私見ながら、現在のロボティクスの方向性は大きく3つに分類できる。

第一に、人間に酷似させるという方向性がある。

これは、人間の見かけや動作を忠実に再現したり、

皮膚や顔など表面的に人間と酷似したロボットを作る方向性であり、

アンドロイド・サイエンスやヒューマノイドが代表的である。

確かに、世の中にある人工物は、ほとんどが人間用に作られているので、

人間と酷似したロボットは汎用性が高い。
そして、ロボット開発を通して人間をより深く理解できる可能性もある。


例えば、大阪大学の『Repliee Q2』 は、かなり人間に酷似したアンドロイドである。
また、Team Osakaの『VisiON TRYZ』は人間の動作を再現し、ロボットのサッカー大会で連続優勝している。
さらに、HONDAの『ASIMO』 は、かなり有名なロボットだろう。


しかし、親近感という側面からいうと、人間に酷似していればいるほど不気味だと感じることが、しばしばある。

これを、「不気味の谷現象」 という。
この問題を解決するのが、この方向性における最大の問題ともいえる。


第二に、コミュニケーション・ツールとしてのロボット開発という方向性がある。

これは、人間とロボットとのコミュニケーションおよび人間同士の

コミュニケーションを円滑にし促進することを目的としている。
ゆえに、人間型をしていないロボットの方が都合がよいこともある。

例えば、SYSTEC AKAZAWAの『Muu Socia』 はスライムを連想させるが、どこか可愛い。
また、MITSUBISHIの『wakamaru』 は、自律行動も行える在宅型ロボットである。
他にも、NECの『PaPeRo』 は、ちょこちょこ動き回る仕草が愛らしい。

この方向性も、いずれは人間に近いロボットを開発するのが狙いであるようだ。


第三に、人間の生活を支援するロボット開発の方向性がある。

介護や社会生活、工場や防犯などにおいて人間の支援をするのが目的である。

例えば、SONYの『AIBO』には防犯システムが内蔵されている。
また、日本ロジックマシンの『Regina レジーナJⅡ』・『Yurina』・『Serina』 などは福祉関係で注目されている。

この方向性のロボットは人間の支援が目的なので、それぞれに特化したデザインを模索しており、

人間の使いやすさというヒューマン・インターフェースが中心的である。


いずれにしろ興味深いのは、これらの研究者が

少なからずガンダムやアトムなどのアニメーションに影響を受けているということだ。

文学は現実を模倣し、ロボティクスはアニメを模倣するのである。

東京電機大学のPROJECT:ATOM には期待したい。


だが、私が言いたいことは、ロボティクスは確実に第4の方向性を内包しているということだ。
それは、ダッチワイフである。
南極2号を超えるダッチワイフは、将来確実に作られるだろう。

あらゆる快楽を模索した結果、すべての人が辿り着く先が物言わぬ人形相手の情事ならば、

それはそれで面白いのかもしれない。