前回のあらすじ。。。

 

スマホはもちろんない、

ポケベルが登場したくらいの頃、

昭和の泥沼恋愛の話です。

 

私はその頃18歳、

ファミレスの夜中のバイトで知り合った

バイトリーダーの山さんと良い感じになって

ついに一夜を過ごしたその次の日、

 

バイト先の駐車場に山さんの車が。

駆け寄るとなんだか表情が曇っている山さん。

 

とりあえず助手席に乗って、車は走り出しました。

 

「話しておかなきゃいけないことが。。。」

山さんはそう言いながら話せる場所を探して

広い静かな公園の駐車場に車を留めました。

 

もうその頃には私の心の中では

何か良くないことを報告されるんだなと覚悟が出来ていました。

他に彼女がいるとか、実はバツイチだとか。

 

その予想通り、山さんから

「実は彼女がいる。」と、

しかもその彼女は同じバイト先の「サチさん」だと。

 

ここで怒って

「ふざけんな!」と

彼を殴っていたらそこで終わってすっきりと

その後を送っていたのかもしれません。

 

しかし驚きと怒りに対して、好きという気持ちが上回っていました。

私から出た言葉は

「そういう関係でいいから」

 

咄嗟に出てしまいました。

これで終わりなんて嫌だ!!と心底思ったんです。

 

そこから泥沼恋愛がスタートです。

 

山さん的には了承済みなので気楽なセフレですが、

こちらの気持ちはドロドロです。

 

その頃にはおうち電話しか連絡ツールがないので

お互い連絡先を交換することなく、

バイト先で合間にやりとりして

都合があえばバイトの帰りにホテルに寄っていました。

 

惚れた弱みで

昼間に会いたいとも言えず、

かなり都合のいい女でした。

 

でもきっと山さんは私の気持ちを知っていたはずです。

ずるい男ですね。

でもきっとそんな男は世の中に山ほどいるのでしょう。

 

 

サチさんがバイトに入る週末は地獄でした。

バイト終わりの山さんとサチさんが連れ立って帰るのを見送っていました。

この後どこに行くんだろうか?ホテルに行くのかな?

 

そしてなんとなくサチさんも私と山さんのことを怪しんでいたので

私に対しての当たりが強くなっていきました。

 

テレサテンの「愛人」状態、

島津ゆたかの「ホテル」状態、

若い人には分からない

演歌や歌謡曲に出てくる日陰の女です。

 

1年くらい毎晩寝る前に

悶々と考えては泣いていました。

 

その頃はかなり自己評価が低かったのだと思います。

それプラス経験不足、男に対しての免疫。

 

今思うとなんであんな男が好きだったんだろう?と思います。

24歳フリーターでちょっといい車に乗って、

家が商売していて次男坊で別に目的があるわけでもなく、

ちょうど一番楽しい時期の

ふわふわして地に足がついていない男です。言い過ぎか?(^◇^;)

 

 

ある時、ホテルのベッドでSEXが終わってから話している時に

サチさんとは結婚しないのかと聞いたところ

「昔、婚約していた人に裏切られたのがショックで結婚に対してトラウマがあるんだよね。」

ともらしていました。

 

その時は

「だから女性に対して不信感があって

全てを託せないのね。可愛そう。」と同情していましたが、

 

だからって

18歳の純情な乙女心を踏みにじってもいいのか!と

今なら思う。

 

それにサチさんは2回も子どもを堕ろしていると

山さんから聞きました。

今ならサチさんに同情します。悪い男に引っかかったわねと。

 

 

どうも不幸な恋愛をする人はそれを自分から呼び込んでいると思うんですよね。

恋愛にとどまらず何か不幸を呼び込んじゃう人。

 

心のどこかで

「私なんか。。。」「どうせ俺なんて。。。」と思ってるんじゃないかな。

自分の幸せはココ止まりだってセーブしてる気がします。

 

話は山さんに戻って、

 

こんな心をすり減らすだけの辛い恋愛、

はたから見ると体だけのお付き合いは1年半くらい続きました。

 

私も気持ちのバランスが取れないので

山さんから離れなければと彼氏を作ったり、

もう1人、これは完全にお互い合意のセフレを作ったりと

性生活は一時期激混み状態でした。

 

でも結局彼氏とも上手くいかずに別れて、

セフレとも半年くらいで連絡をとらなくなった頃に

山ちゃんへの気持ちも冷めてきて、

段々と大人になるというか気持ちが冷静になってきました。

 

やっと1年半経ってバイトを辞めて

新しい彼氏も出来ました。

 

それでも山さんのことはそれから2年くらい、

心のどこかで引きずってました。

 

 

今思えば、

その頃の私は遺伝的なものと家庭環境から

コミュニケーションに難ありで、

 

人と心で繋がることが出来ずにいました。

自分で壁を作って心を開いていないことに気づいていない、みたいな。

 

男性とのSEXは心を開いて相手に身を任せる手段というか、

深いコミュニケーション。

だからSEXした相手には素直に話せる。

 

なんだか歪んでましたね。

 

結果、人生の目的が経験を積むことだとすると

貴重な経験をさせてもらったなと。

 

山さんももう50歳過ぎてますが

どんな人生を歩んでいるんだか。