Yukky処女作のご案内≪編集者と原稿のはなし≫

＊こちらは、私の処女作を担当してくださった

　clover出版の小田編集長のメルマガ記事です

＊掲載許可はとっております

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≪2017年11月8日発行≫

＊clover出版メルマガより

編集部　小田です。

新刊が先日深夜、校了しました。

こう書けば簡単ですが、

大事な部分は一文字まちがえば、刷り直し、もしくは全回収、

誤植がなくても、売れなきゃだめ。

しかも、折からの出版不況。。と

四面楚歌、八方塞がりの苦行でもあります。

でも、にやけたんですね。

何度もいじりつくした、装丁のプリントアウトを

モニターの横に飾って、

そのバランスの絶妙さににやけたのです。

結局は、この仕事が好きなのでしょう。

そして、負けたくない気持ちもあります。

理想は高く、

僕は、

「ヒット作家ばかり追いかけまわす」編集者にはなりたくない。

と心底思います。

いや、僕も正直やっています。

やってない人いないと思う。

無名作家さん、これだけ出してる僕でも、

売れる作家さんとやはり仕事はしたい。

そのくらい、今、本を売るのは大変です。

僕の理想は、

腕を磨いて、勘を磨いて、

プロダクトの力だけで、

ファンなんて事前にいなくても

10000部きれいにはける本。

編集力だけで自家発電できるだけの力をつけたいと思っています。

発信のしかた、消費者心理、ＳＮＳも２４時間かんがえているし、

タイトルと企画においては、１０年以上、２４時間考えている。

こうした熱がつづくものが―――――「仕事」なんだろう、と思う。

この夏は、たくさんの新人さんをデビューさせた。

活字というのは、いろいろなものがでてしまう。

その人、そのままの姿がでるのではなく、

活字にすると、また、違う姿になる。

9月に出したYukkyさんは不思議な女性だった。

まず、企画書がカラフルだけど、男性がつくったみたいに色気がなかった。

事務的というか。。もう二年以上前のはなし。

この仕事が長いと、企画書だけで、いや、１０行も読めば、

どんな日本語を書いてくるかわかってしまう。

「書けるかな・・・」

企画書を見たとき、ちょっとだけ思った。

でも、あまり相談をしてこられない方だった。

２年後、一生懸命書いてきてくれた原稿は、意外だった。

かなり、ご苦労されたみたいだったけど、

開き直られたのか、すごく素直にあがってきたから。

原稿がきたら、本ってすべて決まる。

大きさ、紙の厚さ、余白、重さ、値段。

ぜんぶ原稿から、発想する。

素直で、やさしい文体だった。

あまりくどい日本語はなかった。

これが彼女のいちばんの強みだった。

こうなると、大きな版型ではなく、小さく軽いものがいい。

値段も1500円ないほうがいい。

「軽い」と「浅い」とでは違う。

Yukkyさんの本は、半自伝的エピソードまで含めながらも身軽だった。

とても、気が軽いので、そういう本にしたいと思った。

僕は、人の持つ「明るさ」って宝だと思っている。

それって、愛のある家庭や親の愛から育つものだろうから。

本の「明るさ」だってそうだよ。

明るい素直な文体を書ける人は、
だいたいが素朴で心根がきれいな人だ。

『私からしあわせになろう。スピリチュアルプチ・ディクショナリー』