またも下馬評を覆して、ヤクルトが勝った。

 

通算成績3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦、延長12回表2アウトランナーなし。

あと1アウトを取られれば決着は次戦以降に縺れ込むところから、燕軍団が粘った。

塩見選手のレフト前ヒットと相手のパスボールでランナーを2塁に進め、「代打の神様」川端選手が詰まりながらもショートとレフトの間に打球を落とし、これが決勝タイムリーとなった。

 

波瀾万丈な内容で2敗2Sと、このシリーズの激闘をある意味で演出したマクガフは10回表2死からの2回1/3を投げ切り、この試合の勝利投手そして胴上げ投手となった。

別に最後は調子を上げていた石山投手を起用しても勝てていただろうが、「今年のうちの抑えはあなたなんだ」という高津監督の優しさと良い意味での頑なさを、この起用に見た気がする。さすがは「世界のクローザー」であり、同時に気遣いと信念の「6」の人という感じがする。

 

シーズン終盤からポストシーズンにかけては、それまで好調だった塩見選手や村上選手といった若手選手もプレッシャーや疲労からか不調に陥った。だが、シーズンと同様の戦い方を貫き通すことで、オリックスの山本由伸投手のような「スペシャルワン」を持たない集団が、最終的に12球団の頂点にまで上り詰めた。

またこれにより、セ・リーグとしても9年ぶりに日本シリーズの覇権をパ・リーグから奪還することに成功した。

シリーズMVPには投手陣を牽引し、22打数7安打.318の好成績を残した正捕手の「ムーチョ」こと中村悠平選手が選ばれた。

 

それにしても、6試合で終わった日本シリーズにおいて、その6試合の先発投手がすべて異なる日本一チームは極めて珍しいと思う。それだけ絶対的な存在がこのチームにはいないのだ。そのことこそが、今年のヤクルトスワローズの特色であるといえるかもしれない。

その代わり、シーズン中から泥臭く粘って相手投手を消耗させたり、「四球」をもぎ取るスタイルの攻撃野球はまさに野村監督が掲げた「凡事徹底」の実践といえるモノであった(勿論、その一方で相手にはそれを許さなかった)。見た目よりも遥かに逞しく繊細な野球がそこにはあった。

 

そしてすべての成功(成幸)は、信じることから始まる。何を信じたらいいかすらわからないこの時代に、「絶対大丈夫」という言葉はとても大きな力を持つ。そういう言葉を生み出せる才能を持っていることもまた、高津監督の「6」らしいところといえるかもしれない。

 

本当に感動的な優勝そして日本一であった。ありがとう!

 

P.S.

個人的に今回の優勝そして日本一は、決してただ単に巡り合わせが良かったり、弱い投手陣に目を瞑って打ち勝ったのではなく投打が嚙み合った結果の優勝として、高く評価されるべき内容のものと思う。

確かにオリックス打線はそれほど強力ではなかったかもしれないが、用意した6枚の先発投手がいずれもそこそこの投球をし、ゲームを壊さなかったのはよかった。

 

主力選手も多くがまだ若く、「ホークアイ」の導入に象徴されるように、他球団に対して情報戦でも勝利していた。しかも、野村ヤクルト時代より致命的な怪我人も少なかった。

今後の弛まぬ努力次第では、新たな令和の黄金時代を築くことも夢ではないだろう。それにこの人の存在により、少しだけ90年代と雰囲気が似ているし。

 

↓:この人(笑)

 

 

磯山さやか共々、燕を支える女神としての活躍が今後も期待されるともちんなのであった。