②多角化戦略


アンゾフによれば、多角化戦略とは新たな製品・市場分野に進出することである。多角化戦略は、市場新党戦略をはじめとする拡大化戦略と比べ、リスクが高いといわれている。そのようななかでなぜ企業は多角化戦略を展開していくのか、企業が多角化戦略を展開していくのか、企業が多角化戦略を展開する理由は主に次の5つである。


1、組織スラックの活用

企業は、経営活動を通じて絶えず組織スラック(余裕資源)を蓄積している。この組織スラックを、多角化戦略のために有効活用できる。

2、新しい事業分野の需要が停滞する局面に入った場合には、新しい事業分野への進出を考慮する。

3、主力事業の需要の停滞

現在主力となっている事業分野の需要が停滞する局面に入った場合には、新しい事業分野への進出を考慮する

4、リスクの分散

多角化戦略の展開により複数の事業を営むことによって、ある特定の事業の業績が悪化しても、他の事業によってそれをカバーすることができる。このような効果をポートフォリオ効果という。ポートフォリオ効果を得るためには、事業間の製品あるいは市場の関連性が低いことが前提となる。このような無関連多角化という。

5、シナジーの追求

複数の事業間での経営資源の共有・補完によるシナジーを得るためには、多角化による新事業の展開が有効である。シナジーを求める多角化は既存事業と新事業の間の資源展開において何らかの共通点があるのもので関連多角化とよばれている。一般的に無関連多角化よりも、既存の経営資源の利用が可能な関連多角化のほうが成功確率は高いとされている。


③PPM

PPMは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によって開発された戦略策定支援ツールであり、企業が多角化により複数の事業を展開するときの統合効果を分析し、各事業への資源配分を決定するときに利用されるものである。その具体的説明に入る前に、PPMに関連する概念であるSBU、製品ライフサイクル、キャッシュフロー、経験曲線効果について見ていく。


PPMの前提

1、SBU(戦略事業単位)

SBUとは、特定の事業を中心として構成される戦略策定のための単位である。個々のSBUは、一つあるいは複数の事業部で構成され、各SBUは独自の目標をもち、戦略と計画の策定を言う。


2、製品ライフサイクル

(1)製品ライフサイクル

製品ライフサイクル(PLC)とは、製品が市場に投入され、廃棄されるまでの生命周期といえる。製品によって製品ライフサイクルの長さには差があるが、その間における売上および利益の変化は、一般に図のような動きを示す。それぞれの局面について、売上と利益の関係(=資金の流出入の観点)を切り口に説明する。


(2)各段階の内容

①導入期

新製品が開発され、初めて市場に投入された時期である。

1)売上、費用、利益

導入当初は、当然ながら売上高は低い状態である。また、新製品紹介などのための広告宣伝費や営業活動のための費用が多く必要となるため、利益はマイナスとなる。

2)製品のコストと価格

生産量がまだ少ないため、大量生産のメリットを活かすことができる、製品のコストは高くなる。そのため、販売価格も高い状態が続く。

3)顧客

新製品に関心の高い革新的な顧客であるが、その数はまだ少数である。

4)競合企業と市場の大きさ

同業他社は、まだ新製品の開発段階である場合が多く、競合商品により市場参入してくる企業の数はまだ少ない。したがって、市場の大きさも小さい状態である。


②成長期

製品が消費者に認知され、市場に浸透してくる時期である。

1)売上、費用、利益

成長期の当初は売上はまだ低いが、時間の経過とともに、需要が急激に増し、売上が急上昇していく。また、競争に勝つため、多くの広告宣伝費や営業が必要となるのが、利益は、売上高の上昇につれてプラスに転じ、徐々に高くなっていく。

2)製品のコストと価格

製品の市場への浸透とともに、生産量の拡大と作業の熟練などによりコストが低下していく。また、競合企業との価格競争なども発生するため、製品価格もコストの低下とともに低くなっていく。

3)顧客

比較的早期に新製品を購入したい層が顧客となり、その数も増加していく。

4)競合企業