どうやら広島カープの3連覇が今日にも決まりそうだ。

ここまでの様々なことは置いておいて、セ・リーグでは巨人以外成し遂げたことのなかったこの偉業に関しては素直に敬意を表したい。

 

それにしても今年のペナントは意外と面白かった。私がスワローズファンなのは置いておいても、カープにせよスワローズにせよ防御率が巨人より悪いのにそれぞれ優勝、Aクラスは確定的である。

近年、様々な要因(ピッチャーが速い球やキレのいい変化球を投げる身体能力には限界があるが、バッターはバッティングマシン次第でいくらでも打てるようになる、とか)が囁かれているが、パ・リーグでは防御率リーグ最下位(!)の西武が優勝間近であるように、「打てるチームが勝てるチーム」となっており、「飛ばないボール」だった2010年ごろや「ピッチャーは野球」と呼ばれた昔とは、明らかに逆の傾向がみられる。

 

しかも、このままの「流れ」で行くと3位はDeNAになりそうだし(巨人とは同率であるが、直近の成績では明らかにDeNAが上回るうえ、このまま打ち切りになれば、直接対決の成績に勝るDeNAが3位扱い)、セ・リーグ貧乏3球団が金持ち3球団の揃って上に立つという珍現象が起こりそうである。やはり、野球の勝利は金だけでは買えないらしい(あるには越したことはないが)。

 

また、DeNAの監督はヤクルト時代が全盛期だったアレックス・ラミレスで、GMは2000年代後半にヤクルトで監督をした高田繁氏である。

ヤクルトの打撃コーチである石井琢朗コーチは、現役の大半が大洋・横浜(DeNAの前身球団)で、昨年までは広島カープの打撃コーチだった。その石井琢朗氏の人望のお陰か、広島の生え抜き選手で昨年までカープの外野守備走塁コーチであった河田雄祐氏までヤクルトに来てしまった。

こう考えると、現在の広島、ヤクルト、DeNAの「中の人」特に指導者陣は非常に似通った血を引いていることがわかり、その3球団が「貧者の戦略」を駆使してセ・リーグの上位を占めているといえる。

確かに、こと今シーズンに関してはどう見ても巨人や阪神よりは広島やヤクルトはただ打つだけでなく、攻撃に「芸」があるし、中継ぎ以降のピッチャーのやりくりも上手い。(実はここに「防御率」という統計データの落とし穴がある。救援防御率、特に7回以降のそれに関しては広島やヤクルトのほうが巨人より明らかにいい。)これはなかなかに痛快ではないか。

 

ただ、スワローズファンとしてみると「昨年96敗からの2位」は大躍進ではあるものの、結果的にはカープの3連覇をスワローズがアシストした格好(対戦成績的に。仮定の話で申し訳ないが、もしスワローズがカープと五分に闘っていたら…。交流戦の1位だけが目立っているが、実のところカープにカモられている以外に、スワローズが負け越している同一リーグ内の球団はない。)になっており、おそらくCSで勝つのも今年は難しいのではないかと思われる。現に昨年、カープは雨に祟られて日本シリーズを逃していることだし、今年はスッキリと日本シリーズに出て、そしてセ・リーグの底力を見せてほしいものだ。私はもともとCS不要論者である。やるとしても2位まででいい。(その場合の想定されるシステムは、1・2・5・6戦優勝チームホーム、3・4戦2位チームホーム、優勝チームに1勝アドバンテージの6試合制。)

 

昨年は「カープとの直接対決の対戦成績を除けばカープより上位に来る」セ・リーグの球団などなかった。この一点をもってしても、セ・リーグにおいてカープと他5球団の実力差は縮まってきてはいるといえる。

 

ちなみに私的には、ヤクルトが死地から息を吹き返した要因は、重要なほうから(1)小川監督と宮本ヘッドの人望(2)青木宣親の現場での頑張りっぷり(3)広島から引き抜いた格好になった琢朗・河田両コーチの直近での優勝経験(4)今年は意外と故障が少なかった、の順である。しかし2019年は、当然ながら優勝候補の一角と看做されるチームになるであろうから、更なる研鑽が必要なのは言うまでもない。