監督で負ける試合はか数多あれど、監督で勝つ試合は少ないと言われるプロ野球において、この試合は数少ない例外に思える。
今日のヤクルトは大胆に打順を組み換え、1番に不調の山田哲人選手を、さらに驚くことに2番には三冠王を狙う村上宗隆選手のあとを打っていたサンタナ選手を起用した。
結果、1点を先制された直後の1回裏に山田選手が先頭打者ホームランを放ち、試合の流れを変えてみせた。
確かに、バッティングというのはランナーやアウトカウントの状況で変わるもの。プレッシャーが少ない、究極の自由がある打順は1回の1番打者だけと考えれば、この勝負手はむしろ自然なのかもしれない。
だが、もしこれが投手出身の高津臣吾監督のアイディアならば凄いことだと思う。少なくとも、1番にも2番にも中長距離打者を置く、このような打順はセオリーには反するからである。
そしてヤクルトはギャンブルに勝った。
勿論、試合を作った小澤投手の好投や塩見選手の勝ち越し2ランも素晴らしいモノではある。しかし、不調のチームリーダーが、それも初回の先頭で放った一発のインパクトにはかなわない。だから、この試合はおそらく高津臣吾監督の独特な嗅覚で勝った試合なのであろう。
今日もタイムリーが出ていないヤクルト打線はまだまだ湿っている状態だが、なんとか15以上の貯金があるうちに連敗は脱出できた。DeNAがコロナ禍で主力を欠いている中とはいえ、眼下の敵相手に貴重な一勝なのは間違いない。