2020年後半に見た映画14選 | さっぽこのウェブログ

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今期は20選には届かず14選!ネタバレあるよ!



『エターナル』

仕事を失い失意の中「さまよう」イ・ビョンホンの存在感が光る韓国映画。

ロードムービーと思わせておいて実はスピリチュアルという急展開ながら、中途半端で甘いファンタジーな雰囲気にはなっていない。

全て、イ・ビョンホンの存在感に助けられてる。



『blank13』

途中から「絶対に笑ってはいけないお葬式」になってて、高橋一生と斎藤工(監督兼任)のムダ遣い感が半端ない。

もはや「クズな大人」俳優として確固たる地位を獲得したリリー・フランキー演じる父親の切なくもどうしようもないクズっぷりが光る。



『麦子さんと』

この作品も親の死とその知られざる人生をたどる切ないストーリー。

堀北真希のとらえどころの無さが主体性にかける主人公のキャラとリンクし、新たな一歩を踏み出す覚悟を強調する。



『14の夜』

思春期の抑えきれない性欲と校内カーストに支配されるもどかしさを描いた青春コメディ。

ラスト、徒労のなかにある達成感が清々しい。



『家族ごっこ』

あまりにも大きな問題を抱える幾つかの家族についてコミカルに描いたオムニバス映画。

最初の騙し騙されする擬似家族、「初期設定」からして無理筋で面白い。



『昼間から呑む』

彼女にフラれ失意の主人公を旅に誘う友人たち、しかし友人たちは来ない…。

思わぬ一人旅のさなか、こぼれ出す性欲に逆らえず酒に溺れ数々のトラブルに見舞われる主人公。

トラブルは軽率な行動ゆえか、運の悪さか、見透かすように問う女。

欲求をあぶり出すストーリーに定評のある韓国映画らしい傑作コメディ。



『大人ドロップ』

高校生の男女、心の成長スピードの差が二人に立ちはだかる。

橋本愛演じる女子生徒の諦めに似た義務感、「大人ドロップ」を舐めすぎたゆえのもどかしさが切ない。



『僕は明日、昨日の君とデートする』

世界のことわりに反し毎日日々を遡って生きるヒロインとそれに気づかず彼女との日々を楽しむ主人公によるSFラブストーリー。

彼女にとって最も気持ちが強くなる彼と最後の日は、彼にとって彼女と会う日。

事情を理解し彼女との最後の日に向けて精一杯の思い出作りをする主人公だが、思い出作りを頑張れば頑張るほど彼女は心の距離が広がる「翌日の」彼に切なさを感じる。

思い出の積み重ねがスレ違うなかでも最後の日に向けて尽くそうとする姿にキュンキュンが止まらない。



『横道世之介』

二枚目個性派俳優の若手筆頭株(と思ってる)の高良健吾主演で、相手役も個性派女優の吉高由里子。

ちょっと変わった青年と世間知らずのお嬢様の淡々とした日常もこの二人が演じると一癖も二癖もある物語に変わる。



『キツツキと雨』

現場をまとめきれない気弱な映画監督がロケ先の人々に助けられ作品を完成させるコメディ。

優柔不断で決断力に欠ける小栗旬の前に現れた役所広司が少しウザいくらいの強引さで現場を動かし、ヤキモキ続きのスタッフも一つになっていく達成感が心地いい。



『恋人たち』

序盤、有名な役者が一人も登場しない展開は物語の重苦しさと相まって見てる側の不安感を掻き立てる。

しかし、中盤にかけて有名な俳優が登場すると物語に落ち着きが生まれ、不安感は主人公たちが抱える不満や怒りや不安とリンクしていく。

意図したものか自分がそう勝手に感じただけかわからないものの、その構造が面白いなと感じた。



『ミロクローゼ』

山田孝之の脳内物質の暴走をひたすら見せられ続けるような作品。

破綻と支離滅裂さしかないが、不思議とクセになる。



『敦煌』

バブル景気の絶頂期、日本がアメリカを猛追してた一瞬に中国ロケを行い作られた歴史大作。

中国が天安門事件で世界から孤立する前のわずかな時期、日本がバブルの絶頂で空前の予算を生み出せた時期、二つが交差するこの瞬間にしか作れなかった大作は構想から10年以上かかって製作されたという。

渡瀬恒彦、西田敏行といった油の乗り切った役者が力強く演じ、まだ20代半ばの佐藤浩市は翻弄される若者を演じる。

日本映画史上比類なきスケールに当時の映画界のエネルギーを感じる。



『さまよう刃』

韓国映画ではあるが日本の小説が原作で映画化もされている作品。

娘をレイプされ殺された父親が犯人を探し復讐を果たそうとジワジワ追い詰めていく。

犯人グループの行為の数々があまりにもエゲツなく、欲求をあぶり出すその描き方が韓国映画ならでは。

正義のためならば暴力は肯定されるのか、あまりにもエゲツなさすぎて見てる側も復讐を肯定したくなる。

正義の暴力の肯定と否定、その葛藤という韓国社会が抱えるテーマを日本の原作を用いながら上手く描いた傑作。