〜那〜
～パン屋の旦那～先日テレビで魔女の宅急便がやってましたね。魔女の宅急便を見るたびに「奴」を思い出してしまうのです。あれはまだ18歳の頃でした。高校の卒業旅行に男友達5人で行きました。洞爺湖でした。ご飯も食べて、温泉も入り、だいたい夜中の12時頃だったでしょう。一人が「トランプを持ってきたから大富豪しようぜ」って言い出したんです。旅行といえばやはりトランプ。僕らはやることにしました。友達が持ってきたトランプが「魔女の宅急便」の絵柄のトランプだったのです。僕はますますテンションがあがりました。そして5人で大富豪をしました。その「魔女の宅急便」のトランプには、映画の場面の絵柄が描いてあるのです。キキがトンボと自転車に乗っている場面、キキがパン屋のカウンターでお客さんを待っている場面、キキがニシンパイを運ぶ場面など。………いたんです。その中に……「奴」がそう…パン屋の旦那です。あの寡黙で屈強な旦那の絵柄があったのです。しかし、その時の僕らは「奴」を気にすることなくトランプを始めました。1試合目……僕の手札にパン屋の旦那。2試合目……僕の手札にパン屋の旦那。3試合目……僕の手札にパン屋の旦那。4試合目……僕の手札にパン屋の旦那。5試合目……僕の手札にパン屋の旦那。6試合目……以下同文。なんと全試合に僕の手札にはパン屋の旦那が。たとえどんなにトランプをシャッフルしても、そこにいたのは「パン屋の旦那」。僕が「パン屋の旦那」を出すたびにクスクス笑い声が聞こえます。「やまちゃ～ん、またパン屋の旦那かよ～www」「ズリぃよ～wwwパン屋の旦那であがるのかよ～www」「パン屋の旦那つぇぇwww」「もうそんなにパン食えねぇよwww」結局、12時から朝方の6時まで大富豪は続きましたが、全試合においてパン屋の旦那は僕の手元にやってきたのです。（50～60回くらいはやったんじゃないかな？）結局パン屋の旦那が僕らの中のトレンド入りです。もう卒業旅行っていうかパン屋の旦那旅行です。帰りのバスでも話すことといえば「パン屋の旦那」です。その旅行から2年後僕はとあるゲーセンのUFOキャッチャーの景品に「魔女の宅急便トランプ」を見つけました。パン屋の旦那パン屋の旦那パン屋の旦那パン屋の旦那ほしいほしいほしいほしいほしいパン屋の旦那……ほしい取れたった☆2,000円かかったお☆後悔はしてないお☆未だに飲みの席で「パン屋の旦那」というワードを出すと盛り上がる。僕はあの寡黙で優しく「隅に置けないアイツ」を絶対に忘れないのだ。～ちなみに～僕の手札には「パン屋の旦那」が毎試合来てましたが、友達の手札には毎試合「ヒャッハー！！コイツ濡れてやがるぜ！！」が来てました。この「ヒャッハー！！コイツ濡れてやがるぜ！！」は、キキが大きな口を開けて喜んでいる場面なのですが、友達曰く「このキキは絶対にヒャッハー！！コイツ濡れてやがるぜ！！って言ってるに違いない！！」って言ってました。なのでこの手札を出すときは友達が「ヒャッハー！！コイツ濡れてやがるぜ！！」と叫びながら出すのです。僕らはもう、大富豪とか正直どーでもよくなるのです(笑)なぜなら「パン屋の旦那」と「ヒャッハー！！コイツ濡れてやがるぜ！！」で心はビチョビチョだったからです。僕らはあの夜、全員パンツを濡らしました。ちなみにこれが「ヒャッハー！！コイツ濡れてやがるぜ！！」です。
