『ドラゴンボール超:ブロリー』☆☆

 

レビュー

『ドラゴンボールZ』において劇場版では最大の敵として扱われてきたブロリー、ゲームなんかではおなじみの強敵なのに、鳥山明はブロリー自体忘れてたって言うことには驚いたけど、今回の作品が今までの劇場版と違うところは、ドラえもんやクレヨンしんちゃんと同じように劇場版はパラレルワールド設定だったのに対して、今回はテレビシリーズ『ドラゴンボール超』のストーリーラインに沿った続編映画として製作されているという点。

 

いままでパラレルキャラクターだったブロリーがストーリーに関わってくると言ってもテレビシリーズが終わっているだけに、なんとでもなる気がする。

 

←この辺りは気合入ってるのに...

 

ブロリーがベジータと初対面したときの絵は『ドラゴンボールZ』の劇場版を思わせるのだったのに対して、途中でCGになったり、ゆるい絵になったり...こんなに1本の映画で絵が変わる映画ってあるの?っていうぐらい観ていられない部分もある。特に力入れる部分であったと思われるゴジータの登場シーンが一番ゆるいって問題ではないのだろうか...アメリカのテレビアニメみたいなテイストになっている部分もある。

 

←この辺ゆるゆるに...

 

ストーリーとしては、かつてテレビスペシャルとして放送された『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦』のリメイクとブロリーを『ドラゴンボール超』のストーリーラインになぞった内容。

最近の劇場版の中では割とまとまった作品ではあったが、今回のブロリーは最終的に仲間になってもおかしくないキャラクターとして描かれていて、今までのブロリー像は崩壊してしまっている。

 

フリーザがもはや腐れ縁のように描かれていて、ばいきんまんやロケット団のムサシ&コジロウみたいに映画の時にちょっと味方になります的な独特の距離感はおもしろいと思うけど...鳥山明はどんだけフリーザ好きなんだ!!

『アリー/スター誕生』☆☆☆☆

 

レビュー☆

名作『スタア誕生』の3度目のリメイク。

原作の映画業界という設定ではなく、バーブラ・ストライサンド主演の2度目のリメイク版の音楽業界での設定を引き継いでいる。

当初の企画では、クリントイースト・ウッド監督、ビヨンセ主演で製作される予定がビヨンセの妊娠などスケジュールの問題によって、ブラッドリー・クーパー初監督作品、レディー・ガガ初主演映画として全く異色のものとなった。ビヨンセ主演版も観てみたかった気はするけど...

 

レディ・ガガは映画としては初主演ではあるが、過去にはテレビドラマシリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル』ではゴールデングローブ賞も受賞しているほか、映画にも小さい役ではあるが出演しているだけに演技するのは初めてではない。歌手なんだから、まして歌唱力を心配する必要もないが、今までの役と言えばミステリアスなキャラクターやメイクでいかにも「レディー・ガガ」というような役ばかりだったのに対して、今回は女優として演技しているだけに、なんだか素のレディー・ガガを見ている気がして、逆にそれが新鮮で今までに見たことがないレディー・ガガの演技でありながら、これが彼女の本質だと言ってもいいぐらい役になりきっている。映画の役がレディー・ガガのもつコンプレックスだったりマイノリティに寄せていいる部分があるのも、そう感じさせる

個人的には今回はレディー・ガガではなく、本名のステファニー・ジョアン~にしてもよかったと思うけど...長いからやめたのかな?

 

個人的にこの映画で一番気になっていた点はブラッドリー・クーパーって歌えるの?監督できるの?ってこと。

邦題からしてアリーが主人公ですと言ってるだけに、みんなレディー・ガガに気がいってしまっているんだけど、一番注目すべきはブラッドリー・クーパーだということ。

予告編でもレディー・ガガの歌声は確認できるものの、ブラッドリー・クーパーの歌声が確認できない...宣伝に使うとまずい歌声なのか...そんな不安が過るなか、オープニングで彼の歌を聴いて全然そんなことないことが判明!だったらもっと宣伝してもいい気がするんだけど、サプライズにしたかったのかな??

ロック歌手とうよりかはカントリーっぽい感じはするけれども、今まで歌う映画がなかったのかが不思議なくらいの歌唱力!!監督としても初めてとは思えない。

この映画の一番の名曲「シャロウ」はレディー・ガガの歌唱力だけでは成り立たたない。

ブラッドリー・クーパー演じるジャクソンも主人公として描かれている。

 

 

ブラッドリー・クーパーの昔からのファンは気づいたと思うけど、サプライズがある。それはグレッグ・グランバーグとロン・リフキンが出演している。

この2人と言えば、テレビドラマ『エイリアス』でまだ若手俳優だった頃にブラッドリー・クーパーと共演した仲だということは、ブラッドリー・クーパーを昔から好きな人にとっては言うまでもないことなんだけど、何故かこの2人が出てきたときは感動してしまった。グレッグは運転手役で少しだけなんだけど。

ブラッドリー・クーパーはやっぱり自分の原点は『エイリアス』にあると思っているのだろう。この謙虚さが素晴らしい!最初はジェニファー・ガーナー演じるシドニーの大学の友達というチョイ役だったのがメインキャラクターになっていく様子で彼のファンになった人も多いのでは?

 

 

色々と描くのに少し尺が足らない部分もある気はしたけど、前半はアリー目線、後半はジャクソン目線とコントラストがはっきりしていて、またこのコントラストの具合が丁度良い。

立場が逆転していく様子は芸術を扱った作品ではよくありがちなんだけど、ジャクソンは嫉妬ではなく、アリーは成功してが、今風のダンスミュージック・ポップにシフトチェンジしてく部分で彼の思っていた音楽性とは違ってきたことからの反発だったと個人的には分析した。ただ、レディー・ガガ自身の音楽自体が正にそうだから、それが間違ってるとも否定するわけにもいかない部分がどうしても演じている人の事情が出てきてしまって、その部分は少々消化不良な感じがしてならないが、その独特のもやもや感とアリーを想うがあまり自分がスターの道を邪魔しているというジャクソンの感情が上手く絡み合って、ジャクソンの結末に重圧を残す。

 

リメイクと言ってもプロット自体は実に王道のシンデレラ・ストーリーなだけに、時代に合わせた設定で別ものとして製作しても何の問題もない気がするんだけど、あえてリメイクと言うのは原作へのリスペクトからなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

『来る』☆☆☆☆

 

☆レビュー

必要以上に血が噴き出すけど、スプラッターというわけでもない。

かと言って日本の独特の実態がなく、心理的にぐいぐい攻めてくるっていうテイストでもない...本当に中間!

日本のホラーでもなく、海外のホラーでもない...その中間を行く新感覚ホラー!!

 

この監督の作品を観た人なら、一筋縄ではいかないと思っていたと思うけど、正に枠に囚われていない。意味のなさそうで意味のあるシーンの入れ方も上手い! のテイストがホラーに合う。『渇き。』も『告白』もホラー感あったから、ここに来て...ついに本領発揮と言うべきなのかもしれない。

 

あおり方が手法がシャマランに近い。特に「あれ」の見せ方がシャマランのテイストに近いんだけど、シャマランと違うところはガッカリ感がないところ。ガッカリ感っていうのは別に悪いわけではないから、人の好みによっては、それが足りないと思うかもしれない。

『サイン』を観て「結局、宇宙人出てくるのかよ!」って思ったことが良かったと言う人には物足りなさを感じるかもしれない。

 

エンターテイメント性もあるし、大がかりでお金もコネもフルにかけた除霊シーンは実際にはありえないからリアルでもないんだけど...何故かリアル!!例えるならゴジラと戦う自衛隊と言うところだうか。

平気で人が死んで行く...異様すぎる光景なのに、どこかにリアルさがある。

柴田理恵の霊媒師が片腕切り落とされても戦う姿も必見!!

 

日常生活に潜む光と影のコントラストが妖怪という全く繋がらない存在にリンクしていく作りはさすがとしか言いようがない。

どこからが現実でどこからが幻想なのか...

 

日本のホラーでここまで惹きつけられたものって、今までなかった気がする今年の日本映画で個人的に一番よかったかもしれない。

『カメラを止めるな!』☆☆☆

 

レビュー

この映画をネタバレなしにレビューするのは難しいからネタバレで行きます。

 

劇中短編映画とその製作過程のフェイクドキュメンタリーが1本の映画になった様な作品。

「あの人の不思議行動の意味」「独特の間」「なんでこのシーン長いのか」などなど冒頭のゾンビ映画「ワンカット・オブ・ザ・デッド」で感じた違和感の謎が次々に明かされていく。

撮影中に次々に起きるトラブルをどう回避するのかという現場のあるある話が謎のシーンや引っかかっていたもやもや感が明かされていく様子がコミカルに描かれている。

 

何がいいって出演者が地味で無名な人だから、やけに「低予算の現場感」がリアルに感じられるという点だろう。有名俳優、有名監督使って同じ内容だったら、親近感もわかないんだろう。

監督役の濱津隆之の「丁度いい地味さ」がもたらす表情の良さも一役かっている。

 

途中の監督と娘の何気ない写真がラストでつながるのか...っていうのは演出の上手さを感じた。

 

 

 

 

 

 

『アイ、トーニャ』☆☆☆

 

レビュー

トーニャ・ハーディングが起こしたナンシー・ケリガン襲撃事件に至るまでの過程を少女時代から描いた伝記映画。

美人女優であるはずのマーゴット・ロビーの最近の体当たり演技には頭が下がりますよ。

 

今回はトーニャ・ハーディングをここぞとまでに熱演。マーゴット・ロビーの演技力の集大成とも言える作品だと思う。

 

どうしてもトーニャ・ハーディング目線の映画のため、結果的に擁護しているという点からプロパガンダ映画という観方もあるが、それに関しては実際のところどうかわからない。

 

スケート界にはある一定の基準があって、それを満たさない者は評価されることさえも難しいという厳しい世界に現れた異質の存在、トーニャ・ハーディングがこんな結末で終わってしまったということは残念でならない。

いろいろ問題はあっても天才ということに違いはない。

『オーシャンズ8』☆☆☆

 

レビュー

続編になるにつれ、毎回酷くなっていた「オーシャンズ」シリーズが今になって復活。

リブートという位置づけだが、一応『オーシャンズ13』の後の話になっていて、ジョージ・クルーニーが演じたダニー・オーシャンは写真だけ登場する。

亡くなったという設定らしいが実際はどうなのか、あやふやにしてあるのは続編のためだろうか。『オーシャンズ9』と『オーシャンズ10』を製作して『オーシャンズ14』で合流するとか...正直、そんなに観たくもないからどっちでもいい。

 

前シリーズからも何人かチラリと登場する。中国人の仲間、イエンも地味に登場...実はマット・デイモンも出演したけど出演シーンがカットされたとか...

 

今度は女性だけのチームでおしゃれ感で勝負した内容になっている。

流石「オーシャンズ」シリーズ!出演者やカメオ出演しているゲストはとにかく豪華!!

ちなみにアナ・ウィンター(メリル・ストリープじゃなくて本人)とアン・ハサウェイが並ぶシーンは何気に『プラダを着た悪魔』なんです。

シャラポアやセリーナ・ウィリアムズも本人役でカメオ出演したりしていて、どれだけ発見できるかという「ウォーリーをさがせ」的な楽しみ方はできるが、映画自体はちょっとだらけてしまっている。

 

女性だけのチームなんだから、もっと女子トーク炸裂してほしかった。

「オーシャンズ」に変に意識しているのか、近づけようとしすぎて、女性チームという設定が少し無駄遣いに終わってしまっている感もある...なんだか物足りない。

しかし、アン・ハサウェイが仲間になるまでの焦らしは見事。おもいっきりポスターに載ってるし、仲間として紹介されているのに、なかなか仲間として扱われないアン・ハサウェイ。いつ仲間になるんだ!いつなんだ!!って思ってしまって、まんまと製作側の罠にかけられてしまった。「えっ!そこで仲間になるの!!」ってタイミングが絶妙すぎる。

 

何はともあれ、しばらくお休み状態だった、サンドラ・ブロックは女優復帰と解釈していいのでしょうか。何だか、しばらく見ないうちに綺麗になってしまっていて、これならワンダーウーマン役もできたかも...って思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

『ディザスター・アーティスト』☆☆☆

 

☆レビュー

アメリカでは有名なトミー・ウィソー監督・主演の最低カルト映画『ザ・ルーム』製作までの過程をジェームズ・フランコが監督した作品で、今回ジェームズ・フランコは監督・脚本・製作・製作総指揮・主演とメインの役職を担当して大忙し!!

共演には弟のデイヴ・フランコというフランコ兄弟作品ともなった。

 

この映画の難点というか、日本人にとっての難点は日本公開されていないから、元の作品がどんな映画なのかがどうしてもピンとこないところ。

 

アメリカも公開したときに『ザ・ルーム』の限定上映とかしたのであれば、日本も同時にリリースするぐらいの冒険は...さすがにできないか。

いかに最低な映画かを観てから、この作品を観たほうが断然おもしろいはずだから、残念でならない。

 

ジェームズ・フランコの人脈大集合と言っていいほどの豪華なキャスト。

友達関係のセス・ローゲンはもちろん。ザック・エフロンやシャロン・ストーン、カメオ出演にはクリスティン・ベル、J.J.エイブラムス、アダム・スコットなどなど豪華出演者が多数登場するのを観るのも見どころのひとつなんだけど、ジェームズ・フランコの役づくりも凄い。

真面目なのか、元ネタのトミー・ウィソーをおちょくってるのか...絶妙なバランスの演技は流石。

 

トミー・ウィソーの年齢や詳細は不明、映画を製作できるだけのお金の出頃などが謎というミステリアスすぎる人の作った、酷すぎる映画が何故これほどまでに人々を魅了したのだろう...ミステリアスすぎる!!

 

 

 

『いぬやしき』☆☆

 

レビュー

『アイアムアヒーロー』『BLEACH』など多くの漫画原作を手掛け、最近『キングダム』の映画化も発表した佐藤信介が監督、とんねるずの木梨憲武を主演に「GANTZ」「GIGANT」の奥浩哉原作漫画を映画化。

 

この奥浩哉作品って、設定は全然違っても、最終的に似かよった展開になってしまうから、一部を抜き取って映画化すると、物足りなさを強烈に残す結果となるのは「GANTZ」の映画で立証済みなはずなんだけど、何故同じ失敗を繰り返すのだろうか。

 

原作だと、この後に隕石が地球に接近してきて...っていう展開になるんだけど、この映画はその手前部分で終わってしまうから、単純に木梨演じる犬屋敷と佐藤健演じる獅子神の戦いを描いただけになっていて、ラストで獅子神が生きていたことに対する意味を与えることができず、本当の悪役という感じになってしまう。

隕石のエピソードがあるからこそ、同じ境遇なはずなのに、道を踏み外してしまった者の軌道修正ができて、この作品のもう一人の主人公という位置づけができるのに、そこを削ってしまったら のキャラクターが薄れてしまう。

 

その後、ながながと展開するわけでもなく、単行本にしたらあと2冊ぐらいの内容なのに、何故省いたのかが謎でしかたない。続編を作るとしたら逆に次回の内容が薄すぎるから、今回で全部やっておくべきだったと思う。

ただ、映画の内容は置いておくと、CGの技術は結構がんばっている。

 

『三十路女はロマンチックな夢を見るか?』☆☆

 

☆レビュー

『デッド寿司』や『ハイキック・ガール!』などのB級映画出身者でありながら成功してテレビドラマやバラエティなどにも出演、海外では多くの作品が評価されて海外のクリエイターからの支持も高い、武田梨奈主演作。

 

B級感漂う映画だけど、その通りB級映画。

ヤクザの指示で銀行強盗をしたものの、過去に銀行強盗で逃げ切れたという事例が極端に少ないことを成功させることに自分達の夢や目的達成を重ねていくという、なかなか痛々しい人達と武田梨奈演じるOL風(ここでOL風と言った理由は、職業を言うとネタバレになるから)の三十路直前女・那奈が出会い、行動を共にすることになるワケなんだけど、那奈が銀行強盗犯のリーダー・拓人に恋をしてしまう(フリなのか実際にしていたのかは、よくわからない)という唐突なストーリー展開で、遂には拓人を自分だけのものにしたいと、強盗仲間を殺していくというカオスな展開に..

 

那奈の職業の正体がラストで判明すると、今までの伏線がフラッシュバックのようにつながっていくんだけど...「極上のドンデン返し」とあるけど、並レベルの伏線。

 

結末を知ってしまうと、実は那奈は仲間を殺していないということが判明。

ただ、B級映画ならB級映画らしく、カルト映画狙いでそのままカオスな展開を突き進んでもよかったのではないかと思ってしまう。

この結末だと変に狙った感が出てしまってスッキリしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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『スターリンの葬送狂騒曲』☆☆☆

 

レビュー

独裁者スターリンが突然死したことによって起こる、側近とスターリンの家族によるロシアでは上映禁止の権力紛争をおもしろおかしく、そしてシニカル度MAXのドタバタブラックコメディ

『官僚天国』や『ヴィープ』といった政治を題材としたドラマを手掛けてきたアーマンド・イアヌッチ監督らしい政治風刺映画を製作した。

 

原作は日本でも翻訳本が発売されている政治風刺マンガということであくまで歴史映画ではない。

だからと言って、めちゃくちゃな内容ではなく、風刺漫画ということだけあって、ところどころフィクション部分はあるものの、史実をベースとしている。

恐ろしい会話をしていてもおもしろく感じてしまう...正に風刺漫画を映画化したという雰囲気が凄く伝わってくる。

 

ただ、登場人物や当時の時代背景や社会情勢などはある程度知っていないと、話の展開がスピーディで専門的なワードが飛び交うため、取り残されてしまう。

スターリンについて知らない人や政治に興味のない人が観ると、大変苦痛な映画となることは間違いない。

だから誰にでもオススメできる映画ではない。