「ユングの東洋思想論を読む」第16回 禅の瞑想 ─鈴木大拙によせて─(1)
2024年度のユングスタディ企画は、引き続き「ユングの東洋思想論を読む」です。ユングが東洋思想について論じた様々な文章を取り上げて読んでいきます。
前回にて「チベットの大いなる解脱の書」を読了し、「チベット死者の書」注解と併せて長らく読み進めてきたチベット仏教関連のテキストが終わりとなりました。今回からは新たに、「禅」をテーマにしたユングのテキストを読み進めて行きたいと思います。
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チベット仏教経典へのユングの捉え方を簡易に述べるのであれば、「東洋の修行における『悟り』や『涅槃』とは、心理学的側面からは『自己実現』のことではないか」となります。
無意識を意識化することで、外界の事物への無意識的投影を自らの心に引き戻し、無意識の強迫的な情動から解放されることが、神学的観点から見た「悟り」や「涅槃」です。それは同時に無意識からの補償的働きを促すことであり、心の中心が自我意識から、意識も無意識も含めた心全体の中心である「自己」に移行することでもあります。これが自己の現れ、すなわち「自己実現」です。
この「自己実現」は、私のアイデンティティが、死によって滅する自我=身体から、永遠の感情をもたらす「自己」へ移ることでもあって、これが自然と死に対する心理的な準備ともなります。
これらの観点は、チベット仏教に限定されることなく、ユングの東洋思想全般についての理解の基本となる部分です。
※ 前回までのスタディのダイジェストは、
以下の当会HP、および当会フェイスブックに掲載しております。
https://jung2012.jimdofree.com/スタディ/2023-2024年-通期-ユングの東洋思想論を読む/
https://www.facebook.com/ユング心理学研究会-281102485276364/
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今回、新たに読み始めるユングのテキストは、以下です。
■ C.G.ユング「禅の瞑想 ─鈴木大拙によせて─」(1939)
この論文は、禅学者の鈴木大拙による英文著作「An Introduction to Zen Buddhism」(1934)が、独訳されて刊行される(1939)際に、ユングが書いた序文になります。鈴木大拙は、ユングが主催していた文化人サークル「エラノス会議」にも出席しており、ユングにとっては最も近しかった日本人です。
ユングはまず、西洋人にとっての禅における「悟り」体験の分かりにくさから記述を始めます。禅の逸話が示す深遠なあいまいさを認めるユングは、「禅とは、西洋的な意味における哲学ではないところのすべてのものである」とし、それを「本来的自己 Selbst へと突破すること」の表現として読み解いていきます。
案内役:白田信重、岩田明子(ユング心理学研究会)
司会進行:海野裕美子(同) 資料協力:山口正男(同)
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第16回:7月4日(木)19:30 〜 21:30
■ テキスト: C.G.ユング「禅の瞑想 ─鈴木大拙によせて─」(1939)
『東洋的瞑想の心理学』所収 湯浅泰雄・黒木幹雄訳、創元社
1983.11(第一版)、2019.1(新装版)
・ 適宜、英語原文、ドイツ語訳文も参照します。
・ テキストを読んでいない方でも、資料を見ながらの進行なので参加可能です。
・ シリーズ途中からでの参加でも全く問題ありません。お気軽にご参加ください。
■ 参加費:1,000円
・参加申込者には会の終了後、録画アーカイブを期間限定で配信する予定です。
(諸事情により配信できない場合もありますので、あらかじめご了承ください)
・当会では、お申し込みいただいた後での参加者都合による返金は致しません。
■ 参加方法
オンライン参加と、配信会場での現地参加の、二種類の参加ができます。
どちらの参加方法でも、終了後にアーカイブ配信を視聴できます。
(1)オンライン開催(zoomミーティングルーム形式)
開始時間にオンラインのミーティングルームに参加します。定員45人。
配信会場とは、チャットでのやり取りや、対面での議論が可能です。
・開場は開始15分前の19:15です。
(2)配信会場での現地参加
配信会場にお集まりいただいて現地参加できます。定員15人。
配信会場:chez alterna(シェ・オルタナ)
東京都中野区松が丘1丁目 17-12
西武鉄道新宿線・新井薬師前駅より徒歩3分
・当日は紙資料を配布しますので、資料代500円を別途いただきます。
(資料代は現金でご用意ください)
・開場は、開始30分前の19:00です。
(開始前までは参加者間の交流の時間となります)
※ 申し込み後に参加方法を変更したい場合には、事務局までご一報ください。
■ 参加申し込みページ https://jungstudy20240704.peatix.com
■ 主催:ユング心理学研究会 http://jung2012.jimdo.com/
■ 問い合わせ:研究会事務局 jungtokyo_info@yahoo.co.jp