎ねられるなんて……」
大地「私なんか装備ゼロっす! アイテム持ちように。アーマークラス1です、未熟……」言うそばから、大地の首はウサギの牙に刎ねられた!
時雨「大地ちゃんまで! また僕一人になっちゃったよう、リセットの神様はまた僕を見捨てるのだね! レベル七魔法余っていたから、マラー(テレポート)かティルトウェイト(最強攻撃呪文)掛けられたのに……ではトドメ!」
チュイィィ…………ッン。サクサクサクサクサクサク……
時雨「と。あ~雑魚を一匹ずつ倒すってめんどうくさい。牙ウサギはもらえる経験値もゴールドも少ない。抜群に素早いからどれほどの連達の戦士でもたまにはクリティカルで即死させられる。最悪のモンスターだなあ……僕が君主の法衣着ていなかったら死んでいたよ。帰り道……どっちかな? ま、ここはどうせほんの地下二階、危険はないな」
後書き これは本来の目的を果たした後明確な目的を失い、名誉、財産、強さに富み驕り退廃し、ただ血に飢えた戦士たちの愚かしい末路である。時雨は一人ギルガメッシュの酒場に一人生還し、仲間を蘇生させ復讐とばかりにウサギ肉を食べている。が、彼らが大義も理由も目的も無く、悪戯に資金を街に落とすばかりで不毛にモンスターの殺戮を繰り返す欺瞞の日々は続いている……
(終)