最近、フランスのニュースで、
・ブドウ園の農薬が飛散している影響を、近隣住民と離れた住民で測定調査した結果、近隣住民には高い濃度だった
という調査結果の報告がありました。
フランスの公共衛生機関が、6つのワイン生産地域で行い、尿や髪の毛、室内外の空気、家庭内のほこりなどから、農薬を調べたそうです。
すると、農地から離れた人と、ブドウ園の近隣住民では、近隣住民のほうが濃度が高いということが分かりました。
こちらのHPのプレスキットと、研究概要を何とか読んでみました。
出典:
フランス食品環境労働安全衛生庁 (ANSES)
「研究概要」より、抜粋、引用しています
人の尿、髪の毛、空気、家庭内の埃、庭の果物や野菜。同時に、調査期間を通して大気中(屋外)の農薬濃度も測定
6 つのワイン生産地域にまたがる 265 のワイン生産地域または栽培から離れた地域で開催
ブドウの処理期間と非処理期間をカバーするために、2021年10月から2022年8月の間に実施
合計1,946人の成人(18~79歳)および742人の子供(3~17歳)が含まれたワイン生産地域そして 耕作地から遠く離れた地域
すべてのサンプルカテゴリーにおいて、ワイン栽培地域で測定された農薬への曝露は、栽培が行われていない地域よりも高いことがほとんど
尿
農薬の半分については、ワイン栽培地域に住む人々の尿は、作物から遠く離れた場所に住む人々の尿よりも汚染されている
髪の毛
髪の毛で検査された農薬は、作物から遠く離れた場所に住む人々よりも、ワイン生産地域に住む人々から多く検出
ほこり
ワイン生産地域の住宅から出るほこりは、農作物から遠く離れた地域の住宅から出るほこりよりも汚染されている
室内空気
検査対象となっている農薬は、作物が栽培されていない地域よりも、ワイン生産地域の家庭で多く発見
周囲の空気
検査対象となった農薬の大部分は、作物から遠く離れた地域よりも、ワイン生産地域で多く検出
作物
ワイン生産地域で測定された農薬濃度は、作物から遠く離れた地域で測定された農薬濃度よりも高い場合がほとんど
今後、フランスの農薬の低減目標へ向かって(50%削減)行くことと、フランスの農家はブドウ園の農薬散布の場合、事前通告をしているのですが、その通告、屋外での洗濯物干しを避ける、家庭菜園の作物を控えるなどの予防策を提案。
また、農薬使用を「必要最小限」に抑え、出来るだけ吸い込まない、家に入れないようにするなど注意することが言われています。
リスク評価まではまだ分からないとして、評価してないようです。
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このブドウ園というのは、フランスはワインの産地でありますから、よくあって、よくしゃーっと農薬を霧吹きみたいな感じで吹く。のですね。それで飛ぶ。飛散する。
農薬の飛散=ドリフトというそうで。
これはEUではドローンは原則禁止で、トラクターや機械での作業でしている、その調査の結果です。
EUではドローン農薬はあまり許可もされず、許可農薬もほぼない状態で、使うなら各国の規則で、となっているようですが、それもあまりないそうです。
ちなみに、フランスでは最近、ドローンによる低リスク農薬散布許可され、2009年以来欧州全域で禁止されていた空中散布が復活。しかし傾斜20%ぐらいある農園限定。
でも、これすら、農薬の使用、労働者の安全、そして環境汚染をめぐる議論が再燃しているそうです。
こういう研究は、アメリカやオランダでも同じ結果が出たようです。
日本も、いろいろ調査されています。ゴルフ場の周りで除草剤や農薬が検出、とか。室内の殺虫剤や防虫剤が検出、とか。
テレビでもブドウ園の近くの住民が言ってましたが、一か所の農園なら定量でも、それぞれ、違う農薬を各農家が一斉に振りかける。それが同時に飛んで来て、ミックスされて降りかかって落ちて来る。
そういう混ざり合った農薬を我らは吸い込んでいる、が、その影響は分からない、と。
確かにそうですよね。定量でも、周りが一斉にいろいろな農薬を振りかけたら、その地域の住人は、いっぺんにその農薬を吸い込むわけです。
私も始めて知りましたが、農薬も多いし、問題も論点が多く、私もなかなか、理解まで到達できません。
フランス当局も、まだリスク評価まではしないものの、この調査結果とリスク評価などを研究へと進展させていく予定だそうです。(プレスキットより)
周りから検出され、人体からも検出され等、見ていてたら、モニタリング1000では、気候変動や土地利用の変化もありましたが、こりゃあ・・・昆虫減少は、農薬も影響あるのでないかと思って来ました。
今後も農家さん応援!ですので、農家さんには決して文句があるわけではないのです。
今後、日本も、2050年へ50%半減の農薬削減へと向かいますので、その点は安心できる面はあると思います。
が、農薬以外でもそうで、綺麗になったとはいえ、公害や汚染も消えたわけでなく、やはり、汚染は減らして行かねばならないものと思います。
フランスのプレスキッドにも出ていますが、これは個人レベルでは頼れない話です。
ただ、新しいことに移る時代、日本もシェアを広げる、発展する、経済も良くしていく、そういう経済的な機会と思います。
それに、この分野もまだまだ、進展してない分野だそうです。
そういうことも含めて、日本も今後、研究をしていく、発展していく余地があるのでないか、と思いました。
こちら次の「雲の中に農薬140t?!」へ続きます。
お読みいただきありがとうございました。

