だいぶ前になりますが、水戸へ講演会を聞きに行ってきました。
今回の講演会は、ヒューマノイドロボットデザイナーの松井龍哉さんとお馴染の茂木健一郎先生です。
松井龍哉
さんは、丹下健三都市・建築設計研究所に勤めていた経歴を持ち、
PINOやPOSYなどのロボットをデザインするという興味深いことをなさっている方です。
また、最近はフラワーロボティクス株式会社
の創設や、
北九州に拠点を置くスターフライヤー
という航空会社のトータルデザインをなさっています。
彼の作品が彼自身の説明とともに、次々と現れては消えていきます。
彼の「PINO」や「POSY」もさることがながら、ルイ・ヴィトンとコラボしたマネキン型ロボット「Palette」も素晴らしい。
彼曰く、彼がデザインするロボットは、プロダクトデザインというよりもコンピュータサイエンスの分野に近く、
何らかの目的をもって生み出されるそうです。
スターフライヤーに関しては徹底的なこだわりを発揮していることに驚きました。
ジェット機のデザインだけでなく、ロゴ・チケットカウンター・ラウンジ・名刺・CAやパイロットの制服・
CM・機内用のタッチパネルディスプレイ、果ては証明書や請求書に至るまで、
100種類のデザインを手がけたそうです。
機内で流れる音楽や映画・ニュースなどもセレクトし、
機内で出すコーヒーはTULLY'S COFFEEのみというこだわりぶり。
スターフライヤーは全面的に白と黒を基調としています。
その白と黒のブランディングは徹底的なマーケティングにより実現しているそうです。
飛行機のデザインは通常、文化や国を色濃く反映したデザインが使われるが、
この白と黒のブランディングにより北九州の文化と切り離すことで逆に北九州らしさを演出したそうです。
一通り作品紹介をした後、茂木先生との対談に移行しました。
松井さんの初恋はR2D2だったなど興味深い話が満載でしたが、最も興味深かったのは新井満さんの話でした。
新井満さんは新潟沖地震の救援物資が充足した頃、迷った挙句新潟に「花」を送り喜ばれたそうです。
プロダクトデザインにおいて、その「花」にあたるものが「フラワーロボティクス」という会社なのではないかと
松井龍哉さんは新井満さんに指摘されて驚いたというエピソードを披露していました。
それにしても、ソフィアコッポラとの出会いなど、才能のある人のまわりには
才能をもつ人々が集うものだなぁと感心した次第です。
友人が松井さんのことを世界のナベアツに似ているともらしたのが、かなり面白かったです。