プロ野球のお楽しみの一つである交流戦も、各チームによって多少差異はあるもののその2分の1から3分の2の試合を消化した。
ここでは、交流戦のデータを通じて交流戦そのものではなく、その先の各リーグのペナント争いを私流に占ってみたいと思う。
<セ・リーグ>
[勝敗順位]
①DeNA 12試合7勝3敗2分け
①中日 12試合7勝3敗2分け
⑤ヤクルト 12試合6勝6敗
⑥巨人 12試合5勝5敗2分け
⑨阪神 12試合5勝7敗
⑫広島 9試合2勝6敗1分け
[防御率順位]
①中日 2.94
⑤巨人 3.82
⑥阪神 4.12
⑨ヤクルト 4.68
⑩DeNA 5.13
⑫広島 6.04
[得失点比(理論上の勝率であるピタゴラス勝率を決定するもの)]
⑤ヤクルト 1.093
⑥中日 1.000
⑧DeNA 0.985
⑨巨人 0.980
⑪阪神 0.770
⑫広島 0.621
<総評>
今年の交流戦はセ・リーグが健闘しているといわれる。だがそれはあくまでも勝敗ベースの話であって、こうやって防御率や得失点比で見るとまだまだパの優位は動かしがたいといえる。実際、得失点で得点が失点より多いのはヤクルトだけだ。本来の抑えである石山の乱調などがあり、勝敗は五分なので目立ってはいないが、今年のセの台風の目として躍進するヤクルトの実力向上を、数字でも示す格好となった。
COVID-19禍に見舞われ、大量の主力選手を欠く状態の広島はこの数字は仕方がない。今がまさにどん底といえる。頑張ってほしいものである。
むしろ気になるのは巨人と阪神。どちらもセの上位を形成している球団としては物足りないといえそうだ。DeNAは、開幕当初最悪だった巡りがこの交流戦でよくなっているだけと映る。いかに強打のパ相手とはいえ防御率5点台では、先が思いやられる。
ヤクルト以上に総合的に優秀な指標といえるのは、むしろ中日だ。実際、交流戦の順位は1位だし、パ相手に防御率2点台を維持しているのは凄い。打線が弱いが、安定した地力があるので、リーグ戦再開後には中日がヤクルトよりも上に行き、優勝争いを面白くしてくれる可能性は十分にある。
<パ・リーグ>
[勝敗順位]
③楽天 12試合7勝4敗1分け
④オリックス 12試合7勝5敗
⑦日本ハム 11試合5勝6敗
⑦ロッテ 12試合5勝6敗1分け
⑩ソフトバンク 12試合4勝6敗2分け
⑪西武 10試合2勝5敗3分け
[防御率順位]
②ソフトバンク 3.23
③日本ハム 3.51
④楽天 3.60
⑦ロッテ 4.25
⑧オリックス 4.67
⑪西武 5.75
[得失点比]
①ソフトバンク 1.333
②楽天 1.244
③オリックス 1.214
④ロッテ 1.189
⑥日本ハム 1.000
⑩西武 0.772
<総評>
指標で見る限り、やはりパ・リーグのポテンシャルは高い。特に得失点比では6球団以上5球団が1以上となった。現状、今年の交流戦はかろうじてまだセ・リーグが勝ち越している(セ側の貯金2)が、この数字を見る限りその結果は「たまたま」であるといえる。
特にソフトバンクの指標が非常に優秀で、何故に短期戦の交流戦とはいえ10位に低迷しているのか謎である。このことを本業の野球評論家諸氏はどう考えるのであろうか。
日本ハムは投手力が良いが、攻撃力が弱くここまで(リーグ戦共々)苦戦している。現在首位の楽天との差は9.5ゲームで、これはもう挽回できる限界ギリギリであろう。
西武ファンには悪いが、西武は日本ハム以上に苦しい戦いを強いられると考えられる。対ヤクルト戦の2,3戦を見ればわかると思うが、もはや今季の西武は勝ち負けがギャンブルになってしまっている。
オリックスからロッテ、ソフトバンク、楽天の4球団はセ・リーグにいればどこが優勝してもおかしくないレベルにあるといえる。この中ではややロッテの野球が粗いが、得失点比は1.15を超えていて、超攻撃型のチームとして悪くない。今後もロッテは、パ・リーグで一番その動向から目が離せない球団といえるだろう。私としては近鉄の流れを汲む2球団が健闘してくれているのは嬉しい限りである。
<結論>
依然としてパ高セ低は続いており、特に(交流戦の勝敗は度外視して、内容に目を移せば)ソフトバンクの強さは一時ほど圧倒的ではなくなったにしても、まだまだ健在である。
今年も2013年から続く日本シリーズでのパの8連覇を止めることは難しく、それがあるとすれば、何かの間違いで西武か日本ハムがシリーズに進出した場合だけではないかと思う。