DeNAベイスターズ(レギュラーシーズン:セ・リーグ3位)が昨日、広島東洋カープ(同1位)を破ってついに(前身の横浜時代以来、19年ぶりの)日本シリーズ進出を決めた。これについてはいろいろな意見はあるものの、ある程度予測された結果だったと私は思う。

 

だいたいが、DeNAはレギュラーシーズンで

 

巨人やヤクルトが7勝、中日が8勝しかできなかった

(だから今年、こいつらがBクラスなんだけどさ)

広島に、13勝12敗で堂々と勝ち越している唯一のチーム。

このことは、まだまだ未熟さが見えるDeNAのチーム力ではあっても、

もっと評価されるべきだと思う。

 

そして、3位でCSに出たDeNAは当然甲子園、広島マツダスタジアムと

西日本のアウェーでCSを戦うことになる。

しかしここで大事なのは、

「空気がアウェー一方、条件も不利だったからより一層選手が燃えた」とかじゃなく、

 

西日本って基本的に豪雨地帯

 

だってこと。しかも台風21号に代表されるように、今年の10月は雨ばかりの異常気象。

 

言ってみれば、何が起こってもおかしくない今年のCSで上位チーム(広島、阪神)には、地元開催権にモノを言わせ、

 

悪天候時は中止、あるいは降雨コールドで「戦わずして」

 

という「逃げ道」が事実上(ある程度は)できていた。ってか、普通甲子園の時点でDeNAは「雨によって敗退」でおかしくなかったのは、ご存知の通りだと思う。DeNAは、本来なら1Sで「雨により」死んでいたのだ。なのに、阪神造園が異常な頑張りを見せてなんとか3試合を成立させてしまった。

これで勝ち上がれば、勝ち上がった側(それも条件的不利な側は一層)勢いが自然とつく。それは勝負の鉄則だ。そんな中、勝負の女神はDeNAに微笑んだ。この時点で、広島はFSがかなりやりづらくなったと感じただろう。できれば、まだまだ本線がCS争いまでのDeNAより、途中まで優勝争いしていたのに失速した阪神を相手として迎えたかったはずだし、その条件はほとんど完成していた。なのに、その目論見が外れてしまったのだから。

 

さらに、FSではいきなり初戦に前代未聞の「5回降雨コールドゲーム」。それも10点差とかならまだしも、3点差。これは…何?

この対応は、ああまでして1Sを「戦って決着させた」阪神造園の頑張りとは対照的だった。まぁ、私は広島の天候状態を知っている訳じゃないし、合理的な判断なんだろうけどさ、普通に考えたら少し早いよね。せめて7回まではやるべきだと思うし、5回でやめるのなら点差も5点以上は必要。

 

広島は結果的に楽に「2勝目(アドバンテージ含む)」を拾った格好になったが、これは「流れ」(早い話がプロ野球の場合は「世論」。これは、短期決戦では本当に大きな要素となる。)を絶対に失うな、と思ったよ。

つまり、この「勝ち」で、カープの選手も緒方監督も悪くないのに、「そこまでして勝ちないのかよ…広島」という理不尽な「世論」が形成されてしまった。そして、もともと下克上を好むウエットで理不尽な国民性も相まり、実は広島は(昨年の覇者でもあることも相まって)2戦目以降相当にアウェーな状態(正確には「空気」)で戦わざるを得なくなったと推測される。

勝負の世界に仮定の話は禁物だが、第1戦を雨中だろうが何だろうがちゃんと9回まで戦って広島が勝利していれば、少なくとも雪崩を打ったような2戦目からの4連敗はなかったように思う。

 

結果的には、雨が…つまり「天」がDeNAを勝たせた。そう思う以外にない。

 

このように、「雨」に弱い野球というスポーツにおいて、「雨」は最大のトリック・スターとなるのだ。これが私が好きな水泳(競泳系)や大嫌いなサッカー、あるいは屋内で行う競技だったら(そう、今回セ・リーグのCSに出ていた3球団は、全て屋外球場が本拠地なのである!)このような結果はそもそも起きる要素がないわけで、そう考えると野球って繊細なスポーツだよね。それでも、最初に述べたように、DeNAはレギュラーシーズンで広島に14.5差の大差をつけられた3位とはいえ、広島に勝ち越した(とはいえ13勝12敗なので、より正確には「互角に戦った」というべきか)球団である。広島の独走を許したのは「他の4球団」という見方もできる。「下克上」を起こすとすれば、その最低限の資格は持っていたということだ。

 

それにしても、「リーグ優勝」こそが本当は至上のタイトルとはいえ、こんなに早く横浜DeNAに「春」が来る、とは誰が予想しただろうか。これだから、勝負事は怖い。

私はあくまでもスワローズファンだが、DeNAにも来季こそは「力」で、20年ぶりのリーグ優勝を勝ち取っていただきたいものである、と思わないでもないのであった。

 

しかし、目をひとたびパ・リーグに移せば「ソフトバンク(SB)強すぎ」の状況は何も変わっていない。この10年間以上の日本プロ野球は、まさに「SB一強時代」である。しかし、そのおかげでパ・リーグがセ・リーグよりも全体に強くなったのだといえるだろう。やはり上に立つチームが強くないと、スポーツそして勝負事というのはダメなのである。

 

ともあれ、長きにわたり5・6位常連だった広島とDeNAが、2年連続してセ・CSのFSで相まみえることになったのだ。結果は1勝1敗。リーグ連覇したカープファンには悪いが、リーグ全体としてはこれは良かったのだろうと思う。少なくとも、セ・リーグではCSに当たる制度が導入されてまだ11年しかたっていないのに、その間に全6球団が日本シリーズを経験することができた。

 

一応、その間のデータを復習してみると、

 

※:太字は日本シリーズも制覇。()内はレギュラーシーズン優勝以外のチームのレギュラーシーズン順位。

 

2007 優勝:巨人  日本シリーズ代表権:中日(2位)

2008 優勝・代表権:巨人

2009 優勝・代表権:巨人

2010 優勝・代表権:中日

2011 優勝・代表権:中日

2012 優勝・代表権:巨人

2013 優勝・代表権:巨人

2014 優勝:巨人 代表権:阪神(2位)

2015 優勝・代表権:ヤクルト

2016 優勝・代表権:広島

2017 優勝:広島 代表権:DeNA(3位)

 

全体としてみれば、まだ巨人がやや優位にあるとはいえ、実力差は相対的に小さい。だから、セ・リーグは「弱い」けど「面白い」。

しかし、過去10年間で日本シリーズは巨人が2回勝っただけで、あとは全敗。交流戦も全然勝てない。これは、どうにかしないといけないレベルに来ている。

まぁ、セ・リーグ強化の為の具体的な方法がわかれば、プロ野球ファンと中の人たちは誰も苦労しないんだが。

 

おしまい