※:この記事の初稿は、2018年9月28日に投稿されたものです。
「武士の情け」という言葉があります。
勝負事には、この武士の情けを意識して行った方がいい場合があります。
例を挙げましょう。
オーラス 親番 トップ目(+20,000) 6巡目
五六七八八②③④⑤⑥⑦68 ツモ:赤5
昨日、久々の実戦の5ゲーム目で実際に私に入った手です。フリー雀荘なので、もちろんラス親はあがりやめ(着順は何着でも)できますし、あがってトップになれば、それ以上は連荘はできないルールです。
この半荘、私は攻めがハマり絶好調。
ちなみに、2着目から4着目はいずれも-4,000点から-10,000点ぐらいという実に理想的な点棒状況のオーラスでした。
この局も1巡前にカン7sでタンヤオのみの聴牌を果たしたところに、文句なしの赤5sを引いてきました。
…で。
この手で、たまにトップが確実に欲しいという理由から8sを切ってヤミテンにする人がいるんですね。
でもね。それ、私的には間違いです。
この親は、5巡目という早い段階でカン7sで聴牌して、しかもそこからたった1巡で目指していた最高形が入る状態なんですよ?
いわば「出来上がっている状態」ですよね。
この状況では、トップになりたいからではなく
「ほとんど確定したトップ目」だからこそ、
その豊かさに感謝して、リーチを打つべきなのです。
もちろん、こんな場合でもレアケースとしてハネ満を2着目に放銃して、
リーチ棒を出したことによって、トップから転落するかもしれません。
…でもね。
それもまた、いいじゃないですか。勝負なんだから。
そう思って打つことが「打ち手の成長」につながると、私は考えています。
っていうか、この手でヤミテンにしていたところに誰かからリーチを受けたとして、親のあなたはオリるんですか?ってことです。
誰よりも早い巡目で最高形の聴牌が入ったのですから、オーラスだろうが何だろうが即リーです。
仮に自分が子方でも、この状況ならリーチを打つ方が実りの多い麻雀になるでしょう。
ちなみに実戦では安め4sの一発ツモ、裏1で6000オールの3枚。
大トップで終了しました。
#:これが競技の麻雀だったとしても、今度はラス親にはあがりやめが通常はないですから「リーチ」です。子方で3900点をあがれば優勝なり何らかの目標とする条件をクリアするという状況のみ、ヤミテンが許されます。
もう一例挙げましょう。やはり私の実戦からです。
オーラス3本場 北家 3着目 トップの西家と18,000点差 ※:供託込みでの実質の点差
東家(2着目)と西家(トップ目)が5,000点差以内でトップを競っている
そんな状況で、10巡目ぐらいにドラも赤も無しのこの手をテンパイしました。
六七ハ②③⑦⑧⑨南南發發北 ツモ ④
まだしも①が入れば一手替わりチャンタだったのですが、私はこのゲームではあと1牌が引けない、典型的な拙攻の目立つ3着。
やはりというか、安め側の④を引いて聴牌しました。
この手は(もちろん北切りで)リーチをかけて、一発ツモして裏が3つ乗ったところでハネ満まで。
トップにはなれません。といって、2手替わりは待てません。
#:赤⑤の所在は失念しましたが、赤を引いてなおかつ即ツモ裏3なんて算段は間違いだと思います(笑)。
しかも、他家2人が熾烈なトップ争いをしています。
この時、私はとにかく自分があがって終局させたい気分(いろんな意味で)でした。
つまりこの手組は「仕方なく」こうなったのではなく、私なりに本局の最善のアガリを目指してこの形になった訳です。
であれば、これはこれで一つの立派な「最終形」です。
だから、即リーチ。
ただし、これは分類すればいわゆる「『すみません』リーチ」には属します。
っていうか、この手を1300点のヤミテンにするなら、ロン牌が出てもあがらないのが武士道的な礼儀だと思うんです。
熾烈なトップ争いに、目無しの3着の自分ごときが水を差すべきではありません。
このように、「武士の情け」とは大トップ目のラス親のような高い身分にいる場合でなくても、時として必要になる心構えなのです。