アレキサンダー・アルフォードは世界に名だたるエンパイア大の大きな講義準備室で、もうすぐ始まるであろう発見の旅に思いを馳せながら支度の最終段階に入っていた。
しかし、心配な思いはやまない。あの隕石とやらは一体どれほどのモノなのか。砂漠の砂ごと吹っ飛ばしてはいないか。遺跡を発掘するに当たって遺跡の無事は大変重要である。
そしてもう一つ、心配事があった。先日、スミスと意見が合わずまずい雰囲気を作ってしまい、そのまましばらく立つのだ。そんな原因はやはり、かの隕石。あの隕石とやらは、古い友の縁をも傷つけたがる、そうもアレックスは考えていた。
スミス博士は天文学で、世紀の大ニュースともなった、【巨大隕石】について調べたさで溢れていて、そんな事はどうでも良いと考えていたアレックスは、隕石より遺跡の方が優先されていた。そう、そこで意見が割れたのだ。
今回の発掘調査ではアレックス自身、単独で行う。故に大量のスミシアンへの講義をかかえたスミス博士は隕石の調査に向かえないので、アレックスに標本の採取兼サンプルの摘出を依頼した。しかし、先ほどにも述べた様に、アレックスはどんなに砂漠が荒れようと、発掘調査を優先していた為、キッパリ断った。そうなのだ、スミス博士の心にある不安は、これだったのだ。