「抹茶クリームフラペチーノの…トー…、やっぱりグランデとチーズケーキをお願いします。」

私は仕事を片ずけ、一回帰宅後に集中する為に、近所の喫茶店に足を運んだ。

今日は最近独立した掃除屋の事業で確定申告のために、税金の勉強を進めた方が良いと思っているが、某有名コーヒー店の新メニューが出るかのごとく移り気の激しい気質があるため、この時も同様にこれから新たに始めようとしている小説の執筆活動のどちらの作業をしようかと、飲み物を受け取ってから空いた席に着くまで脳内で小人が綱引き状態である。しかし、常に楽く心踊る方を優先してきたボクにはあっさりとした勝敗になった。

私は一緒に買ったチーズケーキを食べ終えテーブルの空き面積を広げ、相棒のiPadを取り出しいつもの集中状態に入ろうとした。

 人生で始めて行う執筆活動は、グランデサイズの自信と楽しみの中に、追加で入れたショット分の不安と、飲む為に相談した友人の「先ずは書いてみることからじゃない?」の言葉をストロー代わりに使い、心の赴くまま先ずはWordのソフトを起動し、軽快にキーを叩いた。

 

誰でも自分のやりたい事を人生で塾考する経験は、大なり小なりしてきたかと思うが、私はどうやら人の考えが他の人を感動させる瞬間にとてつもなく幸福感を感じる様なのである。

 きっかけは大学在学中に友人に勧められた、『東方プロジェクト』に徐々に興味を持ったのが発端で、製作者のZUNという人が自分の作った音楽を聞いてもらいたいと思い、「どうやったら聞いてもらえるのか」を考えた末に、ゲーム中に流せばいいと縦スクロールのシューティングゲームのBGMにしたものを同人活動にしたのが事の経緯らしい。勿論ゲームも自作である。

シューティングゲームが苦手なボクでも、曲を聞いた瞬間頭の中に秋の徐々に変色を遂げる最中に垣間見える、煌びやかな山々が風に揺られ、紅葉の葉が川に落ち水面を流れる優雅な様が容易に想像できる程、衝撃的な印象を受けたのである。

他にも様々な曲がボクの感情の琴線をことごとくに触れていき、自分の中で同人活動という、いわばオタクの代表文化として凝り固まった印象が一瞬にして塗り替えられたのである。

その段階で既に、心の中でこの芸術性に憧れを抱く様になっていたと思う。極め付けは、なんとこのZUNの作る東方プロジェクトには著作権と言うものがほぼ存在しないらしい。なので、この作品が気に入った人は更にアレンジやゲームの携帯を変え、マンガやアニメ、電子音からオーケストラにと2次創作、3次創作と歯止めの効かない規模になる状態で、近年カラオケのジャンルに『東方プロジェクト』と加えられる程である。それもファンが作った歌詞入りの方が入り、ボクも何度も友人達とお世話になって大いに楽しませてもらった。

 そして、創作活動を通して伝わる人の思い、熱量と言っても良いのかもしれない。その様な戯曲にいつか自分も一踊り手として舞台に立ちたいと心の中で思うようになり、自分に何ができるのかが分からないまま積極的な希望と、その都度挫折と思わない様に自分を励ます日々が徐々に始まっていた。